マガジンのカバー画像

ちょっと変わった田舎暮らし、はじめます。

12
💡ほっこりしたい時におすすめ! 会社で嫌がらせを受けている主人公が、仕事を辞めて田舎で暮らすことにした。1人で静かに暮らすイメージをしていたが、その予想はすぐにないものになる。ち…
運営しているクリエイター

2022年10月の記事一覧

ちょっと変わった田舎暮らし、はじめます。#3

* あの後上司の厚意で、フリーになっても定期的に仕事を依頼してくれるという事にも決まっって、フリーになることへの不安がちょっとだけ解消された。 と同時に嫌がらせから離れることができると思うと、あと少しだけ、がんばれそうな気がした。 「あ、そうだ。先輩にも報告しておかないと。」 仕事終わりの帰り道、ダメもとで先輩に電話をかけてみた。 『もしもし?どうしたの?』 「あ、お疲れ様です。あの、ちょっと報告があって。」 『うん。』 「今日、上司と懇談したんです。それで、あった

ちょっと変わった田舎暮らし、はじめます。#4個別説明

* —ピピピピ…ピピピピ…ピピピピ…— アラームの音とともに体を起こした。 珍しくアラームよりも早く目が覚めていた。 今日は実際に名川町に行く日だ。 個別説明を申し込んだときに書かれていた流れは、名川町役場のまちづくり部で担当者から説明を受けた後、空き家をいくつか見て回ってから、気に入ったところがあれば条件なども含め相談の上、手続きをして引っ越しに移る。 特に普通の引っ越しと何ら変わりないけど、約7年ぶりの引っ越しともあってちょっと緊張している。7年前は親の付きそいが

ちょっと変わった田舎暮らし、はじめます。#5お別れ

* 4月6日。今日の夜は、フリーになることを先輩に報告の電話をした時に話していた食事の予定がある。 題して『圭ちゃん門出の会』、先輩が考えたらしい。 先輩はちょっとした小ボケが好きで、何かしら名前を付けることがよくある。先輩のデスクに置いてある小さいサボテンにも「うさちゃん」と名前が付けられているぐらいだ。 今日はそんなお茶目な宮野先輩と、面談をしてくれた私の上司の卜部と私で3人だけのお別れ会的な食事へ行く。 お別れ会をするという事は、もちろん家が決まったわけだけど

ちょっと変わった田舎暮らし、はじめます。#6思わぬ出会い?

* 10時半にチェックアウトを済ませて、少し大きめのリュックと手提げをもって改札を抜けた。山手口方面の電車に乗るのは、今日で3回目だ。 お昼前の電車に乗ったのもあって、席は空いていた。大きい荷物をもって腰を掛けた4人掛けの座席に座って、隣の席にリュックを置いて手提げは膝の上に置いた。 一番前の車両は乗客が少なく、のびのび座れることを知っている。 今日も小説を持ってきているけど、読む気にはなれなかったので窓の外を眺めて過ごすことにした。 4駅目で降りて、電車を乗り換えて