妄想レイディオ #17

今こそ「手話」の魅力を伝えたい

午前0時を回り、今夜も始まりました「夜な夜な倶楽部・妄想レイディオ」
今晩は、DJのKUNIです。
毎回、ボクの独断と偏見で気になるニュースを取り上げ、そのニュースの内容をキッカケに、知的で、お馬鹿な、お気軽トークを繰り広げます。
番組の命綱は、この一台の電話だけ。
(SE:リリ~ンと、電話が鳴る音)
リスナーの方とこの電話を繋いで、KUNIとのお喋りと、素敵な音楽で、朝までおつきい下さいませ。さて、さて、今夜は、こんな数字からご紹介いたしましょう。522億円!何の数字かと言いますと、これは、新型コロナウイルスの影響で、コンサートや演劇など文化芸能分野の公演が中止や延期になったことによる、その損失額です。何ともデカイ数字ですが、実は、これ、文化芸術推進フォーラムと言うところが、3月中旬時点で推計した金額です。3月中旬!と言うことは、今だと、多分、もっとビックリするような数字になっているはずです。そこで、そうした文化・芸術に携わっている方に、電話を繋ごうと思って、誰かいないかなぁ~と思っていたんですが、いました、いました。普通のラジオ番組なら、まず思いつかない、「妄想レイディオ」ならではのゲストと繋がっています。
もしもし!リョージ君、こんばんは!
「はい!こんばんは!手話エンターテイメント発信団oioi(おいおい)のリョージです」

リョージ君

手話エンターテイメント発信団oioi!皆さん、ご存知ですか?ホント、今や、知る人ぞ知るエンターテイメント集団なのであります。ねっ!?
「ありがとうございます。手話を使って、手話歌とか手話ダンス、そしてコントなども披露して、聴覚障害者と、そうではない人たちの間にそびえる、心のバリアをぶっ壊そうと言う団体です」
手話と聞くと、まぁ、福祉をテーマに、まぁ、お勉強系と言うか、まぁ、真面目なイベントかなと思う人も多いと思うんですが、それが、全く違うんですよね。エンターテイメント集団と言う名に恥じない、本当に面白い、いや時にお馬鹿なパフォーマンスを繰り広げてくれるんですよ。もう腹を抱えて笑っちゃう。なので、今、大人気!自治体などから、もう引っ張りだこと言っても過言ではないんですが、このコロナ禍で、そんな人気集団にも、大きな影響が出ているんですよね?
「はい、もちろん。3月は12件、4月は6件、5月も5件、全部中止・延期になりました。6月以降のイベントも中止・延期が出てますね」

