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巨人軍 FA移籍契約を全うした選手は誰か?【投手編】


 日本シリーズ敗退後...というか日本シリーズ期間中から静かだった巨人軍。
 ストーブリーグは動きがほとんど無く、不安に思ったファンは多いことだろう。

 しかしそんな不安を他所に、巨人軍はやる事をやっていた。

 横浜DeNAベイスターズから井納翔一投手と梶谷隆幸選手をFAで獲得。共に来季のチームのウィークポイントを埋める活躍が期待される。

 また、両者の契約内容としては井納が2年2億円、梶谷が4年8億円という内容で合意しているが、この契約内容に対してはファンからは賛否別れており、特に梶谷の「4年」という契約年数の長さには疑問を抱くファンが多いように感じる。

 とはいえ、これまで12球団最多のFA選手獲得数を誇る巨人軍にとってこのような意見が上がるのはいつもの事だ。

 特に球界でも指折りの財力を持つ巨人軍はファンの度肝を抜く大型契約も少なくない。

 そこで今回はFA制度が導入された1993年から2018年オフまでの期間で巨人軍に加入したFA選手のうち、入団時の契約内容から"契約を全うした選手"を調べていきたい。
 また、契約を全うしたか否かの判断基準は私の独断で行わせて頂きますのでどうかご了承下さい。また、とても長くなるので投手編と野手編に分けさせて頂きます。

※選手の年齢は加入1年目シーズンの年齢

FA移籍者 契約内容一覧
(投手編)

川口 和久 3年3億円
河野 博文 2年3億円
工藤 公康 1年1億5000万円
前田 幸長 4年4億円プラス出来高
野口 茂樹 2年2億5000万円
豊田 清 2年5億円(2年目は年俸変動あり)
門倉 健 2年2億円プラス出来高
藤井 秀悟 1年6000万円プラス出来高
杉内 俊哉 4年20億円
大竹 寛 3年5億円
山口 俊 3年7億円
森福 允彦 2年4億円
野上 亮磨 3年4億5000万円

 昨オフ加入した井納翔一を除くと投手はのべ13名加入している。

 この中からまずは契約年数別に成績を見てみる。

【単年契約】

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 単年契約で入団した投手は、99年オフの工藤公康、09年オフの藤井秀悟の2名。

 工藤は前年を上回り、且つチームトップタイである12勝を挙げており、勝率.706はリーグトップ。防御率も3.11とチームのリーグ優勝に大きく貢献。2年連続自身3球団目での日本一にも輝き"優勝請負人"の代表格となった。
 それで年俸1億5000万円は正直お得だし、37歳という年齢も加味すると十分契約内容に見合った、いやそれ以上の活躍だったと言えるだろう。

 藤井も先発ローテの一角として前年と並ぶ7勝。登板数、勝率、奪三振、WHIPで前年を上回る成績を残すなど新天地で期待通りの活躍を果たした。年俸も6000万円という事でこちらも十分年俸以上の働きをしたと言って良いだろう。

【2年契約】

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 2年契約で入団した投手は5名。
 96年に加入した河野博文は日本ハム時代6度の100イニング以上投げるなど主に先発として活躍した投手だったが巨人移籍後は中継ぎ専任となり、初年度は39登板で6勝、防御率3.29の成績を残しセ・リーグ初の最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得しリーグ優勝に貢献した。
 2年目は若手の台頭もあり22試合の登板に留まった。契約は2年3億円なので、全うしたかと言われると物足りない感もあるが、まずまず及第点と言えるだろう。

 06年に入団したのは中日のエースだった野口茂樹。だが直近4年間は防御率が4点台〜5点台と不本意な成績が続いていた。不安の中、移籍初年度はデビュー戦で3回5失点で降板するとその後一軍で1試合も投げることなく終戦。チームもBクラスに沈んだ。
 移籍2年目は救援登板のみで31試合に投げ、古巣相手に移籍後初勝利をマークしたものの防御率4.30と不完全燃焼となるシーズンだった。当然2年2億5000万円の契約に見合った活躍とは言えない。

 一方、野口と共に加入した豊田清は西武のクローザーとして地位を確立していたが巨人でも2年間で85試合に登板し27ホールド、17セーブとブルペンを支えた。
 2年目は年俸変動制であり、1年ごとの評価が出来るという点で、2年間のトータルでの評価をされる他の選手と比べるのは違うのかもしれないが、年間ごとの成績で見ても年俸に見合った活躍と言っていいだろう。

 門倉健は先発ローテの一角として期待されたが2年間でわずか1勝と、全くと言っていいほど戦力にはなれていない。
 しかしその2年間、チームはリーグ連覇を果たしているのがなんとも皮肉な話である。

