車椅子ダンサー・MIHOの 「二度目のガンになりました。で、それが、なにか!?」

~#15 間もなく?まだまだ?職場復帰~

「私、演技派にならないといけないですよね!」

そう話すのは、この物語のヒロインで、元車椅子ダンスの日本チャンピオンMIHOさん。MIHOさんは去年の6月に、人生二度目のガンとなる腎細胞癌の摘出手術を受けましたが、今年に入って早くも再発。再度の手術は難しい、放射線治療も困難と、一時は大変心配な事態に陥りましたが、「免疫チェックポイント阻害剤治療」、そう最新のがん治療薬・オプジーボを使った最先端治療により、MIHOさんは再びガンと闘うことになったのです。
確かに、副作用の不安は常につきまといますが、今のところ、何とか順調に過ごしています。現在の生業はと言うと、こんな風に・・・

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「ブドウ泥棒」!!!
だから、捕まった際には、その犯行を否定する、すなわち“しらばっくれる”ために、演技力を磨こうと決意しているわけやね~?
って、ちゃう、ちゃう。ちゃいまんがな!今は、お仕事を休まれていますが、こうやって、お友達と一緒に「ブドウ狩り」に行けるぐらいにまで、元気になっておられます。

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しかし、今、何がしたいですか?とお聞きすると、こう答えられました。

「仕事がしたい!・・・と言う訳じゃないけど、ただただ仕事をして、『あぁしんど』と言いながら、休みの日は遊んで、みたいな。『あれがしたい』『これがしたい』は無いけれど、とにかく、(ガンの)進行がどうやとか、(ガンの)再発はどうやとか、何も気にせず毎日を過ごしたいだけですね、今は」

なるほど、その気持ちは理解出来ます。
ところで、仕事は、したいの?したくないの?このコメントからは、いまいち、よく分らない。MIHOさんは、20歳から、これまで、めちゃ働いてきた訳だけど・・・

「家にズッといるのに飽きてきて、仕事がしたい、職場の仲間と、また話がしたいと、一時は思ったんですが・・・」

一時?じゃぁ、最近は??

「実際に、職場復帰もありえるかなと思えるようになって、落ち着いて考えると、まだ、流石に8時間勤務は無理かなぁ~、と思って」

と言うことは、職場復帰は、“夢想”から“現実”に、着実に歩みを進めているってことですよね?すなわち順調に回復してるって、ことですよね?
ですよね、ですよね?それは良かった!
実際、オプジーボによる治療も4週間に1回。もちろん、その他の診察や検査もあるけれど、時短制度などを活用出来れば、十分に働くことが出来る治療ペース。最近のガン患者さんの多くは仕事を続けている、と言うのも大いに納得出来ます。しかし、それでもMIHOさんは、今はまだ、ある種の不安を抱えているのでありました。

「私、職場では、ダァ~って自分でやっちゃうんですよ。大丈夫です!って、全部やろうとしてしまうタイプなんで」

なので、職場復帰後も、そうしちゃうんじゃないかと不安なんですね?

「どう見ても、私、元気に見えるじゃないですか」

見える!見える!めっちゃ見える!!

「だから、私が、職場復帰した後すぐに、職場のみんなも、私が病気やってこと忘れられちゃうと思うんですよ。結局、普通に扱われるんじゃないかと。私も、しんどいのを見せるタイプでもないし、しんどく見えるタイプでもない。私も、結局、普通にしてしまって、後からしんどくなるんじゃないかなぁ、って」

確かに、MIHOさんの場合、十分ありえるパターンですね。
でも、しんどければ、しんどいって言わないと・・・

「私、無理なんです~~~~~~!」

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(写真:ZOOMの画面越しに叫ぶMIHOさん 笑)
じゃぁ、何か作戦が要りますよね!?と問うた答えが、冒頭の・・・

「私、演技派にならないといけないですよね!」

・・・に繋がったと言うわけなのです。
でも、これって、MIHOさんの問題だけじゃなく、ガンなど大きな病気と闘っている皆さんにも、ありそうですよね。また、そうした方々と一緒に働く皆さんにも十分配慮していただきたい問題だと、黒子は、思ったのでありました。
さぁ、そんな職場でも頑張り屋さんだったMIHOさんに「あなたにとって仕事とは何ですか?」とお聞きしました。

「何やろ?働くことで、人とコミュニケーションが持てますし、働くことで、お金を稼ぐことが出来て、それで、自分の楽しみを実現することも出来る。働くことは、やっぱり、生活の一部ですかね」

じゃぁ、今、仕事を休んでいると言うことは、その生活の一部が滞っていると言う感じですか?

「そうですね、それはありますね」

じゃぁ、やっぱり、職場に復帰出来てこそ、復活、と言う感じですかね?

「そうですね、やっぱり!」

その日は、決して、遠くはないですぞ、きっと!
頑張れ、MIHOさん!!(つづく)

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