見出し画像

ピアノ

先日、ピアノの発表会が無事に終了した。あまり、練習期間はなかったけど、その日の為に、ほとんど毎日同じ曲と向き合ってきた。当日はやはりものすごく緊張してしまって、顔も強ばり、手足も震えて、「表現」とは遠いものになってしまったけど、「舞台に立つ」という事にあらためて挑戦できた自分を褒めてあげたい。先生から「キレイに音が響いていたよ」と言われて、嬉しかったのと同時に、私はピアノのキレイな音を伝えたかったのかもしれないと思った。

その素敵なカフェは都会から少し離れたところの、山の中腹にあり、緑の木々に囲まれたレンガ造りの建物だった。そこのオーナーさんと先生との不思議なご縁で、今回の発表会が行われる事になったらしい。過去にとても苦労をされている方みたいで、「まるで悟りを開いてるみたい」と先生は言っていた。

このカフェのピアノはもちろん今回がはじめましてだった。少し重量感のあるピアノだなと思った。そのカフェはプロの方や、アマチュアの方、色んな境遇の人がそのピアノを弾きにくるらしかった。その様々な情景がピアノにつまっていたのかもしれない。今になって思うのだけど、もしかしたらそのピアノは私の中の色んなものをすべて包み込んで、キレイな音を出してくれたのかもしれないと思った。

それぞれの発表が終わり、もらった花束と共にみんなで記念撮影。そして、どこからかフワッとそのオーナーさんがいらっしゃって、軽くみんなで話をする時間があった。緊張が解けて、そこであらためて、自然体で、笑顔が柔らかな人だなと思った。あまり自分の事は話せていなかったのだけど、帰り際、「頑張って。」と優しく私の肩をたたいてくれた。なんだかすべてを分かってくれてるかのような不思議な感覚だった。

またいつかあのピアノを弾けるといいな。次はもっとキレイな音が出せるように頑張りたいし、出してもらえるといいなと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?