 森福允彦は、それまでチームを支えた鉄腕山口鉄也の勤続疲労が色濃くなってきた17年に後釜候補として期待され加入したが、1年目は30登板で6ホールドに留まり、期待以上の成績は残せなかった。また2年目に関してはシーズンでわずか2登板 防御率13.50と散々な結果に。当然2年4億円に見合った活躍とは言えない。

【3年契約】

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 続いて3年契約組。
 巨人へのFA移籍投手第1号の川口和久は広島のエースとして長年活躍していたが、移籍後は先発でなかなか結果を残せずリリーフへ転向。すると96年は救援防御率1点台前半、プロ初セーブをマークするなどリーグ優勝に貢献。(ちなみにこの年の胴上げ投手は川口である。)
 97年は若手の台頭や自身の故障もあり22登板に留まった。選手としてだけでなく若い投手へアドバイスなどを送っていたり と、自身の経験をチームに積極的に還元する姿もあった。
 が、FA宣言時35歳という年齢や、移籍前直近は3年連続で二桁敗戦で負け越すなど、落ち目の投手に3年という契約はややリスキーだったのではないかとも思う。

 14年に入団した大竹寛は広島低迷期を支えたローテーション投手だったが優勝を経験したくFA移籍。1年目は規定未満ながら9勝を挙げ優勝に貢献した。
 しかし2年目以降は不振や故障が重なり2年間で9勝止まりと結果を残せなかった。3年5億円の契約に見合う成績とは言えない。

 17年に入団した山口俊は移籍1年目、故障で開幕に出遅れたものの交流戦での移籍後初先発で継投ノーノーを達成するなど活躍するが、その後自身の飲酒トラブルでシーズン終了まで出場停止となった。
 2年目の18年は先発で平成最後となるノーヒットノーランを達成するなど、自身初の規定投球回をクリアし9勝をマーク。9月以降はチーム事情によりリリーフに回ったものの献身的にチームに貢献した。
 そして3年目だが、前述のトラブルにより契約年数を3年から2年に減らすという処分も併せて受けていた為、判断が難しいのだが一応紹介する。
 19年は開幕から好調をキープし勝利・奪三振・勝率のタイトル三冠でベストナインを受賞するなど、この年不振の菅野に代わりエース級の働きでリーグ優勝に大きく貢献した。
 こうして見ると山口は3年間のうち、1年目の出場停止期間を除くとしっかり役割は果たしていると思うし、契約年数が減った処分も球団からすれば予想外の出来事であり、且つ、きちんと処分も下しているので今回の"契約を全う"の観点で見ても十分成績的には問題ないと言わせてもらう。

 最後に野上亮磨だが、こちらは貯金があまりできない点や、元々飛翔癖(被本塁打数が多い)があり、ホームグラウンドが狭い巨人移籍には疑問視する声もあった。実際1年目は規定投球回に大きく届かなかったにも関わらずリーグ6番目に多い15被本塁打とその特徴をいかんなく発揮し4勝止まり。
 2年目は主に救援で13登板し自身3年ぶりのセーブも記録したが防御率3.50と精彩を欠いた。
 そして3年目の昨季は左アキレス腱断裂で一軍登板無しに終わった。当然契約を全うしたとは言えない。

【4年契約】

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 最後に4年契約組。4年という期間はとても長いのでそれなりのリスクが伴うが、投手陣に限っては成功を収めている。
 まずは02年に中日から加入した前田幸長1年目からセットアッパーとして定着すると自己最多の53登板 防御率2.74でリーグ優勝、日本一に大きく貢献。
2年目には壊滅的だったリリーフ陣の中で孤軍奮闘し、途中にはクローザーも務めチーム最多の50登板 防御率3.15と投手陣を支えた。
 3年目もチームの投手陣は崩壊していたが44登板で防御率2.38と安定感をキープした。
 4年目は防御率は大きく悪化したが2年ぶりに50試合に登板し5位に沈んだチームの中で腕を振りまくった。
 4年契約で197登板とフル回転し、2年目以降はチームが低迷してあまりフューチャーされていない印象だが、十分契約を全うしているしそれ以上の成績だったと言っても良いと思う。

