アンプシミュレーターをスタジオやライブハウスで鳴らす方法
最近はギター用のアンプシミュレーターの性能も高くなってきて、スタジオやライブハウスでアンプシミュレーターを使うギタリストも増えてきました。
しかし、スタジオやライブハウスでアンプシミュレーターを使うと「何か違うな」「ヘッドホンやラインで聴いた時と比べて違和感があったり音が悪くなっているように感じる」と悩んでいる人も多いと思います。
私自身もLINE6の初代PODを使い始めた頃から「どうすればアンプシミュレーターの性能を活かせるのだろうか」と悩みながら試行錯誤をしてきました。
スタジオやライブハウスでアンプシミュレーターを使う方法は様々ですが、それぞれのメリットやデメリットと、個人的にアンプシミュレーターの性能を活かせると思う方法について書いていこうと思います。
◆ギターアンプのインプットに接続する方法
メリット
・アンプシミュレーターだけ持ち歩けば良い(スタジオ・ライブハウス備付のアンプを使う場合)
・リターン端子がないアンプでも対応できる
デメリット
・設定によって不自然な音になることがあり、良い感じの音を出すのに苦労することがある
・真空管アンプに繋ぐ場合には歪みが強くなることが多い
多くの人が最初に試すであろう方法が「ギターアンプのインプットに接続する方法」だと思いますが、「何か音が違うな・・・」と悩んでしまい、ここでつまずく人が思います。
ギターアンプのインプット端子は基本的にギター本体から出る信号や、エフェクター(アンプシミュレーターを通していないもの)の音を入力した場合に「良い感じ」の音が出るように設計されています。
そして、基本的にギター本体から出る音や、エフェクターから出てくる音は、レンジが狭く(高音域と低音域が弱く)、アンプを通さないと「使えない」と感じるような「ショボい音」です。
この「ショボい音」をアンプを通すと「ちょうど良い音」になるようにアンプは設計されています。
他方でアンプシミュレーターから出てくる音は、レコーディング機材に繋いでそのまま録音できるような「完成された作られた音」なので、レンジも広いです(高音域も低音域も詰まっている)。
このアンプシミュレーターで作られた音をギターアンプのインプットに入れると、ギターの音をアンプシミュレーターと、実機のアンプの2つの部分で音を作り込むことになるため、デジタル感があって高域がシャリシャリしたような「使いづらい」になってしまうことがあります。
簡単に言うとアンプを2回分通したのと同じような結果になるため、現実的ではない違和感のある音になりやすいです。
この問題を解決するための機能を提供しているメーカーもあって、例えばBOSSのマルチエフェクターに入っているアンプシミュレーターでは、接続するアンプ毎にアンプシミュレーターから出力される音を補正してくれる機能が付いています。
たとえば、JC-120のインプットに接続する場合には、アンプシミュレーターのOUTPUT SELECTで「JC-120 INPUT」を選択すると「良い感じの音」が出るようになっている・・・はずなんですが・・・実際に試してみると「何か違う・・・」という音になることがあります。
他のOUTPUT SELECTを試してみたりマスターEQ(出力する音の周波数特性を調整するイコライザー)を調整したりすることで解決することもありますが、同じJC-120といっても年式や劣化によって音が違ったりするので、ライブのリハで音作りに右往左往することもあったりします。
個人的に感じているのは、アンプシミュレーターの性能が高くなればなるほど「ギターアンプのインプットに接続する方法」は使いづらくなっていくという印象です。
例えばBOSSの場合、GT-100やGT-1といった1世代前のアンプシミュレーターはOUTPUT SELECTで「JC-120 INPUT」などを選択してアンプのインプットに接続するだけで、簡単に「使いやすい音」が出ることが多かったです。
しかしアンプシミュレーターの性能がより進化したGT-1000をアンプのインプットに接続すると、音のレンジが広すぎたりして、OUTPUT SELECTを変更しても「使いやすい音」には簡単に辿り着けないことが多いように感じます。
これは先ほどもお話したとおり、アンプのインプット端子は「ショボい音」を「良い感じの音」にするために最適化されているためであり、最近の性能の良いアンプシミュレーターの「良い音」をアンプのインプットに流し込むと音のレンジが広がり過ぎたりデジタル感が強調されたりしてしまうからであると思います。
このように「ギターアンプのインプットに接続する方法」には、色々と問題点があったり、良い音を出そうとすると現場で細かい調整が必要になることがあります。
そこで「もっと簡単に良い感じの音が出せることがないか」ということで、先人達が試行錯誤を重ねてきた方法を以下説明していきたいと思います。
◆ギターアンプのリターンに接続する方法
メリット
・アンプシミュレーターだけ持ち歩けば良い(スタジオ・ライブハウス備付のアンプを使う場合)
・アンプのプリアンプによる音の変化を防ぐことができる
