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兄ちゃんが亡くなった。東京のマンション自室で。死因は病死、いわゆる「孤独死」。俺がまだ、中3の頃のことだ。 「……にーちゃんは、東京に行ったりしないよな?」 地元の葬儀でそう尋ねた俺に、彼はゆっくりと頷いた。 「行かないよ」 たぶん、と小さく付け加えたのを、俺の耳は聞き逃さなかったけれど。その自信なさげな面持ちを、見ないようにもしたのだけれど。それでも、俺はにーちゃんのことを信じようとしていたのに。 *** 「俺、ワセダに行きたいと思ってます」 高校最後