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《短編小説集》なにがしかの話

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物語の半分はほろ苦さでできています
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2019年9月の記事一覧

8年越しに階下の彼女と話した昼の話

「そりゃー何も知らない人は頑張ってて偉いね〜ってヨシヨシしてくれるんだろうけどさ、私は違うって思うのね」 ***  目覚まし代わりにあたしを起こしたのは、一本の電話だった。 「お世話になっております、こちらニノミヤフミカ様の携帯でよろしかったでしょうか? 先日ご応募いただいたオーディションの件ですが──」  お世話になっております。  はい、私本人です。  ええ、はい、承知しました。  ご連絡ありがとうございました──  まぶたの重みに反して、口はひどく軽やかに動い