見出し画像

巨人軍''史上最強打線''の対抗馬となる打線は存在するか


 本日3月20日はプロ野球開幕の晴れの日…のはずだったが新型コロナウイルスの影響で開幕延期となり、明確な開幕日はまだ決まっていない。

 野球民からすれば退屈な日が続いてしまうことになるだろう。私もその1人だが、暇すぎてふとこんなことを考えてみた。
 2004年の巨人軍が形成した''史上最強打線''を対抗馬と成りうる打線はそれ以降存在したかという事だ。

 当時の巨人軍といえば圧倒的なブランド力で逆指名ドラフトで優秀な選手を次々と獲得し、国内からFA、トレード等を駆使して国籍関係なく強力な選手を迎え入れていた時期である。

 04年以前では1998横浜ベイスターズのマシンガン打線、2001年大阪近鉄バファローズのいてまえ打線、2003年福岡ダイエーホークスのダイハード打線などが有名だが、04年以降の16年間で史上最強打線クラスの強力打線は生まれたのかを見ていきたい。また、巨人軍に更新して欲しいという希望を込めて、今回紹介する打線は巨人打線に限り、且つシーズン中に1度でも組んだことのあるオーダーとします。


1.史上最強打線(2004年)

まずはその史上最強打線からおさらいしていこう。

・シーズン中7回記録

二 仁志敏久     (608-176).289 28本 60点 OPS.804
左 清水隆行     (578-178).308 16本 60点 OPS.797
中 ローズ         (523-150).287 45本 99点 OPS.955
右 高橋由伸     (426-135).317 30本 79点 OPS.966
三 小久保裕紀 (462-145).314 41本 96点 OPS1.013
一 ペタジーニ (383-111).290 29本 84点 OPS.970
捕 阿部慎之助 (379-114).301 33本 78点 OPS1.016
遊 二岡智宏     (327-88) .269 9本 49点 OPS.714

打線計 : (3686-1097).298 231本 605点 OPS.902

重量感     : ☆☆☆☆☆
ロマン     : ☆☆☆☆☆
打率         :  ☆☆☆☆☆
本塁打     : ☆☆☆☆☆
打点         : ☆☆☆☆☆
バランス : ☆☆

 いやぁいつ見てもえげつないメンツである。この8人だけで合計231本塁打。チーム総本塁打259本は今も破られない日本記録である。打線OPS.900越えも驚異的だ。
 この打線の特徴はとにかく空中戦に強いということ。100打点到達者0人という点からも分かるように決して繋がりがあった打線ではなく、本塁打で打ち勝つ野球だった。また、生え抜きスターと他球団で中軸を担っていた移籍組の融合という事でかなりのスター性や野球少年のロマンが詰まった打線だった。(ベンチには清原和博や江藤智も控えていた。)


 このように、今回は打線(8人)の合計本塁打、打点、打率、OPSを中心に見ていく。機動力や守備力等は無視させて頂く。
 また、チームの順位等も参考程度に紹介するが、史上最強打線への条件には含まない。(2004年は3位)


2.2007年

・シーズン中6回記録

右 高橋由伸     (503-155).308 35本 88点 OPS.982
左 谷佳知         (541-172).318 10本 53点 OPS.787
三 小笠原道大 (566-177).313 31本 88本 OPS.902
一 李承燁         (541-148).274 30本 74点 OPS.823
遊 二岡智宏     (508-150).295 20本 83点 OPS.803
捕 阿部慎之助 (499-137).275 33本 101点 OPS.868
中 ホリンズ     (370-95).257 12本 47点 OPS.803
二 木村拓也     (311-82).264 2本 29点 OPS.650

打線計 : (3839-1116).291 173本 561点 OPS.832

重量感     : ☆☆☆☆
ロマン     : ☆☆☆
打率         : ☆☆☆☆
本塁打     : ☆☆☆
打点         : ☆☆☆
バランス : ☆☆☆

