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最初で最後


燦くフラクタルの上、夜をベールに纏った少女のダンスを、私はサイネージ越しに見ている。蒼い蝶の髪留めに白い肌と溶け合う様な霜雪色のドレス。そして何も知らない様な、それでいて全てを知っているかの様な、無垢で見透かした目。剥き出しの白電球を手で覆うと光が漏れる様に、彼女を光源として輝く光たちは、包まれた夜の隙間からちらちらと零れてゆく。静かに揺らめく散乱空気中の塵。普段は目視できないそれも、光の拡散により可視化されてゆく。彼女が動くたびに塵は一過性の気流へと飲み込まれ、静かに元の落ち着きを取り戻す。衝突しては馴染むの繰り返し。彼女の周りで発生している当たり前でそれでいて奇妙な現象に目を奪われる。
カーテンの隙間。ふと彼女と目が合った様な気がした。彼女の目は笑っていた。
黒と白とが移り変わるこの世界で彼女は万物から解放された自由を表現していた。彼女を覆う黒。それは純黒ではない。ありとあらゆる色を混ぜ合わせてできた唯一の黒。彼女の醸す白。それは純白ではない。散乱したあらゆる光を反射してできたやがて移りゆく白。交互する色の連続の狭間で、私は思わず息を呑むんです。

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