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【レビュー】タワー・オブ・テラー at 東京ディズニーシー

※この記事には筆者がアトラクションの世界観にマジレスでツッコミを入れる描写があります。批判表現は控えておりますが、どうしても夢を壊されたくない方はご覧いただかないことをお勧めいたします。


テレビCMや鉄道の広告などで多く見かけるため、おそらく日本で最も有名であろうフリーフォール、「タワー・オブ・テラー」。

私は小学生の頃にその存在を認知していたが、小学生の頃はまだ絶叫マシンに乗れず、乗れるようになってからも心理的な壁や金銭的な壁に阻まれ、成人を迎えるまで一切乗ることはなかった。

絶叫マシンに乗れるようになってからも、既に高さ107mのブルーフォールなどに乗れるようになっていたことから、それと比べるとタワー・オブ・テラーは大したものではないと思い、興味を示すことはなかった。

ところが2023年以降、絶叫マシンに乗っていると、一緒に乗り合わせていた見知らぬ人が、その絶叫マシンの感想を口にする際に、タワテラを引き合いに出すのを多く聞くようになった。それによると、よみうりランドにあるフリーフォール「クレージーストン」よりも怖くて、東京ドームシティアトラクションズの看板ジェットコースター「サンダードルフィン」のファーストドロップと肩を並べる程の迫力だという。

…タワー・オブ・テラーはあの屈指の大型機達と対等に比較されるほどのものなのか?

私はその話を聞いて以降、タワー・オブ・テラーの乗車感覚がものすごく気になり始めた。一度乗ってみて確かめてみたいと思うようになった。

そういうわけで、東京ディズニーランドが開業40周年を迎えた2023年に、タワー・オブ・テラーに乗るために東京ディズニーシーに入る計画を立てたのだが、また別のことに興味が移ったために忘れ去ってしまい、そのまま2023年は終了。

2024年になって、同年6月6日に新エリア「ファンタジースプリングス」が開業するという情報を目にすると、やっとその計画を思い出し、ほとんど準備期間を設けずにワンデーパスポートを購入、入園に至った。入園1週間前のタワー・オブ・テラーの待ち時間が概ね40〜50分程度と比較的短かったこともこの時期の入園を決断するきっかけになった。

タワー・オブ・テラー

これがタワー・オブ・テラーだ。

いわゆる「近代建築」と呼ばれる立派な風貌は、改めて見上げると迫力がある。高さが園内で一番高く、モダンで壮麗な外観を持つこの建物は、もはや舞浜のランドマークタワーであろう。以前から京葉線で舞浜駅を通る時や地下鉄東西線で旧江戸川を渡る時、さらにはお金がなかった頃に自転車で遠出して舞浜を周回した時によく見かけたが、真正面から見るのは今回が初だった。やはり立派で美しい。

夜のタワー・オブ・テラー

ちなみに夜になると青系のライトで照らされる。一般的なモダンなホテルとは正反対である寒色系のライトアップであるのが特徴的で印象的だ。

以前私が夜に難波を訪れた際、同じく「近代建築」である南海難波駅の駅舎ライトアップを見てタワー・オブ・テラーのライトアップを思い浮かべたのだが、雰囲気似ていないか?🙄

南海難波駅。雰囲気が似てないか?🙄

さて、ここでタワー・オブ・テラーがどのような世界観であるか簡単に説明する。


時は1899年12月31日、ニューヨーク市に存在していたホテル「ホテルハイタワー」にて、そのオーナーであった「ハリソン・ハイタワー三世」が自室に向かうエレベーターに乗車後、謎の失踪を遂げる。
それから約13年後の1912年9月4日、ホテルハイタワーの建築物を引き取ったニューヨーク市保存協会は、ハイタワー三世失踪の謎に迫るミステリーツアーを開催し、ゲストである我々が参加することになった。


このように、怪事件を機に使われなくなった廃ホテル内の見学ツアーという設定。その廃ホテルで待ち構える様々な刺激に期待に胸を膨らませて列に並ぶ。

外の待ち列には複数の像や英語で書かれた幕、当時の新聞と見られるものが置いてあった。ただ、私が見たもので一番驚いたのはこれだ。

水飲み場

水飲み場だ。これを見た私は一瞬「飾りじゃないよな!?本当に飲めるのか!?」と思ったが、排水口の穴の形を見て最近の製品の形状とわかり、本物だと判断し、喉が渇いていた私はここで水分補給。本当に助かった。待ち時間に水を自由に飲めるので夏季の熱中症対策は万全。ただただ感謝でしかない。

