妄想レィディオ　＃11

引きこもりの達人たちに聞いてみた

「夜な夜な倶楽部・妄想レイディオ」、今夜は緊急企画です。
新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、皆さん外出を控えられて、ご自宅でお過ごしになっているかと思いますが、あまりに長期間となりますと、流石にストレスが溜まっちゃう。そこで、“引きこもりの達人”たちと電話を繋ぎまして、どうやって引きこもればストレス無く過ごせるのか、その秘訣をお伺いしようと言うのが、今日のテーマなんですが、実は裏テーマもありまして、その“引きこもりの達人”たちとは皆、発達障害のある方々なので、この環境が激変した今、皆さんこそ体調に変調を来していないかと言う安否確認をしようと思っていたんです。いやぁ、何ともユニークで優しい企画。誰も褒めてくれないので自分で褒めます。
前半は、前向きなお話しが多かったとは思いますが、それでも皆さん、大変は大変なんですよね？まずは、ユイさんから、お願いします。
今日も、ダブルブッキングしちゃったし･･･

「確かに春先は、ダブルブッキング、トリプルブッキングは多くなるんですよ。環境が変化すると、グチャグチャグチャ～となっちゃうんですよ。なんかね、自分が今、何やるべきか全然分かんなくなっちゃうの。何かが崩れると、全部、崩れるんですよ」
「わぁ～、それは私も分かります」
おっとユーコさんも、烈しく同意ね。まぁ、ユーコさんも、実はダブルブッキングで、今日、ヤバかったんだもんね。
と言うことは、今まで、皆さん、楽しそうに喋っておられましたが、コロナの影響で、環境が激変しているし、先行きは見通せないし、本当は、大変なんじゃないですか？ユイさん、いかがですか？
「う～ん、どうなんだろう？」
あ、即同意って訳じゃないんですね。やっぱり、引きこもりに慣れているからでしょうか？
「この状態で、人と関わらないといけないとなると、確かにキャパオーバーですよね。人と会うと、やることも増えるし、余計に訳が分かんなくなっちゃうとは思いますよ」
今は家にいる、家から出られないと言うのが、逆に安心なんですね？
「そうですね。それに、ちょっとぐらい失敗しても、『今は大変な時だもんね』と言って許される気がしますもんね（笑）」
何とも言えない不思議な安心感が、今、皆さんを包んでおられるのですね。
しかしですよ、意地悪なボクは、さらに皆さんに詰め寄るんですが、過集中の傾向もある皆さんは、こんな風に時間がたっぷりあって、でも、家から出られないと言うような場合は、何かに没頭し過ぎてしまう･･･、なんて言う危険性があるんじゃないですか？
ユイさんは、20代の引きこもり中、何をして過ごされていたんですか？
「その頃って、ちょうどインターネットの常時接続と言うのが出現してきた頃で、ずっとネットばかりやってましたね」
ある種のネット依存だったんじゃないですか？発達障害の特性が強いと、時に依存症に繋がる場合がある。それが心配なんですよね。
「それはそうですね。例えば、アルコール依存症が増えると言う心配はありますね」
あとゲーム依存とかも、ね。ヨツバト君は、そんな傾向はないの？

「ボク、一時、任天堂のスイッチにはまって、1日に17時間連続ゲームしていて、翌日もまたやって、そして、そのままぶっ倒れたことがあります」
もう、ほとんど廃人やね！
「そん時、ヨツバト君、腱鞘炎にもなってたよね、ゲームのしすぎで」
おっと、ユーコさんが、横からヨツバト君をディスって来ましたが、そう言うユーコさんは？
「とかく言う私も、引きこもり時代は、ゲーム依存でした」
ダメじゃん！（笑）でも、これが心配なんですよね。時間は、余るほど、ある。この間に、何か為すことを見つけることは、とっても重要なことだとは思うんですが、アルコール依存であるとか、ゲーム依存になるのは、それは違う。ダメ！
じゃぁ、ヨツバト君は、そのゲーム依存をどう乗り越えたの？
「たまたま、そのぶっ倒れた翌日だったか、翌翌日だったか、ユイさんとお会いする機会があったんですよ」
おっ、そこで、ユイさんからは、何と？
「ヤバイよ！と」
おぉ、確かに、それはヤバイ。で、ヨツバト君はどう思ったの？
「はい。自分もヤバイ、と（笑）」
よく気付いた！よ～く、気付いたね。そして、どうした？
「さらに、その一週間後かに、ゲームを売りに行きました。そして、そこで得たお金で、ハッタツの仲間たちが参加する自助会に行く交通費にした方が、今の自分には得かな、と思って」
何とも極端！これも特性なんでしょうか。でも、賢明な判断、良き決断ですよね。
「私はね･･･」
はい、はい。同じくゲーム依存だった時期もあるユーコさんですが、この件に関して、どうぞコメントして下さい。

