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「妄想レイディオ」

今日のゲストは、明日華・25歳。“送り人”やってます

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とある街角に設けられた、小っちゃなラジオスタジオ。
そこで、夜な夜な繰り広げられる「一人喋り」。
決して中身のあるトークではないけれど、
時に、リスナーの心に突き刺さる。
番組の命綱は、一台の電話だけ。
そこで語られる話題は、フィクションなのか、ノンフィクションなのか。
そもそも、ラジオじゃ、顔が見えない。
さらに、電話で話すのであればなおさらだ。
しかし、何か心に残る。あなたの心にも、何か残れば、なお嬉しい。
今夜もオンエアまで、5秒前、4,3,2・・・

今晩は、DJのKUNIです。
午前0時を回り、今夜も始まりました「夜な夜な倶楽部・妄想レイディオ」
毎回、KUNIの独断と偏見で気になるニュースを取り上げ、そのニュースの内容をキッカケに、いつもの通り、知的でお馬鹿で、ちょっとエッチなトークを繰り広げます。
番組の命綱は、この一台の電話だけ。
(SE:リリ~ンと、電話が鳴る音)
リスナーの方とこの電話を繋いで、KUNIとのお喋りと、素敵な音楽で、朝までおつきい下さいませ。さて、さて、今夜の気になるニュースは、こちらです。厚生労働省と警察庁は、去年・2019年の自殺者数を発表しました。それによりますと、その数は2万169人だそうで、10年連続して減少し、統計を開始した1978年以来最少なんだそうです。さて、これは良いニュースなのか、どうか?まっ、減ったことは良いニュースなんだろうね。しかし、2万人もの人が、1年のうちに命を絶っている。1年間で、交通事故で亡くなる人の数って、去年で、およそ3200人と言うことだから、ちょっと待ってよ、実に6倍を超える人が、自ら命を絶っているってことでしょ。
さらに、さらに驚いたのが、20歳から80歳代以上、すなわち我々・大人たちの自殺はここ数年減少傾向にあるにもかかわらず、リスナーの中にも多いと思うけれど、10代の若者の自殺者数は、反対にここ3年連続で上昇しているそうです。
お~い、大丈夫か!?ティーンの皆さん!若者の皆さん!!
DJ・KUNIの10代は、陸上と野球、そして女の子にしか関心などなく、「死」であるとか「死ぬ」、「自殺」なんて言葉、ボクの辞書には入っていなかったし、実際、最近よく見聞きする「自死」と言う言葉などは、KUNIの時代には新聞やテレビなどでも使っていなかったと思う。「死ぬ、死ぬ」なんて、隠れて回し読みしたエロ小説の中でしか知らなくて・・・なんてお話はおいといて、流石に昭和生まれのおじさんDJには、なかなか今時の若者の「死生観」と言うのは分からないので、いつもの通り、ゲストにご登場いただきましょう。
今夜も電話が繋がっています。ゲストの方はどんな方?しっかり、ざっくり、ゴチャゴチャと、いつもの通り、くっちゃべっていこうと思います。
さぁ、ゲストの方をお呼びしましょう。もし、も~し!
「はい!今晩は。明日華です」
おっ、明日華ちゃんって言うんだね。明日華ちゃんはいくつ?
「25歳です」
25歳!ピチピチのギャルだね!!
「ピチピチのギャルって、久しぶりに聞きました。そんな言葉、もう死語じゃないですか。それに25歳は、もうピチピチじゃないですよ。シャワーを浴びても、全然水を弾かなくなりましたし」
おっと、最初から、おじさんと若者の定番トーク!では、リスナーも気になる明日華ちゃんのスリーサイズは、って、もうこれもセクハラだと言われるんだよね。ラジオもやりにくい時代になってきた。
「スリーサイズは、知りませんが、身長は173センチ、体重60キロです」
おぉ、女性にしては大きいんだ。
「その“女性にしては”と言う表現、全然好きではありませんが、靴のサイズも26.5センチあるので、決して小さい方ではないですね」
そんな明日華ちゃんは、今、何やってるの?
「う~ん、なかなか一言では言い表しにくいのですが・・・」
じゃぁ、二言、三言で。時間はいくらでもある。夜は長いよ。
「肩書きで言うと、一つ目は学生です。介護美容の学校に通っています」
介護美容?
「そうです。メイクセラピーや福祉ネイル、タッチケアとか、寝たきりの方へのカットの方法などが学べて、介護士や看護師さん、そして、美容師や理容師さんが、通っておられます」
なるほど、福祉の業界で美容に興味がある人と、美容の業界で福祉に興味がある人、いわば2種類の人々が通う学校なんだね。じゃぁ、明日華ちゃんは、どっち側の人なの?
「そうですね。メイクを使って、誰かを笑顔にしたいと言う思いを14歳の頃から持っています。大学も福祉の学科に進みました。美容×福祉の仕事をしたいとズッと思っていますが、まだ模索中かな」
おっと、今、ディレクターが、明日華ちゃんのプロフィールをスタジオに持ってきてくれたけれど、おぉ、君って、あのキャンパスの綺麗な名門私学の社会福祉学科を出てるんだね。ますます興味が湧いてきた。大学を卒業して、もう一度、専門学校に入り直して得た肩書きが学生なわけね。じゃぁ、二つ目の肩書きとは?
「メイクセラピストかな。高齢者福祉施設や障害者施設などを訪れて、メイクやマッサージを提供しています。基本、ボランティアですが」
なるほど。メイクで誰かを笑顔にしたい、と言う君のポリシーに実に沿った活動だよね。やるじゃん、明日華ちゃん。しかし、その話しっぷりから言うと、まだ、他にも肩書きがあるんだね?
「はい、あと二つほど」
あと二つも。じゃぁ、3番目の肩書きは何?
「被写体です」
被写体?って、何それ?モデルのこと?あっ、君、身長も高いと言っていたし、モデルさんやってるの?
「いや、モデルではないんです。モデルと言うと、私の中では商業的なイメージが強くて、広告の人、と言う感じ。私がしたいのはそうではありません。芸術と言うか、言いたいことの表現者と言う感じです。そもそも、これは、お仕事じゃないし」
あっ、スタジオに、明日華ちゃんの写真が届いたよ。確かに商業写真じゃないよね。でも良い感じ。何かを伝えようとしていることは、ボクにも感じられるよ。