画像2

やっぱり。でも、3月が、特に多かったんだね。
「3月3日が耳の日なので、手話関係、聴覚障害関係のイベントが目白押しだったんですよ。でも、それも全て中止です」
なるほど、そっか、それは本当に残念!って、そうそう、今、リョージ君が聴覚障害関係のイベントとお話しされましたが、この手話エンターテイメント発信団oioiは、およそ3分の1が、耳の聞こえないメンバーです。そして、リョージ君もまた、聴覚障害者なのであります。
「それでも、ボクはoioiの中では聞こえている方だと思いますよ。右耳で聴力は約90デシベル、左だと50デシベル程度ですから」
リスナーの皆さんはご存知ですか?この聴力を示す数字。これって、小さいほど、よく聞こえることを示すんですよ。まず、聴者が聞き取れる最も小さい音がゼロ。だいたい20デシベルまで聞き取れれば正常だと言われています。リョージ君の言う50だと、中度難聴になるのかな?大声で話さないと聞き取れない。それが90だと、横で、相当大きな声で、もう怒鳴るくらいの声量で話さないと聞こえないと言われています。
「まぁ、そんな感じかな」
さぁ、そこで、リスナーの皆さんは「うん?」と疑問に思われませんか?そんなリョージ君と電話を繋いで、どうしてそんなにスムースに会話が出来ているのか?と。多分、本当に、一昔前みたいに、電話しかない時代なら、こんなゲストブッキングは不可能だったと思うんですが、今や、遠隔会議システムがある!具体的に言っちゃうとZOOMを使って、今、リョージ君とお話しをしているのであります。
リョージ君は、口話、すなわち、ボクの口を見て、ボクが何て話しているかが分かる。もちろん高性能の補聴器も付けておられる。そして、ちょっとややこしいようなワードは、こうやって・・・チャットで文字化しながら、コミュニケーションを取っていると言う訳ですよ。
リョージ君は、以前から、こうしたツールがあることは知っていたの?
「知ってはいたんですが、使おうとは思わなかったですね、と言うか使うと言う発想はなかったですね」
そうなんだ。じゃぁ、いつから、使い始めたの?
「このコロナの感染が広がって、パフォーマンスの稽古が出来なくなって来て、皆と会うことも出来なくなって来て、このまま何もしないでいると、イベントが再開された時に、僕たちのパフォーマンスがレベルダウンしたと言われるかも、それは嫌だな、何かしなければとなった時に、このシステムを使い始めました」
なんだ、ボクらとあまり変わらないんだ。で、使ってみてどう?
「そりゃ、正直、本当は会ってお喋りしたいですよ。やっぱり、直接会って喋る方が、相手のリアクションとか、細かい仕草、その雰囲気とかが分かる。でも、オンラインだとそれが無くなっちゃいますもんね。でも、一つの繋がる手段としてはムチャクチャ良いかなとは思います。色々な人の顔を一度に見られるとか、遠いところにいる人とも気軽に繋がれるのは良いな、こうしたツールがあればこそだなぁ、とは思いますね」
なるほどね。でも、先日だったかなぁ~、聴覚障害者はテレビ会議に参加しづらい、と言ったような記事を見たけど、便利は便利なんだね。それでも、やっぱりある程度の配慮は必要?
「そうですね。複数の方々とグループで会話をする時に、いきなり話し始められると、誰が話しているか分からなかったりします。『喋っている人の画面が光るからいいじゃん!』と言われるけど、光っていることに気がついて、そっちを見ても、話の最初の部分がもう終わっていて、その後の話が何の話なのか分かんなくなっちゃうと言うことが、やっぱりあるんですよ」
そっか。じゃぁ、そんな時はどうすればいいの?
「そう言うときは、こうやって手を振ってから『今から喋るよ!』と合図を出してから話を始めてくれれば嬉しいです」
確かに、参加メンバーが多い時には、ボクらでもあるなぁ、そう言うことって。それはいいアイデアかも。
「さらに、表情や身振りをオーバーにしてくれないと、このwebシステムでは伝わらない、と言うか、分かりづらい。伝えたいことがある場合は、ちょっと意識して、少しオーバーに身体を動かしてくれればいいですね」
確かに。それも、ある!
「それと、やっぱり、ゆっくり話をしてもらえると助かります」
あと、口元を見せる感じで?
「そうですね。カメラに向かってゆっくりと話してくれたら助かります」
いや、確かに、webシステムを使う際に、聴覚障害のある皆さんに、どんな配慮が必要か?・・・と聞いたけど、これって、誰にでも優しい配慮だよね。いやぁ、ボクだってそうだもん。さっきもちょっと言ったけれど、ZOOMで、大勢でミーティングとかしていて、誰かが話したけど、誰が話しているのか分からず、誰?誰?誰?と目をクルクルさせているうちに、話が終わっていて、誰が、何を、話とってん?と言う場合あるもんね。さらに、webって、電波の不調で「あっ、固まったかな?」と思った後、その分を取り返そうとしているのか、会話が何だか倍速な感じで流れる場合あるじゃん。なので、普段から早口の人が、そうなると、もう、ホント何を言ってるのか分からない、とサンドウィッチマンの富澤さんみたいな台詞を吐いちゃう時あるもんなぁ。webの際は、意識して少しゆっくり話して欲しいよね。
「そうなんです。聴覚障害者に限らず、その場にいる皆が皆で、その場を居心地よくするためには、どう言うことをやっていこうかと、皆で考えていくことが重要だと思いますね」
おぉ、良いこと言う!それ、それ!こうした事態が起きると、何だか人間関係って、ギスギスしちゃうことって多いと思うし、世界を見ていると、そうしたことが実際に起こっているとは思うけど、その一方で、気遣いとか、優しさが増す感じもするよね。
特に聴覚障害に関しては、このコロナ禍において、注目が高まったような気がするよね。
「そうですね。聴覚障害がピックアップされる機会、話題が増えていると思いますね。例えば、安倍総理の会見の時に、本当は横に手話通訳者がいるのにテレビでは映らなかった。文字情報があればいいだろうと言う発想があったんでしょうが、聞こえない人の中には、文字情報で読み取れる人もいれば、手話の方が読み取りやすい人もいて、やっぱり手話通訳者の映像を、画面の端でもいいから、いわゆるワイプで見せてくれ、と言う声が数多く届けられて、それが話題になって、実際に、そうしたワイプ画面が付くようになって、今は、もう断然見やすくなりましたね」
会見と言えば、大阪府の吉村知事は途中からマスクを外して会見するようになったよね。
「そうです。聴覚障害のある府民から、マスクを外さないと何を言っているか分からない、と指摘を受けたからなんですが、そのマスクを外すこともニュースになりましたから」
なるほどね。大いなるキッカケになっている、と言う訳ね。
「例えば、僕らが参加するweb会議でも、マスクをしてる方も、確かにおられます。でも、今では、回りに人がいないなど環境が許せば、マスクを外して下さいとお願いをすると『あっ、そやった、そやったね』と皆さん、外してくれるようになりましたね」
そっか。このコロナ禍も、「気づき」のチャンスに変えることが出来るかも知れないよね。例えば、マスクだって「透明なマスク」が開発されたと言うニュースもあったもんね。
「僕も付けてみたいと思います。でも、透明マスクよりも、今こそ普及させたいのが、手話です。今が、そのチャンスだと思うんです」
いや、それはボクも思ってたところなんだよね!今、コミュニケーションに色々と制限がかかっているけど、手話なら、ちょっと解決出来るんじゃないかって、思うの。
「その通りです。まず、マスクしながらでも意思疎通が出来ます。いや、喋らなくともいい。また、ある程度距離が離れていても、手話ならいける!どうです?今のこの事態において、大変、使えるコミュニケーション方法だと思うんですよ。手話には、実に可能性があると思いますね。また実際、そう考え始めている人も、聴覚に障害がある、ない、関係なく多くなっていると思います」
となると、早く、手話パフォーマンスをみんなの前で見せたいよね?
「そうですね。今は、メンバーと、このZOOMを使って手話の確認や台本の読み合わせ、さらに大喜利などは行っていますが・・・」
えっ?大喜利って何?
「あっ、笑いのセンスが鈍らないように、写真で一言!みたいなことをやってるんです」
IPPONグランプリやん!
「でも、みんなで、合わせての練習が出来ていない。細かい動きの確認が出来ない。ダンスも、このwebだと、どうしてもタイムラグがあるので、音楽をかけて合わせることが出来ないんですよね。手話を広げるチャンスだけど、今は、なかなかそれが出来ないので、もどかしいなと感じます。でも、今は、皆さんの前で、僕らのパフォーマンスを実際に披露出来る日のために、エネルギーをため込んでおこうと思っています」