デメリット
・リターン端子のないアンプに遭遇した時に困る
・パワーアンプやアンプのスピーカーによる音の変化は避けられない
・ハウリングを起こしやすい
「ギターアンプのインプットに接続する方法」で音が大きく変わってしまうという問題を解決するための方法として、ギターアンプの裏側などにある「リターン」端子にアンプシミュレーターを接続する方法があります。(俗に言う「リターン挿し」)
リターン端子は本来はプリアンプで処理した後の音を外部に出して(センド)、リバーブやコーラスなどのエフェクターで処理した音を戻すために使われることが多いのですが、リターン端子にアンプシミュレーターを繋ぐとプリアンプ部分をバイパスすることができプリアンプによる音の変化を防ぐことができます。
インプットに繋いだ場合
シミュレーター ⇒ プリアンプ ⇒ パワーアンプ ⇒ スピーカー
リターン端子に繋いだ場合
シミュレーター ⇒ パワーアンプ ⇒ スピーカー
インプットに挿す場合に比べると音の変化が少ないため、アンプシミュレーターで作った音に近い音を出すことができますが、デメリットもあります。
デメリットの1つはリターン端子の付いてないアンプに遭遇したケースです。
JC-120やマーシャルなど、スタジオやライブハウスに一般的に置いてあるアンプにはリターン端子が付いていることが多いですが、JC-120でも古い機種ではリターン端子がない場合がありますし、小さめのジャズ系のライブハウスなんかだったりするとマーシャルが置いていないということもあります。
その他のデメリットとしてはリターン挿しの場合にもアンプのパワーアンプ部分とスピーカーは使うことになるため、これらによる音の変化は避けられません。
スタジオやライブハウスに置いてあることの多いJC-120やマーシャルのキャビネット(1960A)は高音域が強めに出る傾向があるため、アンプシミュレーターのハイファイな音を出そうとすると高音域の音が強調されて痛い印象を受けたり、ドラムのシンバル系と音が干渉する傾向があります。
また、リターン挿しの場合はスタジオなどに置いてあるアンプの内部にあるパワーアンプ(音を大きくする部分)の特徴が付加されますので、それが嫌だとう人は次の「アンプのキャビネットに接続する方法」を試すことになります。
◆アンプのキャビネットに接続する方法
メリット
・プリアンプによる音の変化を防ぐことができ、アンプシミュレーターの音を比較的忠実に再現できる
デメリット
・プリアンプの付いたアンプシミュレーターを使うか、別途プリアンプを用意する必要がある
・キャビネットやスピーカーの癖が気になることがある
・バンドの入れ替えのあるライブの場合にはPAさんに嫌がられることがある
マーシャルなどのアンプのキャビネット部分の裏側には音の信号を入力する端子があります。
この「キャビネットの端子」にアンプシミュレーターの音を直接入力するという方法があるのですが、キャビネットの端子は「パワーアンプによって増幅された音」を入力するための端子なので、通常のアンプシミュレーターを直接接続することができません。
そのため、キャビネットの端子にアンプシミュレーターを接続する場合には別途パワーアンプを用意する必要があります。
外付けのパワーアンプいくつか種類がありますが、プレイテックのGPA-100(ペダル型のパワーアンプ)はエフェクター2個~3個分くらいの大きさなので持ち運びも楽です。
(海外だとHarley Bentonというメーカー名で販売されていますが、こちらは「Power supply: AC 220-240 V」となっており日本だとそのままでは使えないと思われるので注意が必要です)
この方法は「アンプヘッド」を「アンプシミュレーターとパワーアンプ」に置き換える方法と考えると分かりやすいと思います。
パワーアンプを内蔵しているKemperの場合には別途パワーアンプを用意しなくてもキャビネットに直接繋ぐことができます。
Kemperも発売されてから長い年月が経っていますが、未だにプロを含めてKemperを使っている人が多いのはパワーアンプが内蔵されていて便利だから、という側面もあるように思います。
アンプのインプットやリターンに接続する場合に比べて「アンプのキャビネットに接続する方法」のほうがアンプシミュレーターの音を忠実に再現しやすいので、アンプシミュレーターの音をなるべく素直に出したいという人にとっては選択肢の1つになると思います。
※この場合、アンプシミュレーターのキャビネットシミュレーター(IRローダー)の部分がオンの状態だとキャビネットが重複してしまうため、キャビネットシミュレーターはオフにしておいたほうが自然な音が出ます。
デメリットしてはパワーアンプを用意するのが面倒であるだけでなく、キャビネットやスピーカーの癖の影響は少なからず受けてしまいます。
またライブの場合にはアンプヘッドとキャビネットを繋ぐ線を抜いてしまうと他のバンドのリハーサルや準備に時間がかかってしまいますし、間違ってキャビネットと真空管のヘッドアンプの接続が外された状態で音を鳴らしてしまうとアンプを壊してしまうという事故が発生する可能性もあります。
