車椅子ダンサー・MIHOの 「二度目のガンになりました。 で、それが、なにか!?」

    ~ 第一話 「プロローグ」~

「なんで周りの人間は、そんな小さいことに、悩んでいるの!?
そんなことで・・・ウルサいねん!と、内心は思っています」

あかん、あかん。そんな乱暴な言葉遣い、あきませんって。
これから、読者の皆さんと、長~くお付き合いをさせていただかないとあきませんねんで。もっと、上品な言葉遣いを心掛けて下さい。
って、「お前、誰や?」ですか。すんません、自己紹介が遅くなりました。彼女の一番のファンで、応援団長。でも、まぁ、ここでは、この物語の黒子。「ほくろ」とちゃいますよ、「くろこ」です。お話しが苦手の彼女に代わって、この物語を進めて行くと言うか、彼女の言葉を翻訳すると言うか、通訳すると言うか、時に意訳も入るかと思いますが・・・えっ?「誰や?」とは、ボクのこととちゃう?あぁ、この写真の彼女のことね。
では、知らざあ言って聞かせやしょう、車椅子ダンサーの元日本チャンピオン、MIHOさん、その人なのでございます。

MIHO ドアップ

1988年6月生まれと言うことですから、今年、33歳。えっ、「にしては、この写真、若く見える」ですか?まぁ、その通り。2015年に撮影したものですから、確かに少し若い。でも、この勝ち気な眼差しは、今も健在です。
ところで、「車椅子ダンスの元日本チャンピオン」とあるけれど、そもそも、その車椅子ダンスって、何ぞや?と首を捻っておられる方もおられると思いますが、まぁ、そこは慌てんといて。おいおい紹介させていただきますが、一言で言えば、その名の通り車椅子でダンスすることですよね。
当たり前か。その写真がこちら!

MIHO 車椅子 背伸び

もちろん、この写真のモデルもMIHOさんです。
どないです。カッコよろしいやろ。
でも、彼女は、車椅子なしでは生活できません。と言うのも、彼女が誕生してから5ヶ月後に脊髄の神経内に腫瘍、すなわち小児ガンが発見され、腫瘍そのものは手術によって無事摘出されましたが、その後遺症で下肢に麻痺が残り、さらに背骨が湾曲する側湾症を患ったため、生まれてこの方、ずっと車椅子生活を余儀なくされています。
だからと言って、彼女、家に閉じこもっている訳ではなく、友達も多く、ちゃんと仕事もしておられます。生まれて間もない時期を除けば、一回も入院したことなどない、健康体。いたって普通の女の子です。う~ん、それは、去年の5月までは、かな。彼女は、こう言います。

「なんで自分ばっかりやねん!と、めちゃくちゃ思いますね。周りのみんなが、お気楽に見えて、腹の立つ日も増えた、と思いますね」

なんで、彼女は、そんなに怒っているのか。実は、彼女、去年の5月に腎細胞ガンが発見されたのです。ガンはリンパ節までも侵していると言う、いわゆるステージ3レベル。結局、手術で、腎臓の片方を失いました。その手術も、一筋縄ではいきませんでした。何故なら、彼女の背骨が大きく曲がっていることから、内臓にも大きな影響を与えていたからです。

「普通と違うとメチャクチャ言われましたよ。臓器が“ある場所”にない、って。もうハァ!?と言う感じですよね」

普通と違うとは?また、臓器が“ある場所”にないって、さて、どう言うことなんでしょうか?それも、次回以降にお伝えしていくとして、彼女は、現在32歳、いや去年の5月やから31歳の若さにして、実に二度もガンを患うはめになったのです。そりゃ、腹も立つし、他人に当たりたくなるのも分かります。

「もっと、他におったやろ!性格の悪い人なんか、もっとおるし・・・」

だから、アカンって、そんな乱暴な言葉遣いは。そして、彼女は、こう続けました。

「でも、まぁ、仕方ないかと」

さらに、少し一拍置いて、心落ち着けてからこう話しました。

「二つのガンには関連性はないようです。すなわち再発ではありません。ですから、私は(ガンに関しては)“終わった人間”だと思っていたので、もう一回“当事者”になるとは思ってもみなかったですね」

そして、もう一拍置いてから、こう続けられました。

「こんなこともあんのか、と思って、これって、めっちゃ珍しいことちゃうのと思って、こんな人もおるんやで、と・・・」

そこで、何かを伝えたくなったのですか?とお聞きすると、はにかみながら頷かれました。こう言うところが、少し控えめで内気。けれど、本人のSNSには、こう書き込んでありました。

「自分で言うのもなんですが、2度の癌って、こんなん本出せるやん!!って自分の人生に突っ込んでしまいました^^; でも文章書くの嫌いやし、下手やから絶対無理やけど^^;笑」

ならば、黒子が、その思いを紡ぎましょう!それが、このnoteを始めたキッカケ。さぁ、彼女の“人生”を覗いてみましょう。きっと、何かを感じることが出来るはず。
さてさて、今後、お付き合いのほど、よろしくお願いしたします。
                             (つづく)

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