画像3

おぉ、何とも前向き!ボクも、このステイホームがまだまだ続く中で、時間があるので、少しでも手話を覚えようと思うよ。
ところで、ナマのoioiが見られるのは、さて、いつ頃になりそうですか?
「今のところはっきりとお伝えできるのは、11月7日・土曜日に開催予定のHANDER WORLD Ⅲぐらいですかね?これは、僕らoioiが企画してるイベントなんで」
11月!やっぱり、随分先になるんだ!
「それまでは、このZOOMなどを使って手話講座などをやっていこうと模索中です」
oioiの活動の予定が知りたい人は?
「ホームページをご覧頂ければと思います。
https://oioi-sign.com/
です。さらに、KUNIさん、あるんですよ」

って、何があるの?
「手話を広げるためのおバカな映像作りをしようと、6月16日から、その制作費を募るクラウドファンディングを始めました」
おバカな・・・と言うところが、oioiらしいけど、常にポジティブで、前向きやね!
「そうですよ!前向きにやらないと、ね!クラウドファンディングは、こちらから詳細をご覧いただければ幸いです。
https://readyfor.jp/projects/shuwachanmovie?fbclid=IwAR2y71ioXcGo7zC_j1rE5mAcbKRnvL1r0erjXwJMuaPY4IXMhBq8FR66vIk
目標金額は90万円か。決して小さい金額ではないけれど、成功、祈ってるからね。では、最後に、リョージ君の好きな曲で、番組を締めようと思いますが、この曲は?
「親や家族、そして周りの人たちがいたから、今の自分がいる。素直に周りの感謝の気持ちが自然と湧き上がってくる、僕の大好きな曲です!」
わっかりました!今日のゲストは、手話エンターテイメント発信団oioiのリョージ君でした。ありがとね!
「こちらこそ、ありがとうございました」
では、ラストナンバーは、こちら。kiroroの「未来へ」です♪
皆さん、おやすみなさい。また、良き明日、良き朝をお迎え下さい!(了)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?