こうしてようやくホテルハイタワー内部へ。

ホテルハイタワー内部

内部は少し薄暗い。画像は少し露出が高めになっており、実際にはもっと暗い。こんな薄暗い状況で普通に営業していたのだろうか。

フロント
テーブルに置かれた部屋の鍵。
実はテーブルに固定されている。

フロントには実際に紙も入っているほど作り込みが細かい。部屋の鍵も置いてあったがテーブルに固定されていた。固定されているのにそれに気づかないほど自然なのに驚いた。

1800年代の建築物に現代的な非常口のロゴが。

一方、壁面には現代的な非常口のピクトグラムがあった。1800年代の建築物であるにも関わらず現代的な非常口のピクトグラムがあるというギャップには不覚にも笑ってしまった。法律上仕方ないことではあるが…()

壊れたエレベーター

更に先に進むと明らかに壊れたエレベーターが見える。これが失踪事件の痕跡なのだろうか。

そしてキャストさんの案内に従い、小さな部屋に案内される。ここでキャストさんから、ツアーとホテルハイタワーについての説明を聞いたが「…そしてその夜、彼は行方不明となりました。」と言う際にかなり叙情的になっていたのが印象的だった(笑)

案内終了後、厚い扉が自動で開いた。1800年代の建物なのに自動ドアg(以下略)

書斎。作り込みの細かさに驚かされる。

中に入るとそこには書斎があった。ここで我々は、ハイタワー三世失踪当日の音声を聴く。途中までは記者とハイタワー三世の受け答えが流れていたが…

突然、爆音の雷鳴が響き渡り、ステンドグラスの絵が変化。

この演出には驚いた。事件の惨状を表すに相応しいインパクトであった。そして、それだけではない。

演出の最後には、置かれていた偶像「シリキ・ウトゥンドゥ」の表情が変化し、暗転するとともに消えた。立体物にここまでの演出ができるのはディズニーぐらいだろう。脱帽だ。

書斎でのプレショーが終わると、入口と反対側の扉がこれまた自動で開き、秘密の倉庫へと案内された。1800年代の建物なのに自d(以下略)

秘密の倉庫

秘密の倉庫は薄暗くて、肌寒かった。そしてそこには貴重な遺産が置かれていた。特に、高校時代に世界史で習った「ラメセス2世」の像が中央に鎮座しているのに驚いた。近くで並んでいた別の人がこれを見て「高校の授業で習った気がするけど名前が思い出せない」と言っているのも印象的だった。

そしてここから業務用エレベーターに繋がる各ツアーの入口、コレクションルームに繋がる。事前に調べた情報ではこの地点で「無理無理」と言う人もいるとのことだったが、そのような声は聞こえなかった。

私が案内されたのは、「ツアーA」だ。乗った後に調べてわかったが、このツアーAは鏡の部屋とハイタワー三世の部屋の配置が他の2つのツアーと逆のようだ。そのためエレベーターの挙動が他と異なる。

コレクションルーム

コレクションルーム、すなわちエレベーターの乗り口に着いた。ここで番号を告げられ、番号順に整列する。そしてその番号が、そのまま着座位置となる。相変わらず作り込みの良さに驚かされるが、エレベーターの扉らしいものが見つからない。それもそのはず、我々は隠し扉からエレベーターに乗る。

いよいよ長年の悲願であるエレベーター搭乗の時を迎える。私はこの時興奮の感情があったが、場の空気をわきまえて興奮を抑えた。何せこれは豪華なホテルの見学ツアーだからな。

※ここから先は撮影できないため画像なしのレビューとなる。

そしてついに、エレベーターへと繋がる隠し扉が開いた。

隠し扉の奥には、「SERVICE ELEVATOR」の文字とエレベーターの扉が見える。そしてエレベーターに入ると座席が並んでいた。これこそ小学生時代にテレビで見た光景だ。

エレベーター内の座席は柔らかかった。普通、絶叫アトラクションの座席は硬いのでこの柔らかさは異例。8年前に乗ったとしまえんの「サイクロン」以来だ。硬い座席は痛みという不快感に直結するのでこういうのは助かる。
もちろん、あくまでホテルの見学ツアーなので快適に見学できるように設置され、絶叫体験など想定されていないという設定でこうなっている。だとしても保存協会のこの細やかな心遣いは素晴らしい

そんな柔らかい座席に腰掛けると、キャストさんから自動車と同じ3点式シートベルトを締めるように促される。このシートベルトは車のそれよりもかなりきつい。ロックされれば尚更だ。そして、荷物は足元に置いて、足で挟んで押さえるように言われた。強烈な浮きを体感できるフリーフォールで荷物を持ち込めるものは他にあるだろうか。強烈な浮きの中で荷物は足元に置き、吹き飛ばされないように足で挟んでしっかり押さえなければならない。こんな乗り物は初めてだ。

全員が着座してシートベルトを締めても、すぐには動き出さない。キャストさんがシートベルトをロックし、確実にロックされているかを確認する。その間に、エレベーター内では不穏な音が響き渡る。この音が確認終了までずっと流れ続けるのだ。不穏な音が不安感を掻き立ててゆく。正直早く出発してほしい気分であった。

一通り確認が終了し、まずはゲートが閉まった。その後再び荷物を押さえるように案内され、ついにドアが閉まり、出発。

キャストさんが「最上階へ出発です。」と言ってドアを閉める操作をすると、「いってらっしゃーい」と笑顔で手を振った。

これ、ホテルのツアーだよな?


