車椅子ダンサー・MIHOの 「二度目のガンになりました。 で、それが、なにか!?」
~第2話 何や、わからへん!~
「コロナで会社が休みで、ずっと家にいたんですが、明日から仕事と言う日の夜でした」
そう語りだしたのが、この物語のヒロインで、元車椅子ダンスの日本チャンピオン・MIHOさんです。MIHOさんは、赤ちゃんの時に患った小児ガンに加え、31歳の時に腎細胞ガンに罹ります。そう!再発ではなく、別のガン。二度目のガン。でも、彼女は、こう言います。
「それが、なにか!?」と。
そやけど、本当にそうなんやろか?人間って、そんなに強くおられるもんなんやろか?そこで、彼女の本音が聞きたいと、私、黒子が、皆さんの代わりに彼女、そうそう、この写真の彼女の“生の声”に耳傾けようやないか、と言うのが、この物語の趣旨でございます。
しかし、まぁ、この写真、何ともお気楽やなぁ。
さて、まずは、時計の針をクルリクルリと戻しまして、2020年の5月の、ある日の夜の出来事からご紹介していくのでありました。
「腰が痛くて、骨なのか、身体の中なのか、何かなぁと。でも、明日仕事なので、早く寝ないと、寝ないと、と思って、痛み止めを飲んで寝たんですよ。そうですね、そんな激痛ではないんですが、なんかジワジワ痛いなぁって。我慢できない痛みでは無かったですね」
なんとなく、ここでも、ホンワリとしているMIHOさんですが、とりあえず、痛み止めのおかげか、しっかり睡眠は取れました。しかし!その朝、驚くことが起きたんです。
「もう、ガッツリ血尿が出て、ウワァ、これは仕事にいかれへんとなって、病院に行ったんです」
まず仕事のことを気に掛けるのは、MIHOさんの真面目さゆえなんですが、さぁ、その病院で、何と、宣告されたのか!?そこで、告げられたのは、この言葉でした。
「何や、わからへん」
ガクッ!そうか。そんなもんなのか。その後、ドクターから言われたのは「膀胱炎じゃないし。まぁCTの予約を取ってから帰って」と言う言葉だけ。薬一つも処方されることはなかったそうです。
そして、CTを撮り、後日その結果を聞きにいくことになるんですが、そこで言われたのが・・・
「腫瘍があります。腎臓の下に。かなりデカイ。年齢的にも悪性とは考えにくいけれど、取るしかないやろね」
かなりデカイもんがあったのに、初診じゃ分からなかった。その理由は、また改めて解き明かしますが、結局、この病院では、手術は難しいと言うことで、大病院で改めて診察を受けることになったんです。しかし、そこで、またまた驚きの宣告をされるのです。
「良性の可能性は低い。血尿は膀胱炎が原因。腎臓の腫瘍とは関係ない」
そう、最初の病院とは真逆の診断が下されることになったのです。
だからと言って、黒子は、「最初の病院なんやねん!もう、訴えてやる!!」なんてことは思いません。これが、日本の医療の現状やと思いますね。日本の医療って、多分、世界最高水準なんやろうけど、どこもかしこも、どの医療機関がそうだとは限らない。そこに「格差がある」と言うのが現状なんちゃうんかなぁ~と、今回の事例を見ても、そう思わずにいられないのであります。いや、ちょっと偉そうなこと言うてしもたわ。
ところで、黒子は、この2度目の手術は、今流行の「腹腔鏡手術」で行われたものかと思っていました。しかし、実際は、そうではなかったんです。
「腹腔鏡手術は出来ないと。と言うのも、私の背骨が曲がっているので、他の人と同じように臓器が左右対称になっていないから、と言うのが理由でした。」
な、な、なんと。確かに腎臓は、普通、左右対称。それが、MIHOさんの場合には、骨が曲がっている影響で、そうなっていなかったそう。大きさも左右で随分と違ったと言います。
「さらに、お腹を切るときも、縦に切るだけで済むのか、横にも切るか、ちょっと分からないと。」
えぇ!やってみないと分からないと言うことですか?
「はい!」
はい、って!!いや、まぁ、相変わらずのMIHOさんでんなぁ~。
「だって、最初は、“へ”の字に切るかも、“コ”の字に切るかもとか色々言われたし・・・」
ちょっと待ってよ。MIHOさんのお腹は「黒板」でも「ホワイトボード」でもないで。そんなに色々な文字を描かんといて下さい。そもそも、女の子ですよ。身体に傷が残る手術、そのものが辛いにきまってるんやから。ねぇ!
「う~ん、元々(傷は)あるんで。そこまでは、気にならなかったですね。切って、どうにかなるのであれば、何でもやってよ、と言う感じでしたね」
と言うことで、実際の手術痕の写真がこちらです。正直、もっと生々しいものかと思っていたんですが、決してそうではなかったし、記録の一つやと思って、ここに掲載させていただきました。でも苦手な人は、ごめんなさい。
結局は、みぞおちの下から、おへそのちょっと先まで18センチ開腹。なので、“へ”の字でも“コ”の字でもなく縦に一本の傷で済んでいます。「うん?おへその上に、横に一本傷があるのでは?」と気付いたあなた!その通りです。この傷は、赤ちゃんの時に受けた手術の痕なのです。こう“十字”の傷痕を見ると、確かに「二度目のガン患者」である、と言うことがリアルに感じられるのでありました。
さぁ、MIHOさん、この二度目のガンも、バ~ンと、完膚なきまで、やっつけてやりましょうよ!(つづく)
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