続いて3年後の2007年。リーグ優勝を果たしたこの年は04年の4名を上回る6名が500打席越えと、年間通して固定的に起用されたメンバーが多かった。そのため、打線合計打数と安打は04年を上回ったが、その他の部門は下回る結果となった。どうしても二塁手で差が付いてしまった形だ。


3.2008年

・シーズン中1回記録

右 高橋由伸     (275-65).236 17本 41点 OPS.783
中 谷佳知         (349-103).295 10本 45点 OPS.759
三 小笠原道大 (520-161).310 36本 96点 OPS.954
左 ラミレス     (548-175).319 45本 125点 OPS.990
一 李承燁         (153-38).248 8本 27点 OPS.755
捕 阿部慎之助 (428-116).271 24本 67点 OPS.852
遊 坂本勇人     (521-134).257 8本 43点 OPS.650
二 木村拓也     (372-109).293 7本 31点 OPS.753

打線計 : (3166-901).285 155本 475点 OPS.828

重量感     : ☆☆☆
ロマン     : ☆☆☆☆
打率         : ☆☆☆
本塁打     : ☆☆
打点         : ☆☆
バランス : ☆☆

 次は2008年。このオーダーはシーズン中に1度しか試していないのだが、この年の最も重い打線はこれだと思い、紹介した。
 故障者も多く500打席到達者は3人のみで全部門04年を下回っている。
 この年はラミレスが加入したことで「オガラミ」誕生の年でもあり、やはり打線の中心はオガラミであることが分かる。
 十分強力な打線ではあるが、こちらも二塁手で差が付いた事や、ネームバリューはあるが故障で成績が残せなかった選手がいた点が惜しい。


4.2009年

・シーズン中8回記録

遊 坂本勇人     (581-178).306 18本 62点 OPS.823
中 松本哲也     (372-109).293 0本 15点 OPS.665
三 小笠原道大 (514-159).309 31本 107点 OPS.927
左 ラミレス     (577-186).322 31本 103点 OPS.891
一 亀井義行     (490-142).290 25本 71点 OPS.864
右 谷佳知         (287-95).331 11本 48点 OPS.916
捕 阿部慎之助 (462-120).293 32本 76点 OPS.943
二 脇谷亮太     (231-62).268 2本 16点 OPS.649

打線計 : (3514-1051).299 150本 498点 OPS.837

重量感     : ☆☆
ロマン     : ☆☆☆
打率         : ☆☆☆☆☆
本塁打     : ☆☆
打点         : ☆☆
バランス : ☆☆☆☆☆

 こちらは2009年。重量重視で組むならば亀井をセンターにし、一塁に李承燁を入れても良かったが、そういうオーダーはこの年組んでいないため除外した。
 この年も前年同様オガラミが土台となっており、大黒柱に阿部が座り、若い坂本や亀井がのびのびプレーするという理想的なチームバランスだった。
また首位打者のラミレスをはじめ規定3割打者が3名おり、本塁打は減ったもののバランスの取れた打線だった。
 打線打率は04年を上回っており04年よりも打線としての機能は果たした。
 前述のように本塁打が減った為、打線の爆発力はやや欠け、二塁手でも打線の厚みの底上げが出来なかった。


5.2010年

・シーズン中2回記録

遊 坂本勇人     (609-171).281 31本 85点 OPS.836
右 高橋由伸     (280-75).268 13本 56点 OPS.804
一 小笠原道大 (510-157).308 34本 90点 OPS.953
左 ラミレス     (566-172).304 49本 129点 OPS.951
捕 阿部慎之助 (498-140).281 44本 92点 OPS.976
中 長野久義     (430-124).288 19本 52点 OPS.821
三 脇谷亮太     (414-113).273 7本 43点 OPS.729
二 エドガー     (289-76).263 12本 44点 OPS.798

