満場一致のパラドックス

 ASIOS著『増補版 陰謀論はどこまで真実か』を批判する。今回は「満場一致のパラドックス」について書く。

満場一致のパラドックス

 下記のサイトがよくまとまっているので引用する。

 相違や不一致があるはずのことに対して「満場一致」が起こった時は、結果を出すに至ったシステムの方に問題がある可能性があります。
満場一致は必ずしも間違っているわけではありません。明確で間違う可能性が少ないことについては満場一致も起こります。
ただし、実社会の多くの場面において満場一致は起こらないもの。
もし完璧な合意があったとすれば、そこにはシステムに影響を及ぼす「隠れた要素」が高い確率で存在します。
どんなに調和を求めて努力しても……
エラーや不合意が発生するのは自然なこと。
「完璧な結論」とはむしろ不自然なものなので、意見の相違が起こりうる場面で満場一致が起こった時は一度疑いの目を向けてみるべきです。

「なぜ満場一致の意見を信じるべきでないのか?」
https://gigazine.net/news/20160421-trust-unanimous-decisions/

動画 https://youtu.be/heCSbA8w57A

ASIOSの満場一致

『増補版 陰謀論はどこまで真実か』には、みごとな満場一致がある。
 前著では巻末の座談会で著者らがワイワイ騒ぎ、「陰謀論の構図」なんて文書まで載せ、「陰謀論はダメ」という本全体の結論があった。『増補版』も、8月には奥菜・原田・ナカイを招き講演をするという。主催組織の代表・副代表は ASIOS の副会長と会長だ。
 互いに批判する様子は全く見えない、見事な満場一致。

 だが、911や日航機墜落事故では、意見が分かれて当然だ。WTC7は自由落下したのだ。だがもちろん、著者が互い批判し合えば、本全体の主張が崩れてしまうわけだが…
 奇妙な状況、奇妙な組織、奇妙な本である。

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