私は展望台などでエレベーターの案内係の様子を何度も目にしていた。彼らは皆エレベーターのドアを閉める際、「いってらっしゃいませ。」と言い、丁寧にお辞儀をしていた。手を振る人も一部いたが子供に対してだけだった。豪華で落ち着いた雰囲気の場所であれば尚更。そしてタワー・オブ・テラーは豪華で落ち着いた雰囲気の場所であるホテルの見学ツアーという設定なはず。そしてエレベーター内に子供の姿は確認できなかった。そんな状況において「いってらっしゃーい」と笑顔で手を振って見送る様子に私は違和感を感じた。でもこういうギャップも「夢の国」らしくて気に入った。

それはさておき、エレベーターはハイタワー三世の声とともに上へ向かう(実際にはシャフトに据え付けられるために一度後退してから上昇する)。ハイタワー三世の部屋での演出を見た後、鏡の部屋に向かって下る。この時、乗り合わせていた別の人は「上に行ってるのか下に行ってるのかわからない」と言っていた。確かに暗闇の中を進むので分かりづらい。私も状況を理解するのに少し時間を要した。それに、ここまでの一連の移動の際も停止時に若干浮きそうになって「これ、本気で浮かせにかかってないか?」とすら思った()

そんなこんなで鏡の部屋に到着。皆鏡に向かって手を振る。私も恥ずかしかったが一応手を振っておいた。すると鏡に映った客が消え、代わりにシリキの姿が映る。

そして暗転。私はもしかしたらここで不意打ちの急降下があるかもしれないと思って身構えていた。暗闇からの不意打ち急降下は高飛車で経験しており、その際恐怖を感じたので暗闇になると自然とそう考えるようになってしまった。しかし実際はそのようなことはなく、逆に速度を上げて上昇していったので少し安堵した。

…と、その時だった。

上昇が終わりエレベーターが停止する時、まだ落下していないのにフワッと強い浮きを感じた。想定外だ。私はこれにかなり驚いた。フリーフォールは落下時しか浮かないと思っていたのでそれを完全に覆された。そして同時に、浮かせ方が上手いと思った。

そして最高到達点に到着。舞浜が一望できる他、葛西臨海公園の「ダイヤと花の大観覧車」や、スカイツリーまでもが見える素晴らしいビュースポットだ。

…しかしその景色が見られるのも束の間。見晴らしの良い景色に見とれていたら、フェイントからの急降下。想像以上に浮きが強くてビックリ。エレベーター内に絶叫がこだまする。それもそのはず、いくつもの絶叫マシンに乗って体を慣らしてきた私が驚くぐらいの強烈な浮きなのだから。

しっかり足で荷物を一生懸命押さえていたつもりだったが、強烈な浮きによって足ごと荷物が浮いてしまった。

そして再び上昇。今度は上りきってすぐに急降下。ただでさえ上昇終了時に浮くのにすぐ落下の浮きが来るのでエアタイムが長い。しかも真っ暗なので動きが予測できず、不意に訪れたこの刺激に驚いた。

しかも、拘束具はシートベルトのみで、硬い安全バーはない。だからこそ自然な浮きを感じられる。

なんだこの浮きは!神か!?


いくつものフリーフォールに乗り慣れた私でも、こんな浮き方は想定外だった。

そしてまた上昇し、再び最高到達点へ。ガタガタという小刻みな揺れの後、急降下。やはり強い浮きだった。

驚きで頭がいっぱいになる中、絶叫体験は終了。

ハイタワー三世の「恐怖への誘惑に取り憑かれてはならん。二度と戻って来るな…。」の声で送り出された。

ごめんなさい。取り憑かれちゃいました(笑)

まあ、そもそもアトラクションの最後に「二度と戻って来るな…」で送り出されること自体見たことない。ただ、悲劇を題材にしたアトラクションという楽しみといった矛盾めいたものではつきもののように感じる。


総評

身長制限102cm以上から乗れるアトラクションで、スペックもそんなに大きくないことから、刺激自体は小さいと思っていたが、実際に乗ってみたら想像以上に強い浮きで大変驚いた。私はシリキを完全にみくびっていた。でも浮遊感が大好きなので大変気に入った。また乗りたい。次はLEVEL13の開催時期に行きたいと思っている。
絶叫マシン、特に浮遊感が好きなら是非一度乗って欲しい。見た目以上の感覚に驚きと興奮間違いなしだ。

…写真?買わないよw


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