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「私、この被写体をやっていて、大事にしていることがあるんです。それは完璧じゃないこと。私は、あくまで一般人。特別綺麗でもないし、細くもない。いわゆるモデル体型じゃない。あくまで普通の人。そんな私が、写真を通して、皆さんに問いたいんです。美しさって何ですか?って。美しいのは、広告のモデルさんだけじゃないよね、と言いたい。そして、私の作品を見てもらって『そんなに悪くないよね』と感じてもらいたい。でも、日本人って、こうあるべきと言う理想を堅く持ってますよね。電車に乗って、壁に貼ってあるポスターを見れば『やれ!痩せろ』だとか『やれ!脱毛しろ』だの広告がいっぱい。でも、そうじゃなくてもいいじゃない!と言いたい。周囲には『私なんか・・・』と言う人、『自分のことなんか嫌い』と言う人が多い。そして、マルマルだから、バツバツだからと欠点をいくつも挙げる。しかし、そうじゃないところもいっぱいある。そんなこと、こんなこと全てひっくるめて、『まぁ、いいじゃない!』と、私の写真を見て思ってくれたらいいなぁと思っています」
なるほど!何故、君が、今日のこのテーマで、ゲストとして呼ばれたのか、何となく分かってきた気がしてきたぞ。さて、もう一つ、君には肩書きがあるんですよね。それは何ですか?
「ユカンシです」
湯たんぽ?
「ベタな反応ですね~。湯灌師です。う~ん、“送り人”と言えば、分かりますか?」
あぁ、映画になったやつね。ヤックンが主役を務めた・・・
「フックンです!」
ちょっと待ってよ、ウィキで調べるから。
まず湯灌とは、葬儀に際し遺体を入浴させ、洗浄すること・・・とあって、故人が男性の場合はその際に髭を剃られ、女性の場合は死に化粧が施される・・・とのこと。あぁ、化粧ね。ここか!ここで、君と湯灌師が繋がるんだ。
「はい、そうなんですが、たまたまと言うか、ラッキーだったと思います」
何故、明日華ちゃんが、送り人、湯灌師になったのかは、後ほどお聞きするとして、まずは、こちらの楽曲をお届けしましょう。
映画・おくりびとのイメージソング。歌はAIです。(続く)

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