妄想レイディオ #24

~タップダンスをメジャーにしたいんじゃ!~

午前0時を回り、今夜も始まりました「夜な夜な倶楽部・妄想レイディオ」
今晩は、DJのKUNIです。
毎回、ボクの独断と偏見で気になるニュースを取り上げ、そのニュースの内容をキッカケに、知的で、お馬鹿な、お気軽トークを繰り広げます。
番組の命綱は、この一台の電話だけ。(SE:リリ~ンと、電話が鳴る音)
リスナーの方とこの電話を繋いで、KUNIとのお喋りと、素敵な音楽で、朝までお付き合い下さいませ。さて、今夜は、ボクの持ち込み企画!
「タップダンスをメジャーにしたいんじゃ!」です。先日、そのタップダンスの体験ワークショップに行ったんですが、これ、なかなか面白い!でも、リスナーの皆さんは、どれだけ、このタップダンスをご存知なんでしょうか?さらに今こそ、このタップダンスを、メジャーに出来るチャンスじゃないの?と思っちゃったからなんですよね。何故、そう思ったかと言うと、このコロナ禍で、言葉を発するパフォーマンスやエンタテインメントって、今はちょっと・・・と思うじゃないですか!でも、このタップは、一切言葉を発しないで表現出来ると言うか、さらにオーバーに言っちゃうと、コミュニケーションまで出来ちゃうんとちゃうの?と思ったからなんですよね。
まぁ、ボクは、このタップのことを、まだまだ詳しくないので、ゲストをお招きいたしました!ダンスワールドカップ金メダリストと言う輝かしい経歴を持つタップダンスの姉妹デュオ「華〜puspa〜」のお姉さんの方の中西浄華さんです。こんばんは!

「こんばんは」

いやぁ~、いつもお美しい!!

浄華さん

「って、KUNIさん!電話で、顔は見えませんよ」

いや、いや、よく気の利くうちのスタッフは、スタジオに浄華さんの写真を持ち込んでくれているのでお顔を見ながら話している感じなんですよ。

「あぁ、あの詐欺写真!?」

詐欺なんかいな!(笑)
さぁ、早速、本題に行っちゃいましょう!タップダンス、言っちゃあなんですが、マイナーですよね。

「めっちゃマイナーだと言っても、正しいと思いますね。タップダンス教室と言うのは、そこそこの数、あるにはあるんですが」

でも、まぁ、北野武監督でビートたけし主演の「座頭市」の下駄タップは鮮烈やったなぁ。古くは、フレッド・アステアとか、最近では水谷豊が監督したタップ映画もあったかと・・・
なかなか華やかで、楽しいパフォーマンスですけどね。

「でもね、KUNIさん!このタップダンスの起源はと言うと、少しヘビーな歴史があるんですよ」

ヘビーな?どんな起源なんですか?

「タップダンスの起源は、黒人奴隷時代へと遡るんです。過酷な労働を強いられていた黒人の皆さんが、言語、そして音楽まで禁止されたときに、自らの足で音を鳴らし始めたことが、このタップダンスの始まりであったと言われているんです。言葉を、さらに歌や音楽までも奪われて、もう崩壊寸前だった精神を、ギリギリのところで保って、人間らしくあるための最後の希望が、このタップダンスだったのです」

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おぉ。確かに、重い!華やかで楽しいパフォーマンスと言うイメージとは、随分違いますよね。

「そうなんですよ。誰かに見せるとかじゃなく、何て言ったらいいんだろ?もっと根本的な、今の、この苦しさを何とかしなきゃいけないとか、でも、やっぱり何もできない、そんな苦しさだったりとか、そうした自分ではどうにもならない苦しさから、自分を守るために始まったものなんですよね」

おぉ、やっぱり、ボクが番組の冒頭に言ったように、今のこのコロナ禍においてこそ、見直されるパフォーマンスじゃないですか!でも、何か分かる気がするんですよ。例えば、“地団駄を踏む”って、行為あるじゃないですか。ムチャクチャ怒ったり、悔しいときに、足で地面を激しく踏み鳴らしますよね。多分あれって、地面が、そんな感情を吸い取ってくれるんじゃないですか?知らんけど・・・