 そして大トリは12年に超大型補強の1人として加入したソフトバンクのエース 杉内俊哉だ。4年総額20億円という球団投手史上最高の契約で入団し、当時はこの超大物の加入で非常に驚き、興奮した事を覚えている。
 そんな大きな期待を背負った杉内は1年目からローテの柱として12勝4敗 172奪三振で勝率と奪三振のタイトルを獲得。他にも完封数、被打率、WHIP等の部門でもリーグトップの成績を残し、おまけに5月にはノーヒットノーラン達成と、統一球の恩恵を受けたとはいえチームのリーグ優勝、日本一に大きく貢献した。
 翌13年、14年も二桁勝利をクリアし、チームのローテーションの柱として活躍したが、4年契約最終年の15年は右股関節痛の影響で17試合の登板に留まり6勝止まりとなった。
 また、この年の10月に右股関節の手術を行うのだが、これは前例のない手術という事もあり術後のリハビリにはとても苦しみ、18年の引退まで一軍登板なしとファンも心配したが最後までもがきながら復活を目指す姿に心を打たれたし、契約の4年間で39勝、防御率3.03、12年〜14年はリーグ3連覇に貢献した。
 4年20億円(1年あたり5億円)という契約の金額に関してはやや高すぎかという意見も分かるがそれだけの価値がある活躍はしたと思う。

選手成績まとめ

 ここまでFAで加入した投手を契約年別に紹介してきたが、ここで全選手の単年あたりの成績をまとめてみたのでご覧頂きたい。

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 先発では投球回,勝利,奪三振,防御率の4部門を半分ずつ分け合った杉内,工藤の両左腕が目立つ。
 とはいえ工藤は1年契約なのに対して杉内は4年平均でこの成績なのが凄い。工藤も年齢を考慮すると大成功と言える。

 リリーフでは平均登板数トップの前田と平均ホールド,セーブトップの豊田が抜けている。さらにこの両者は防御率が同点というのも面白い。

 これらを見ると、自分の本職一本で勝負できた投手(工藤,杉内,前田,豊田ら)は一定の成績を残しやすいが、移籍後に先発や救援を掛け持ちしたり配置転換の多い投手(野口,門倉,大竹,野上ら)はなかなか成績が落ち着かない。
当然、年齢や故障歴等の影響もあるので一概には言えないし、例外もいる※が、MLBのように選手の希望する起用法を約束する等の条件が契約に盛り込まれていない限り、「与えられた場所で投げる」点も求められる為、そこにも適応して欲しいところだ。

 ※ここでは大きく取り上げないが、河野のような移籍初年度に先発から救援に正式転向した投手や、大竹のように契約延長後に先発から救援へ配置転換され成功した投手もいる。

選手評価

 さて、これまでの内容を基に、私なりのFA戦士の評価をさせて頂く。
 それぞれA,B,Cとランク付けし、Aランクの選手が"FA契約を全うした選手"とします。
また、評価基準として
「優勝貢献度」(1)
「年俸あたりのコストパフォーマンス」(2)
「年齢あたりのコストパフォーマンス」(3)
「契約年あたりのコストパフォーマンス」(4)

も考慮します。

【Aランク】 (1)/(2)/(3)/(4)
工藤 公康 A / A / A / A
前田 幸長 A / A / A / A
豊田 清 A / B / A / A
藤井 秀悟 C / A / A / A
杉内 俊哉 A / B / A / A
山口 俊 A / A / A / B

 工藤、前田は文句なし。山口は前述のトラブルの件で契約内容が一部変更になっているので契約年あたりのパフォーマンスはBとしたが、成績自体は十分Aランクに値する。藤井は残念ながら優勝できなかったので優勝貢献度はC。杉内と豊田も成績は素晴らしいが、やや年俸が高かったか。

【Bランク】 (1)/(2)/(3)/(4)
川口 和久 A / B / B / C
河野 博文 A / A / B / B

 川口はCランク寄りのBランク。1年目は配置転換がありながら優勝に貢献したが2年目以降は微妙だ。プレー以外での貢献度も加味してこの評価とさせて頂く。
 逆に河野はAランク寄りのBランク。リリーフエースとして優勝に貢献した点と年齢あたりのコスパの良さもプラス評価とした。

【Cランク】 (1)/(2)/(3)/(4)
野口 茂樹 B / C / C / C
門倉 健 C / C / C / C
大竹 寛 A / C / C / C
森福 允彦 C / C / C / C
野上 亮磨 C / C / C / C

 大竹は1年目は優勝に貢献したものの翌年以降が不本意。門倉,森福,野上はほとんど戦力になっていない。

まとめ

 今回はFA契約を全うした選手は誰か?というテーマで長々とお送りしました。
 選手の年俸とか一般人のお前には関係ないだろうがというご指摘も重々承知の上です。
 FA、特に大物選手の獲得となるとマネーゲーム的な側面もあり冷静に選手の評価を行えているのか疑問が残る契約があるのも事実です。
 期待を裏切るも、応えるも選手次第ですので我々はただ応援するしかありません。
 果たして井納投手はAランク級の活躍を果たせるのでしょうか。開幕が待ち遠しいですね。
 ここまでご覧いただきありがとうございました。
                   ・・・野手編に続く・・・

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