911を待ち望んだ人たち

 ASIOS著『増補版 陰謀論はどこまで真実か』を批判する。今回は911の記事について。
「アメリカ新世紀プロジェクト」の、911を予言した有名な一文を取り上げる。

『増補版』でどう書かれているか。P330から引用する。

 2000年9月、ネオコン(新保守主義)の一派である「アメリカ新世紀プロジェクト」が作成した建白書『アメリカの国防再建』と題した論文が注目を集めた。そこにはビル・クリントン政権の軍縮が批判され、空軍の規模縮小を嘆く一節もあった。

 書かれていない。
 この本、まず「陰謀論」を紹介し「真相」として否定する、そういう作りの本のはずなのだが…

911の告白

 実際には、この論文が注目を集めたのは、911後である。以下の一節が超有名だ。チェイニー・ラムズフェルドなど、このネオコンという人たちがブッシュ政権の主要閣僚を占めた。

「アメリカの防衛体制は、新しい真珠湾攻撃のような破滅的な出来事抜きには、その再建のプロセスは長期間を要するものになるであろう」

 これは911の予言か告白に等しい。
 説得力のある根拠は最初から書かなければよい、というわけだ。

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