「いや、そうだと思います。相手に何か伝えると言うより、なんか自分を知ると言うか、う~ん、自分の感情をちゃんと外に出すとか、自分の感情を昇華させるような作用があると思います。言わば“メディテーション”とか“瞑想”とかに近いかと。自分を知る、今の自分を整えるためにやると言う感じですね。ですから、うちのタップダンス教室に通う生徒さんも、『人前で発表したい!というのが主な理由ではない』と言う方も実際そこそこおられて、『タップをする・・・そのものが楽しい』とおっしゃっておられます」

タップダンスをメジャーにしたいんじゃ!その一つの方法が見えました!『タップは瞑想だ!』どうです、これ?今、瞑想が少しブームなので、このキャッチフレーズ?ちょっと弱いかな。まぁ、一つの候補として置いておきましょう!ところで、タップダンスって「ややこしい」よね!

「ややこしい?」

タップはただ踊るだけじゃなく、音も出さないといけない。ある種の楽器でもありますもんね!?

「そうですね、半分は・・・楽器だと思っていいですね!」

でしょ。パフォーマンスとして見せなくっちゃいけないし、楽器としても音を奏でなければなりませんもんね。

「確かに、全然別の作業を二つ担っていると言う感じはありますよね。音楽の部分と、見せる部分と」

でしょ!でしょ!!さらに、足もとはバタバタ、バタバタしているのに、上半身はゆっくり優雅にって場合もあるじゃないですか!あれ、おかしくない!?絶対、こんがらがる!!

「いえ、私はこんがらがりません」

そりゃ、そうでしょ!(笑)
でも、タップは、こんがらがる!だからこそ、こんなPRの仕方はいかが?『タップは、脳の活性化に繋がる!』とアピールするんです!

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「確かに、巧緻性トレーニングに近いかも!」

巧緻性トレーニングって?

「手先や指先を上手に使う能力のことを巧緻性と言います。その能力を高めれば集中力が増すなどと言われていますが、タップの場合は足を動かす。すなわち、脳から一番遠い末端を動かさないといけない。これは確かに良い運動です。脳から近いほうがやりやすい!それだけに、脳から一番遠い部分を思い通りに動かしていくと言うのは、凄い大変。しかも繊細な動きが加わっていく。やっぱり難しいですよね」

タップは『脳に良い』と謳いましょう!

「実際、他のダンスより脳トレに良いなと思うのは、先ほどの話にも通じるわけですが、音を鳴らさないといけないと言う点ですよね。ちゃんと考えてからでないと、ダメなんですよ。他のダンスって、前の人につられて動いてるだけでも、まぁ何となくできるんですけど、タップダンスの場合は、まず自分で何をするかインプットして、これをやるぞ!あれをやるぞ!それをやるぞ!ってリズムを頭に入れてからじゃないと、どんどんグチャグチャになっちゃうんですよ。なので、音を鳴らした上で、パフォーマンスも見てもらうっていうタップダンスは、確かに脳トレにメリットがあるかと思います」

脳トレと言う言葉に一番反応してくださるのは、やはり高齢者かと思うんですが、脳だけじゃなく、運動にも効果がある、例えば、タップで、身体も若返るとか、謳えませんかね?

「なるほど!タップの動きって、大元は、歩行に繋がる足腰の運動なんですね。それも負担が少なくて、座ったままでも出来ると言うメリットがあります」

負担が少ない?拝見する限り、そこそこ烈しく動いておられるように見えますけど。一番疲れる身体の部分ってどこですか?

「ふくらはぎ周りと言うか、足首の上あたりかな。太ももと言うより、足首の周りを結構使うと思います。例えば、走るとなると、太ももの上げ下げになりますよね。でも、そこは大きい筋肉なので、太ももを使うと体力の消耗は激しいです。しかし、タップの場合はそうじゃない。だから、体力の消耗も少なく、高齢者でも楽しめると言うことです。」

なるほど!それと、ワークショップに参加して思ったけれど、ただ足で音を鳴らすと言っても、つま先で、だったり、かかとで、だったり、足をパーツ分けして考えるところも面白かったです。

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「タップシューズって、つま先と、かかとの2カ所に金属が装着され、それで音を鳴らすんですよ。そのため、足裏をただの“面”と捉えず、細分化して考えるようになりますね。そもそも、足の骨って、思ってるよりも多いんですよ」

いくつあるんですか?