「私はね、本当は、時間がある今、絵を描きたいんです。でも、過集中になって、7時間、8時間も描き続けることは分かってる。生活リズムが乱れることは分かってる。だから、今、好きなことを、断っています。」
断っている？好きなこと、やめてるんですか？
「そうです。例えば大好きなマンガを読むことだったり、テレビを見ることだったり、編み物も。ＫＵＮＩさんが、ヨツバト君に向かって極端とおっしゃいましたが、私たち、ゼロか100なんですよ。だから、過集中になって、その後、必ずダウンしちゃいそうなことは、今は、断っているんです。その代わり、忙しく家事に勤しんでいます」
なるほどなぁ、自己防衛なんですね。
「僕は、ゲームの代わりに、たまたま友人から壊れたMacBookを貰ったので、これ直せるんじゃないかと思って、この間に直しましたよ。修理に出していたら、ある程度の金額かかっていたと思いますが、その修理代もかからず、MacBook、ゲットです」
MacBookって、中古でも数万円はするもんね。ところで、修理にはどれだけ時間がかったの？
「30時間、徹夜して直しました」
って、過集中！生活リズム、乱れてるやん！（笑）まぁまぁ、そこは特性か。仕方がない、と言えば仕方ないのかな？でも、ゲーム依存と違って、建設的ではあるよね。いずれにせよ、自律、自らを律することは、この時期、必要であることは間違いなさそうでうですね。
さて、今日は、緊急企画ですので、残り時間も後僅かになって参りました。そこで、最後に“引きこもりの達人”の皆さんから、リスナーの皆さんに向けて、良きアドバイスをお願いしたいと思うのですが、まず、「NPO法人DDAC・発達障害をもつ大人の会」の代表・ユイさんから。
「テレビ会議システム、例えばＺＯＯＭのような、便利なツールが出てきました。今のうちに、こうしたものに、もっと慣れておくことが大事でしょうね。そして、このコロナ騒動が終わった後に、今日は家から出られないとなった時にでも、こうしたものを活用出来れば、何か出来るんですから」
そうですよね。もし、今、リスナーの皆さんの中に、コロナ騒動の前から引きこもっていた、と言う方がおられたら、新しい風が、この“引きこもり業界”と言うのか、“引きこもりの世界”に吹いて来た、と言うことを、少し扉を開けて、もちろん実際の扉でもいいし、パソコン上、スマホ上の扉と言うか、テレビ会議システムのようなＷＥＢ上で人と繋がれる扉を開けてみる、と言うのは、今“あり”のような気がしますね。
では、「大人の発達障害当事者会・ついんくる」の代表・ヨツバト君もお願いします。
「正直、ネガティブに考えていけばいくほど、ネガティブになっていきますよね。テレビを見ていても暗いニュースばかりで。ある程度の情報は手に入れないといけないけれど、しがみつくようにテレビを見たり、ネットを見たりすると病んじゃいます。だから、こう言う状況だからこそ、楽しいことを考えたいですね。あるいは、今もユイさんのお話しにあったように、ＺＯＯＭなどで人とコミュニケーションが取れれば、決して“落ちる”ことはないんじゃないかな、と思っています」
今、ヨツバト君は、どんな楽しいことを考えているの？
「ＺＯＯＭで、もっと自助会とかが出来ないかと。これを上手く使えば、もっと色々な人と繋がることが出来るのではと妄想しています。だから、今、頭の中は、充実していますね。そこから実際に新しいことが見つかったらと思います」
「私やったら、ＺＯＯＭで、仮装パーティーがやりたい！」
はい、はい！お待たせしました。「一般社団法人UnBalance」の代表ユーコさんも、仮装パーティー以外でアドバイスをお願いいたします。（笑）
「まず、考えすぎないことですよね。どうすることも出来ないことを、どうにかしようとすうから、しんどいんですよ。余計なことを心配するな、と思います。答えが出ないことを考えても仕方がない。これは、コロナであろうが、コロナでなかろうが一緒。今もヨツバト君もおっしゃったように、今日は死者何人とかと言うニュースで、身内が亡くなったことがフラッシュバックして苦しんでいる当事者がいる。でも、それも言っても仕方ないことですよね」
「僕もユーコさんのおっしゃる通りだと思いますね。そして、自分が今、生きているのであれば、それで良くないですか？と思いますね」
発達障害の方って、平時と言うか、普段は、「私が悪い」「私のせい」だと思い悩む傾向が強いじゃないですか？でも、今は、皆が思い悩んでおられ中で、皆さんは“思い悩み”の先輩として、何だか頼りがいさえ感じるな。
「でもね･･･」
はい、ユーコさん、続けて下さい。
「今後、コロナが終息した後の自分と言うのも、考えておかねばなりませんよね。例えば、今、ゲーム依存になっちゃいました。しかし、さぁ、世間が動き出したと言う時に、自分がゲーム依存でどうするの？と思う。やっぱり、そこは自己管理。終息した後に、ちゃんと動ける自分でありたいと思いますね」
「こう言う時期って、ため込む時期だと思うんですね。コロナが終息した後に、それをバァッと出せばいいんじゃないですか。そう言う意味では、冒頭にユイさんがおっしゃったワクワクしている、と言うのには、僕も、同感ですね」
なるほどね。ここで、ユイさんからの感想がないのは、ユイさんは、本日、ダブルブッキングのため、いち早く、退室されたためなんですが、何だか、思っていた以上に前向きで、明るい話が伺えました。
ヨツバト君、ユーコさん、そして、ユイさん、本当にありがとうございました。また、機会があれば、この妄想レィディオにご登場下さい。
「ありがとうございました」
さぁ、エンディングは、この曲で締めましょうか。
先ほどもウルフルズでしたので、エンディングもウルフルズで、「明日があるさ」です♪
では、皆さん、おやすみなさい。また、良き明日、良き朝をお迎え下さい！（了）