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妄想レィディオ #28

~平均寿命25歳?MECP2って、何?②~

ジョン・ウィリアムズで「スターウォーズ」のメインテーマをお聞きいただきました。さて、今夜の「夜な夜な倶楽部・妄想レイディオ」では、R2D2でもC-3PO でもない「MECP2重複症候群」と言う全国でも僅か65人しかおられないと言う超レアな難病の息子さんを持つ河越直美さんをゲストにお迎えしています。
前半では、その診断が下されるまでをお伺いしたんですが、この病名、「MECP2重複症候群」と聞いて、最初、なんのこっちゃ?と思いませんでしたか?

「その通りです。名前を聞いてもわけわかんない。確定診断が下りたのは、2014年だったかと思うんですが、この病名を、ネットで検索しても英語ででしか出てこない。英語の論文だったり、海外の人が発信してる情報は出てきたんですけど、全然日本語のものはなくって・・・」

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(写真:河越直美さんと、“かなで”君)

曲の合間に伺いましたが、河越さんは、留学の経験もあって、一時は海外で家族と暮らしておられた経験もあったとのこと。であれば、医学用語、専門用語が並んでいたとしても、まぁな~んとなく、おおよその意味は掴めたでしょうが、英語が苦手な人は、もうお手上げだったでしょうね?

「そうだと思います」

さぁ、そのネットを検索していると、驚くような情報にたどり着いたんですよね?

「そうなんです。アメリカで研究している人が、この疾患は遺伝子治療が出来るって発表したんです。マウスレベルではあったんですけど。その薬を脳内に入れることで、全ての症状が消失したっていう研究発表を2015年の年末に。それを海外のネットワークで知って、凄い!こんな夢みたいなことあるのかって言うみたいで・・・」

繰り返しになりますが、平均寿命は25歳ぐらいで、成人になる頃には、気管切開をするか、しないか、と言った決断をしなければならないほどの、実にシビアな病気ですよね。それが遺伝子治療で治るかもしれない、そりゃ、確かに凄い!

「本当にそうです。これでこの疾患が治るかもと、海外のネット上では、お祭り騒ぎみたいになっていて、私もすごいことだなと思って、これは何かやるしかない、遺伝子治療が可能になるんだったら、息子に、これを受けさせるしかないなと思って。でも、まだ全然情報すら入って来ないこの日本で、私一人で何が出来るんだろうか、って」

明かりは見えた!だけど、そこにたどり着くまでの道のりは全く見えない。
で、どうしようと?

「研究者の方から“会”が必要ですとアドバイスを受けて・・・」

いわゆる“家族会”と言うやつですね。しかし、全国でも僅か65人しか患者さんおられないわけでしょ?どうやって仲間を募られたんですか?

「たまたま、ネットのブログで、この疾患の子を持つお母さんが発信をされていたんですよ。ですから、そのお母さんにすぐ連絡を取って、遺伝子治療できるって発表されてるけど、知ってますか?って尋ねると『いや知らない!』と。その遺伝子治療がアメリカで出来るようになった時に、日本でも受けられるような体制を作っていきたい。一緒にやってくれませんか?とお願いをして、さらに、一緒にやってくれる人いませんか?って呼びかけてもらうと、4人のお母さん達が一緒にやりたいですっていう風に言ってくれて、最初のお母さんと私と、そして4人の計6人の家族会を立ち上げたんです」

ネットの力も凄いけれど、河越さんのパワーも、スピード感も、凄いなぁ。

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これが、その家族会のホームページね、って、リスナーの方は見えないか。
https://mecp2.jp/で、検索してください。
ところで、この家族会では、どんな活動をされておられるんですか?

「まずは、この病気を広く知ってもらう啓蒙活動です。うちの息子が診断を受けた病院は、大きい病院だったので、今までにこの疾患の患者さん何人かを診ておられたので、ちゃんと説明してもらえたんですけど、他の家族会のメンバーの話を聞いていると、『英語のペラペラの紙一枚渡されただけ』と言う人もいて、医療関係者ですらそうなので、やはり広くまず知ってもらうことかなと」

何度も言いますが、全国で僅か65人ですもんね、そりゃ、医療関係者も、ぶっちゃけ知らんケースもあるでしょうね。

「そうなんです。ですので、会の活動の柱の一つに、指定難病を取りたいと。小児慢性特定疾病は取れたんですが」

ちょっと待って下さいよ。ボク、長い漢字は苦手なんですが、まず何ですか?そのショウニ・マンセイ・トクテイ・シッペイと言うのは?・・・
って、今日のスタッフはホンマに優秀やな、早速、メモが持ち込まれたんですが、何?何?「慢性に経過する疾病であること」「生命を長期に脅かす疾病であること」「症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること」「長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること」で、実に800近い病気が指定されているとのこと。ここには、入ったということですよね。ここに入ると・・・医療費の助成が受けられる、なるほど、それは大きい!!あまり表には出ないかと思いますが、大きな病気には、やっぱりお金がかかる。それが慢性になるとなおさらですもんね。それはやはり大きい。そして・・・対象年齢が18歳未満の児童ともある。

「KUNIさん!そこなんです!!」

えっ、どこ?どこ??

「小児慢性特定疾病だけだと18歳までなんです。疾患的に進行性の疾患なので、年齢が上がれば上がるほど、呼吸器が必要になったりとか医療機器がすごく必要になるんです。しかし、18歳を超えると、まぁ、申請すると二十歳までは受けられるそうですが、それでも二十歳以降は、助成が無くなっちゃうわけですから、そこらへんが急に重い負担になっちゃうんです」

あっ、そう言うことか。病気は、その後、重たくなる可能性があるにもかかわらず、18歳で、助成が切れちゃうんだ。それが、指定難病であれば、ずっと続くと言うわけですね。

「それだけでなく、指定難病であれば、国として難病センターに登録された疾患のデータベース化だったり、研究を進めていくっていう事業があるんですけど、小児慢性特定疾病だと、そこに入っていないので、実態が把握されないままいってしまう可能性があるんです。そうしたサポートが、子供のときだけでなぜか終わってしまうのか・・・不思議さを感じますね」

えっと、指定難病の数は300余り。一方、小児慢性特定疾病は800。例えとして、相応しくないかと思いますが、マイナーリーグからメジャーリーグにどう昇格するか、と言うことが問われているわけですよね。
確かに、まず、広く知らしめることが、やっぱり重要なんでしょうね。

では、ここでもう一曲お聞きいただきましょう。
映画「メジャーリーグ」のテーマ曲「WildThing」です!♪ (つづく)

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