「えっと、いくつだったっけ?」

って、覚えてへんのか~い!
おぉ、ほら、優秀なうちのスタッフがすぐ調べて、メモをスタジオに差し込んでくれましたが、えっと、足の指の骨、趾骨(シコツ)が全部で14個、真ん中、中足骨(チュウソクコツ)が5個、踵など、足の後ろ部分の足根骨(ソッコンコツ)が7個あって、全部でいくつだ?合わせて26個か。これは片足だから、両足だと52個。人間の体の骨は全部で204個と言うことですから、身体の骨の、4分の1以上は足の部分にあるということか。

「はい!その通りです」

って、上から目線やなぁ!(笑)
しかし、お年寄りって、足が上がりにくく、すり足になりがちなため、多少の段差でもつま先が引っかかって転倒しやすくなる、なんてこと言われていることから、つま先を上げようと言う意識だけでも、タップダンスは『転倒防止に繋がる』と、もう言っちゃうましょうよ!

「確かに、タップダンサーたちは、スネの筋肉が発達しています。タップが転倒防止に繋がると言うエビデンスを、今後探っていきたいなぁ~と思いますね」

めぐり候補写真3

ここまでで、『タップは、高齢者向けには良い!』と言うことは、何とか謳えるかと思うんですが、例えばもっと若い世代にアピールしたいんですよね。何かないですかね?

「これは、私たちが姉妹デュオだからこそ感じるんだと思いますが、タップは、チームビルディングの一助になるのではと思っています」

チームビルディング?具体的には??

「例えば、二人一組になって、タップで、リズムを取り合ってみるとかね。一人が表のリズムを打って、もう一人が裏を打つ。こうした時に、どちらかがリーダーになり、どちらかがフォローに回らないとリズムが合わない。どちらもリーダー、どちらもフォロワーだとダメなんですよね。そうしたことを、例えば、目で会話するとか、二人の距離感で把握するとか、ノンバーバルのコミュニケーション、すなわち言葉を使わないコミュニケーションによって進めていくんです。楽器でもあるタップダンスならではの、ユニークな研修が出来ると思います」

おぉ、なるほどね!さらに、ペアだけじゃなく、参加者全員でも、色々と感じさせることは出来るかもしれませんよね?

「自分が音を発して、他の人も同じように音を発して、それがハーモニーになって、それが揃っていく。音って、波なので、みんなが違う波を発している。なので、同じタイミングでも、それだけでは、波は揃わない。しかし、だんだん皆の気持ちが一つになっていくと、音色が揃ってくるんです。音色とタイイングが揃ったときに、『あっ!合った!』と言う感覚が産まれる。そして、その感覚を、みんなが共有できるようになっていくと、心地よさに繋がる。そういう意味で、すごい抽象的ですけど、その空間で、タップで、コミュニケーション成立しているんですよ。それがきっと心地いいってことなんだろうなって。そうしたコミュニケーションの魅力を、このタップで感じてもらえることが出来るのでは、と思うんです」

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おぉ、素晴らしい!!!新しいタップダンスの魅力を発掘出来たかも。
確かに、今、エンターテインメント業界って、大変で、中西さんも、ぶっちゃっけお仕事の数、激減でしょ?

「そうですね。私たちはホテルのパーティー会場とか、人が密に集まる場所で、パフォーマンスを披露してきたので、今は、タップを皆さんにお見せする機会は、大幅に減ってしまいました」

そうした中で、今日、お話しをしたタップの新しい魅力を武器に、新しい市場を開拓して下さい!ボクも、もっとタップに触れてみたくなりました。
今夜は長時間、本当にありがとうございました。

「はい!KUNIさんも、またタップ、見に来て下さい」

もちろんです。
今夜のゲストは、ダンスワールドカップ金メダリストと言う輝かしい経歴を持つタップダンスの姉妹デュオ「華〜puspa〜」のお姉さんの方の中西浄華さんでした。ありがとうございました。

では、最後に、今日は、やはりこの曲でしめくくりましょう。フレッド・アステアで「トップ・ハット、ホワイト・タイ、アンド・テイルズ」♪です。
皆さん、おやすみなさい。また、良き明日、良き朝をお迎え下さい!(了)

※参考:
https://puspa-tap.com/
https://spotlights-art.com/

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