妄想レイディオ #16

パパ!頑張れ!助産師からのエール

「夜な夜な倶楽部・妄想レイディオ」
今日は、ゲストに助産師でもありながら、その助産師の活躍の場を増やそうと言う会社・With Midwifeの代表・岸畑聖月さんをお迎えして、新型コロナウィルスの感染拡大で出産の現場にどんな影響があったかを伺っています。
いやぁ、ボクが思っていた以上に医療の最前線って、やっぱり大変だったんですよね。先ほどは、出産前の両親学校などが中止になったとお話しいただきましたが、曲の間に伺うと、産後もまた色々と影響が出ているんですってね?
「そうです。産後は産後で新生児訪問と言って、私たち助産師や保健師がご家庭を訪問して新生児の発育や栄養、疾病予防などの指導をさせていただくんですが、それも無くなっています。他にも2週間検診や、半年検診などもなくなり、現在は一ヶ月検診のみかと」

岸畑君 講演風景

わぁ、新米ママたちにとっては、不安でしょうね?
「そうですね。相談する場所もない、これは不安です。さらに、産後の問題は、里帰りが出来ない。まぁ、今は緊急事態宣言も解除されましたが、それまでは、推奨されていませんでした。支援してもらえると思っていた家族の支援がない!これは大変だったかと」
そうか。里帰りが出来ないと言うのは、これは確かに大変だ!
「私たちの会社のホームページにも、『もう限界です!』と言ったメッセージが届いていました。さらに、もっと大変だったのが・・・」
まだ大変な人がいるんだ!
「はい。特に、コロナに感染されておられるかも、と言う妊婦さん」
あぁ、そりゃ、大変に違いない、けど、どう大変かが想像出来ない。
「特に、コロナに感染されておられるかも、と言う妊婦さんは、分娩室では産めなくて・・・」
えぇ~!分娩室で産めないのなら、どこで産むんですか?
「感染が疑われる方は、感染病棟に隔離される訳ですが、そちらには分娩室は無かったことから、感染病棟の妊婦さんは、そのまま感染病棟の病室で
出産となるんです」
おぉ、そう言うことか。そんな事態の中で、妊婦さんは何て?
「私は、感染病棟の出産には立ち会っていないので、あくまで側聞ですが、立ち合いができなかった人からは、『想像していた出産じゃない』と言う声も寄せられていたようです」
そりゃ、そうだよね。そんなこと、誰も想像してなかったと思うよね。
「さらに、産婦に感染の疑いがあれば、赤ちゃんがオギャーと産まれた後は、母子分離と言って、お母さんは赤ちゃんを抱かぬまま、スタッフが『預かりますね』と、赤ちゃんを別室に連れていくんです。もちろん、全く抱けないわけではないですし、無理やり引き離すわけでもありません。きちんと説明して、対応していくんですが・・・」
もちろん、です。もちろん、きちんと説明されてのことでしょうが・・・、
やっぱり、辛いでしょうね!
「めっちゃ、可愛そうです。不安も強いだろうし。心のバランスも崩れないか、心配です」
ですよね~。さぁ、そんな不安だらけの妊産婦に向けて、助産師の皆さんは、どう対応されるんですか?
「う~ん・・・頑張ろうね、と励まして・・・不安な気持ちには、そうよね、と受け止めて、そして・・・、そう、貴女は産めるわよ、とエンパワーメントするんです。女性は必ず一人でも産めるから。赤ちゃんだけは、貴女から絶対離れないから・・・とお声を掛けますね」
おぉお!励まして、受け止めて、勇気を与える。こんな上司が欲しかったなぁ。それにしても、助産師の仕事って、素晴らしいお仕事ですね。
が!しかし!!ちょっと、待ってよ。「女性は必ず一人でも産めるから」って、あのぉ、パパはどうなの?パパの立場が無いんだけど・・・
「アハハハハ。そう思われますよね、そう言っちゃうと。(笑)でも、助産師がいくら妊産婦さんに寄り添っても、テレビ電話で夫やパートナーさんの顔を見るだけで、妊婦さん、産婦さんは、リラックスされるんですよね。やっぱり、夫婦の愛って凄いなと思いますね」
おっ、ええ話やん。
「それまでズッと、不安、不安、怖い、怖いと言っていた妊産婦さんが、例えば、それまで陣痛ごとに苦しい表情をしていたのが・・・」
お、いわゆる“産みの苦しみ”と言うやつやね。
「そうそう、その苦しい表情をしていた妊婦さんが、夫の顔をテレビ電話越しに見るだけで、落ちついて、その後ちゃんと呼吸法が出来るようになったとか、出産までは表情が固かった妊婦さんも、出産後にテレビ電話が繋がって、パパになった夫の顔を見ると、もう、瞬く間に表情が緩んだりします」
ほぉほぉ、そうでしょ、そうでしょ。パパは、大事なのでありますよ。良かった、パパにも役目があって。
さぁ、だんだん残り時間が少なくなってきましたが、こうした出産現場を取り巻く環境って、一挙に改善する、と言うことは、なかなか期待出来ませんよね。
