妄想レィディオ #15

コロナ禍で闘う助産師

午前0時を回り、今夜も始まりました「夜な夜な倶楽部・妄想レイディオ」
今晩は、DJのKUNIです。
毎回、ボクの独断と偏見で気になるニュースを取り上げ、そのニュースの内容をキッカケに、知的で、お馬鹿な、お気軽トークを繰り広げます。
番組の命綱は、この一台の電話だけ。
(SE:リリ~ンと、電話が鳴る音)
リスナーの方とこの電話を繋いで、KUNIとのお喋りと、素敵な音楽で、朝までおつきい下さいませ。さて、さて、今夜の気になるニュースは、ちょっと古いデータでゴメンナサイなんですが、2018年に「ベビーカレンダー」と言う会社がこんな調査を行いました。それによりますと、出産経験者のうち、“立ち会い出産”を経験したと言う人は、実に74%!2003年当時は31%に過ぎなかったと言うことですから、もう倍以上に増えているんですね。
DJ・KUNIの世代では“立ち会い出産”なんて、もうテレビドラマの中だけのことかと思っていたんですが、いやはや現実はドラマを超えているんですね。
さぁ、そこで、です!このコロナ禍において、この出産現場はどうなっているんだろうな?と言うことで、この方をゲストにお呼びいたしました。
もし、も~し!こんにちは!!
「はい。こんにちは。助産師の岸畑聖月です」

岸畑君ワンショット

岸畑さんは、助産師でもありながら、その助産師の活躍の場を増やそうと言う会社、これはウィズ・ミッドワイフと読むのかな?その会社の代表も務めておられるんですよね?
「そうです。Midwifeって、英語で助産師のことなんです」
あっ、そうなんだ?
「Midは“共にいる”、寄り添うと言う意味。Wifeは女性、つまり助産師は、もともと“寄り添う女性”のことなんです」
へぇ、こう言っちゃうと歳がバレるけど、助産師イコール産婆さんで、赤ちゃんを取り上げる人のイメージがあったけど・・・
「もちろん出産のお手伝いを中心に、“性”のことに関して、例えば性教育を行ったり、女性の生理のことだったり、そうそう、男性の不妊治療のことだったり、妊娠・出産・子育てのプロフェッショナルのことです。あっ、更年期のことも相談にのります」
男性にも更年期ってあるんだってね、そろそろ俺もって・・・今日は、その話題じゃないや。岸畑さんは、そうした助産師さんのネットワークを構築する会社の経営者である訳だけど、実際に、まだ病院でも働いておられるんですよね?
「はい。週一回、総合病院の産科で、当直をしています」
そっか、いわゆる“医療従事者”でもあるんだ。本当にお疲れ様であります。リスナーの皆さんを代表して感謝を申し上げる次第でありますが、やっぱり医療の最前線は、このコロナの影響で大変ですか?
「ここに来て、ようやく・・・と言う感じですが、まず、物資不足が一時は深刻でしたよね。マスクなどは、一週間に1枚きり、みたいな時がありました」
えぇ、一週間に1枚!?
「やっぱり、色々と飛んでくるんですよ。乳房マッサージしてたらお乳が飛んでくるし、出産介助してたら羊水が飛んでくる。それでも一週間に1枚。そんなマスクなど付けない方がいいぐらいなんですが、付けない訳にはいかない、コンプライアンス的にね。なので、マスクの間にガーゼなどを入れて対応していました。フェースガードなども、自分たちで作りました」

