車椅子ダンサー・MIHOの 「二度目のガンになりました。で、それが、なにか!?」

~ #6 ダンスパートナーが語る① ~

一言で言うと、どんな人?

「ペットです!!(大笑)何処にでもついて来てくれて。美咲ちゃん!美咲ちゃん!って言ってついて来てくれるから、もう、私のペットですね。(笑)でも、私の姉と同い年だから、10歳上かな」

そう語りだしたのが、この物語のヒロインで、元車椅子ダンスの日本チャンピオンMIHOさんのダンスパートナー・吉田美咲さんです。現在22歳。今は大学4年生やけど、この4月から新社会人です。この美咲さんが誰のことを語っているかと言うと、もちろんMIHOさんのこと。この4年間、MIHOさんのパートナーとして、ズッと一緒に踊ってこられました。
そうそう、この写真の右側の彼女が、そうです。ヒャ~可愛い!!

美咲ちゃんとレンゲ畑で_n

歳はMIHOさんより10歳年下ですが、社交ダンス歴は、美咲さんのほうが、実は長い。小学校2年生から、社交ダンスを始め、海外遠征の経験も何度もあります。そんな美咲さんが初めて車椅子ダンスを見たのは中学一年生の時。その時は「こんな動きも出来るんだ」と、まず驚いたそうです。そして、2015年に、MIHOさんが所属する車椅子ダンス教室の男性ダンサーと組んで、「SUPER JAPAN CUP DANCE」なるダンス大会に参加すると、車いすダンス クラスⅡのラテンアメリカンの部で何と優勝しちゃったと言うことですから、その実力のほどが伺えます。スッゴいなぁ~!
その美咲ちゃんが、大学進学とともに、実家のある関東から関西へと引っ越してきました。その訳は、このダンス教室に所属するため、と言うことですから完全に車椅子ダンスの虜になっちゃんですね~。そして、MIHOさんと、ここで出会うことになるのです。

「表現力がね、やっぱり女性ならではと言うか、上手いなぁと言うか・・・ずば抜けていましたね」

それが、MIHOさんのダンスを見ての感想でした。一方、MIHOさんが美咲さんを見た感想はと言えば、「あの子可愛いなあ」と、まさに相思相愛。美咲さんから「ダンスを作りませんか」と言う提案に、MIHOさんが、即オッケーを出し、二人は瞬く間にパートナーになったのでありました。ダンスを作るのは、年下の美咲さん。MIHOさんと言えば・・・

「MIHOさんは、全部、人任せ!(笑)何の種目がいいとか、どんな曲使いたいとか、どういうステップがいいとか、全部人任せなんですよ。そう、丸投げなんです(大笑)」

アハハハハ!年上としてそれはどうなの、MIHOさん!?それ、アカンがな!ところで、健常者と車椅子使用者がペアで踊るダンスって、やっぱり、健常者同士、あるいは車椅子同士がペアで踊るダンスと比べて、ちょっと難しいんとちゃうんですか?

「踊り方は、全然違うなって」

美咲さんは、まず、そう言ってから、続いて、こう説明してくれました。

「重心の位置が、まず違うし。また、必要なパワーも違う。車椅子自体の重さと、そこに乗る人の重さと、さらに、その人の力とかが、全部、自分にかかってくるんでね。そういうのを、そのまま真っ向勝負で受けたら、車椅子側の人もしんどいですし、踊りも、ついていけなくなっちゃう。それをどうやって解消していくか、すごく考えさせられます」

そして、さらに続けます。

「車椅子のほうが絶対重いじゃないですか。立っている方は、下側に重心を置かないと、もう自分も持っていかれちゃうんですよね。また、スピードは車椅子の方が早いけど、やっぱ制限があるんで。車椅子で、その行ける方向とか、スピードを出せる方向とか、そういうことを全て考えながら、ダンスを作らなければならないので、やっぱり、一筋縄ではいかないですよね」

ダンス 2ショット2

そうなのか?スピーディーで、華麗な車椅子ダンスも、その創作、そして練習の過程では、やっぱり様々な苦労があるんですわなぁ。
美咲さんは、さらに続けます。

「MIHOさんと踊りたい曲調とか、ステップは、自分の中にあるんです。そして、それを、社交ダンスをベースに考えていくですけど、車椅子で踊るMIHOさん側の社交ダンスのステップを、(健常者の)私が作っても、その動きと一緒の動きが、出来るのかなぁと。そこを確かめながら作っていくんです」

それに対してMIHOさんは?

「少々ステップが難しくても、スピードが早くても、ついてきてくれるんですよ。そういう部分では、自分のやりたいことを、全部叶えてくれる人です」

MIHOさんならでは、と言うダンスの魅力は?

「体の柔らかさ、ですよね。やっぱり、MIHOさんならでは、MIHOさんしかできない部分だなっていうのはありますよね。細い部分とかも、やっぱりMIHOさんしかできないですね」

MIHO 車椅子 背伸び

でも、ですよ。一緒にやっている限りは、ぶっちゃっけ腹立つときもあるのでは?

「何も、不満は・・・あっ、そうですね、練習に移るのが遅いかなぁ。結構すぐ“イヤイヤ期”に入るんです。『MIHO、できひ~ん!』とか、『もう嫌やや!』とか、『むずい!』とか、『覚えられへん!』って」

美咲さんは、そう言うと大きな声をあげて笑われました。
さぁ、私・黒子は、この美咲さんの話しを横から黙って聞いていたMIHOさんの方に、目をやって、聞きました。
「10歳も年下の美咲さんに、そんな我が儘、言うてるんですか?」
MIHOさんは、キッパリと、こう答えました。

「ハイ!」

って、そんなこと胸張って言うことか~い!?(続く)

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