「そうですね。今の時点では、見通せませんね」
では、これから出産の控えている、あるいはその可能性のある方々に、どんなアドバイスをされますか?
「まず、一つ言えるのは、私たち助産師がいますよ、と。いつでも頼っていいですよ、と」
なるほど。そこで、岸畑さんの、これは会社の方だけど、どんな助産師さんが、どこにおられて、何が得意なのかなどが一目で分かる簡単検索サイトを立ち上げた訳ですね。
「はい。Meets the Midwifeと言うサイトです」
リスナーの皆さんもご興味あれば検索してみて下さい。
そのURLはこちらです。http://mtmidwife.jp/
「でもね、こうしたサイトを作っておきながら、こう言うのも変かもしれませんが、出産って誰かのサポートで乗り越えるものではなく、“自分が産むんだ”と言う気持ちを作ってあげるのが大事なんですね。私たち助産師は、いつでも側にいるし、サポートはするけれど、“主役は貴女だよ”と言うことが大事」
うん?それはどう言うこと?
「誰かが助けてくれる、サポートしてくれるはず、じゃなくて、自分と、今お腹の中にいる赤ちゃんとで、妊娠・出産を乗り切るんだと言う“覚悟”だったり、その“気持ち”を作っていくのが大事なんですよね」
覚悟!おぉ、何だか沁みる言葉。覚悟、ね。それは、思うよね。環境が激変した。さぁ、この新しい世の中をどう生きていけばいいのか、覚悟を決めなければ、と。これまでいい加減に生きてきたボクですら思うものね。
ところで、何度も、こだわって誠に申し訳ないのですが、「自分と、今お腹の中にいる赤ちゃんとで、妊娠・出産を乗り切るんだと言う覚悟」と言うことですが、そこにまた、パパがいないんですが・・・
「あはははは。こだわりますね。私たち助産師が、いくら寄り添いますと言っても、こう言う時に、本当に、物理的に側にいてあげられるのはパパだけなんですよ」
じゃぁ、じゃぁ、そのパパさんにもアドバイスをお願いします。パパに何が出来ますか?
「パパと一緒に出来ることは妊娠中、本当にたくさんありますよ。そうですね、例えば情報収集。先ほどご紹介いただいたサイトだって、やっぱり探し出してもらってこそ、です。また、自分からはSOSを出せない妊婦さんもいるかもしれない。そんな時は、パパさんがしっかり発信して欲しい。今こそ夫婦でしっかり話し合って、夫婦でどう乗り越えていくかを考えると言うことが大事だと思いますね」
確かに情報収集などは、パパさんも得意かも。
「そうですね。パパさんには、広くアンテナを張って欲しいと思います」
さて、今、ママとパパについて、お話しをしていただきましたが、この時期に産まれて来た赤ちゃんに、例えば、4~5年後、言葉が分かる歳になったところで、その子たちには、岸畑さんなら、何と言葉を掛けますか?
「よく、あの時を選んで出てきたね、凄いね、って(笑)」
あはははは。確かに、将来においては「良い思い出」になっているに違いありませんよね。その子に、「お母さんは偉かったんだよ」と伝えたらいいかな?
「あのね、KUNIさん!」
あっ、ハイ!なんでしょうか?
「あのね、KUNIさん!お母さんは、いつの時代も・・・エライんです」
ハッハ~!大変失礼いたしました。その通りでございまする。お母さんは、いつの時代もエライ!全くもって異論を挟むつもりはございません。
その一方で、パパさんたちに、将来、掛ける言葉があるとすれば。
「よく、ママたちを支えてくれたね、と」
おぉ、ありがたきお言葉。
「いや、本当に、パパだけなんですよ。妊婦を側で支えられるのは。最後の頼み綱、最後の砦なんです。いくら私たちが妊産婦のことを思っていても、パパには、やっぱり勝てないんですよね」
おぉお!パパ、やるじゃん!と言うか、やらなあかんのですね。わっかりました、って、ボクがパパになるわけちゃうけど。これから出産を控えておられると言うご夫婦の皆さん!覚悟をもって、夫婦一緒に、立ち向かって下さいね!
「もちろん、私たち助産師も支えていきますので」
いやぁ、今日のお話は、情報としても有意義だったし、元気ももらえたし、何となく男として、ピッと背筋が伸びた気がします。本当に、ありがとうございました。
「こちらこそ、ありがとうございました」
さて、最後に、また一曲おかけして、番組を締めようと思うんですが、これも岸畑さんのチョイスの一曲ですね。
「はい!妊婦さんに届け!と思って選びました」
なるほど、やっぱり「ありがとう!」なんですね。分かりました。
今日のゲストは助産師の岸畑聖月さんでした。
皆さん、おやすみなさい。また、良き明日、良き朝をお迎え下さい!
ラストナンバーは、いきものがかりの「ありがとう」です♪ (了)

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