打線計 : (3596-1028).286 209本 591点 OPS.871

重量感     : ☆☆☆☆
ロマン     : ☆☆☆☆
打率         : ☆☆☆
本塁打     : ☆☆☆☆☆
打点         : ☆☆☆☆☆
バランス : ☆☆☆

 最後は2010年。本来は2番で松本哲也が入るのだが、重量重視となると年間2回起用されたこの打順だと思う。
 坂本高橋由小笠原ラミレス阿部長野の並びのネームバリューは鳥肌もんである。
 またこの年は4名が30発をクリアし、うち2人は40本越え。また85打点以上の選手4名は最多とすごいボリュームだった。
 打線総本塁打209、591打点、OPS.871はいずれも04年に注ぐ2番目の数字と、本家に引けを取らない数字だった。
 ちなみにこの年は投手陣が不本意で3位に終わった点も04年と類似する。
 この年の脇谷亮太は二塁手としてはまずまず及第点だったが三塁手としては物足りない といったポジションでの評価も別れる結果となった。


6.2019年振り返り

 ここで、今回ノミネートはしなかったものの、昨年の打線を振り返ってみたい。

2019年 シーズン中2回記録

右 亀井善行     (450-128).284 13本 55点 OPS.786
遊 坂本勇人     (555-173).312 40本 94点 OPS.971
中 丸佳浩         (535-156).292 27本 89点 OPS.884
三 岡本和真     (555-147).265 31本 94点 OPS.828
一 阿部慎之助 (158-47).297 7本 27点 OPS.892
左 ゲレーロ    (287-68).237 21本 54点 OPS.863
捕 大城卓三    (294-78).265 6本 30点 OPS.718
二 若林晃弘    (234-56).239 5本 21点 OPS.685

打線計 : (3068-853).278 150本 464点 OPS.843

重量感     : ☆☆☆
ロマン     : ☆☆☆
打率         : ☆☆
本塁打     : ☆☆
打点         : ☆☆
バランス : ☆☆☆☆

 坂本丸岡本の核3名がフル出場し中軸をしっかり担う活躍をした一方で下位打線はインパクトに欠けた。
 二塁手は同年代の若い選手らで争わせ、捕手も3名で併用と言う形になったので、他の打線とは同じ土俵に上げるのも違うかもしれない。ゲレーロは爆発力という意味では重宝するが、安定感に欠けたし、正三塁手候補だったビヤヌエバが誤算だったのも響き、一塁にベテラン阿部慎之助を入れざるを得ない事情も含めるとこの成績は十分評価できる方だと思う。


7.まとめ

 ここまで、04年の史上最強打線の対抗馬に成りうる打線を巨人軍限定で探してみたが、1番対抗出来そうなのは2010年だろう。
 また、04年を上回るためには「打てる二塁手」と「打てる捕手」の存在は必須だということも分かる。

 その点で、今季の巨人打線を見てみるとそのふたつのポジションは大きな鍵を握りそうだ。
 二塁手は吉川尚輝が本調子ならば仁志レベルの安打数や打率は残せるだろうし、捕手でも大城卓三は阿部までとは言わずとも、.280 20本 70打点くらい残せると捕手としては◎である。
 加えて当然"サカマルオカ"の3名が昨年ほどの成績を残さないと史上最強打線の対抗馬には名乗りをあげられないだろう。


8.最後に

 当然、04年のチーム成績を見ればわかるように超重量打線であればいいという訳では無い。長いシーズンを戦うためには投手力、守備力、機動力もある程度のレベルで備えていないと優勝するには厳しい事は言うまでもない。

 あくまで目指すべきは"史上最強打線"ではなく、2009年のようなバランスのとれたチームであるという点は声を大にして言っておきたい。

 当時の球界においてヒール日本代表のようなチームを見たい気持ちは正直あるが、強さが伴っていないと意味が無い。

 開幕日はずれ込むものの、早く満員のファンで盛り上がる球場を見たいものだ。

 最後に立岡宗一郎の順調なリハビリ経過と、早期復帰を切に願って〆とします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?