岸畑君フェースガード

そうなんだ、自分で作っちゃうのね?
「医療用のガウンも作りましたよ。ゴミ袋を使って」
あぁ、ニュースで、ゴミ袋を使った防護服作りの動画など見てたけど、本当に医療現場で使っていた、と言うか、作ってたんだ、自分たちで?
「そうです。当直の時など、スタッフみんなでね」
と、言うか、そんな暇あるんですか?出産への立ち会い頻度って、どれぐらい?例えば、このコロナの感染が拡大した3月・4月・5月の3ヶ月で、どれぐらい?
「えっ、えぇ。う~ん、そんなの数えたいことないし。出産に立ち会うと言っても、取り上げるだけでなく、間接介助とか、新生児対応などもあって、う~ん、数え切れない」
数え切れない、って、岸畑さんは、週に1回の当直のみ、ですよね。それで、数え切れないって
「一回の当直で、平均して3回くらい出産に立ち会います。多い日と言うのもあって、そんな日は、10回程度は立ち会うので、3ヶ月合計で、と聞かれても、すぐには回答出来ないんですよ」
そんなに!少子化、少子化と聞いていたので、まぁ、出産もポツリ、ポツリとある程度かと思っていたので、もう、オッタマゲ!です。しかし、それだけの出産に、先ほどもおっしゃっていたように必要な物資も一時は届かない中で、このコロナ禍の中で立ち会うって、どうだったんですか?やっぱり怖かった?
「う~ん、一番の気持ちとしては、産婦さん、ゴメンね、と」
おっと、自身が、怖いとかじゃなく、産婦さん、ゴメンね、と。それはどう言うこと?
「出産って、一生のうちに、一回か二回しかない。そんな人生の重要な局面で、家族の立ち会いも出来ないし、私たちのサポートも、やっぱり通常時よりは行き届かない。不安も多いだろうなと分かっていても、どうすることも出来ない。なので、ゴメンね、と」
そうそう、そこが今日、聞きたかったんですよ。今は、立ち会い出産が、もう主流になっていると言う中で、このコロナの影響で、そこんとこは、どうなっているんだろ?と思っていた訳ですよ。実際、やっぱり、立ち会えないんだ?
「コロナの影響で言うと、まず両親学級、母親学級と呼ばれるものが、一斉に中止になりました。妊婦さんって、事前に学んでいただくことが多くて、例えば妊娠初期であれば、今後の身体の変化についてだったり、どう言う栄養を取っていかねばならないとか、赤ちゃんの今後の発育のことなどを学んでもらっています。妊娠中期になれば、合併症のことだったり、お腹が大きくなることの注意事項とか、出産間近になれば、どんな準備がいるとか。この頃には、パパにも登場していただいて妊娠体験ジャケットと呼ばれるものを着てもらったり、とか」
妊娠体験ジャケット、聞いたことある、あります。上半身コルセットみたいなあれでしょ、おもりが入ってるあれ。そんなことも、今、本当にしてくれるんだ。
「そうです。パパにも、ママが今後どう変化していくかを分かってもらおうと、今は、大概、どこでもやっているかと思いますよ」
しかし、そうしたこと、全てが中止になったと。
「そうです。これって、集団指導なので、やはり3密。しかし、産前教育って、産後のウツや育児不安を軽減されると言われているので、まず、これが出来なくなった、と言うのが大きい」
そして、今、『まず』とおっしゃったように、その後、色々と弊害が出てきた訳ですね?
「面会制限が行われて、その後、さらに厳しくなって、付き添いの家族は、病院に妊婦を連れてきても、玄関から先には入れない、と言う状態になります。ですから、お腹が痛いと言って家族とともに病院を訪れても、夫は、入り口まで。そこから病棟までは、妊婦さんが自分で行かねばなりません。実際、『痛い』と言って病棟に上がってくる、それはホント辛そうでしたね」
そして、その後、立ち会い分娩も無くなった、と言う訳ですね。
「そうです。3月から」
立ち会い分娩を望んでいた妊婦さんからは、どんな声が出ていたんですか?
「『こんなはずじゃなかった』とか『どうしてダメなの?』とか。出産後には『夫がそばにいたら、もっと頑張れたのに』とか、ね」
なるほどなぁ。じゃ、そんな時、助産師の岸畑さんは、妊婦さんにどう声を掛けるんですか?
「そうよね、と言うしかありません。そして、その妊婦さんに寄り添う、出来るだけそばにいてあげるだけ、ですよね」
う~ん、辛い!本当に、辛いだろなぁ。新型コロナウィルスの馬鹿野郎!とムチャクチャ大きな声で叫びたくなるよね。
さぁ、ここで、一旦、気分を変えましょう。
そんな大変なお仕事を続けていた岸畑さんが、元気復活のために聞く曲って、何ですか?
「Superflyの『輝く月のように』です」
おぉ!誰かのために生きたい!と言うのは岸畑さんの想いそのものなのかな?では、その一曲をおかけしましょう!準備出来たかな?オッケー?オッケーね。では・・・
Superflyの『輝く月のように』です。(続く)

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