そのため「キャビネットに接続する方法」はPAさんに嫌がられることがあります。
またライブハウスやスタジオのアンプのメンテナンスがきちんとされていなくて「変な音がする」というケースがありますが、この「変な音がする」原因はキャビネットが痛んでいることによる場合も多いです。
そのためライブハウスなどにあるアンプの個体差の問題を避けるためにアンプシミュレーターを持ち込んだものの、据え置きのキャビネットが痛んでいたために満足のいく音が出せない、という状況になることもあります。
◆PAスピーカーに接続する方法
メリット
・プリアンプ、パワーアンプ、スピーカーによる音の変化を防ぐことができる
・アンプシミュレーターだけ持ち歩けば良い(スタジオ・ライブハウス備付のPAを使う場合)
・ギターアンプのマイキングが不要
・大規模な会場で大型のPAスピーカーを使う場合には実機のアンプよりも大音量を出せるケースがある
デメリット
・小規模のスタジオ・ライブハウスのスピーカの場合には実機のアンプのような迫力が出ないことがある
・ライブの場合、PAさんに断れることがある
・ボーカルにも嫌われることがある
・ライブ会場で自分のギターの音が聞こえないことがある
アンプシミュレーターを実機のアンプに接続する場合、前記のように、インプット、リターン、キャビネットのどれに繋いだ場合であってもアンプやスピーカーによる音の変化が生じてしまいます。
そうすると「アンプシミュレーターをアンプではなく普通のスピーカーに繋げば、アンプシミュレーターで作った音をそのまま再現できるのではないか」と考える人が多いと思います。
実際に自宅でモニタースピーカーなどにアンプシミュレーターを接続してみると、アンプシミュレーターで作った音をほぼ忠実に再現してくれます。
ジャズ系の小さめのライブハウス、カフェ、結婚式場などで演奏する場合には、この方法が一番「しっくりくる」と思います。
「これで全て解決だ!」と言いたいところなのですが・・・ある程度の大きさのスタジオやライブハウスのPAにアンプシミュレーターを接続してスピーカーから音を出してみると「何か迫力が無い・・・」と感じるケースが多々あると思います。
これはギターアンプに付いているスピーカーと、PAスピーカーの特性の違いによるものだと思われます。
ギターアンプのスピーカーは高音域レンジが狭く音が比較的まっすぐに飛んでいくため迫力や音圧感を出しやすいですが、一般的なPAスピーカーはギターに特化したものではなく様々な音を出すためのものなので音が散らばりやすく「上品で整い過ぎた音」に聞こえることが多いです。
またライブで「PAスピーカーに接続する方法」を使う場合、モニター(ステージに置いてあるスピーカー)から自分のギターの音を返してもらうことになりますが、小規模のライブハウスではモニター用の機材が弱いことが多く「自分のギターの音があまり聞こえなくて困る」という事態になることもあります。
実機にアンプから音を出している場合にはアンプから出ている音をモニターすることで解決できますが、「PAスピーカーに接続する方法」の場合にはモニターから十分な音が返ってこないと演奏がしづらくて困ってしまいます。
◆FRFRスピーカーに接続する方法
メリット
・プリアンプ、パワーアンプ、スピーカーによる音の変化を防ぐことができアンプシミュレーターの音を忠実に再現しやすい
デメリット
・FRFRスピーカーを持ち歩く必要がある(スタジオ等にはFRFRスピーカーはないことが多い)
・スピーカーによっては実機のアンプのような迫力が出ないことがある
・FRFRスピーカーは高額なものが多く種類も少ない
前記の「アンプに接続する方法」や「PAスピーカーに接続する方法」のデメリットを解消するための方法として一部のメーカーから「FRFRスピーカー」というアンプシミュレーター専用のスピーカーが販売されています。
FRFRスピーカーはアンプシミュレーター用に作られているだけあってアンプシミュレーターの音を忠実に再現することができ、しかもPAスピーカーだけを使うケースと異なり、自分の音が聞こえなくて困るということもありません。
そうすると「FRFRスピーカーがあればアンプシミュレーター問題は全て解決だ!」・・・となりそうなのですが、このFRFRスピーカーにもデメリットがあります。
まずFRFRスピーカーは選択肢が少なく価格も高いものが多いです。
またFRFRスピーカーはアンプシミュレーター用に作られたものではありますが、ギターアンプではなく、どちらかというとPAスピーカーやモニタースピーカーに近い特性を持っているものが多いです。
そのため実際にFRFRスピーカーをスタジオやライブハウスで使ってみると思ったよりも「迫力が出ないな」「音が前に飛んでいかないな」と感じる人も多いです。
実際のライブで、ギターが2人いるバンド、1人は実機のアンプ、もう1人はアンプシミュレーターとFRFRスピーカーを使っているというケースを見たことがありますが、実機のアンプを使っているギタリストの音は「はっきり」聞こえるのに対し、FRFRスピーカーを使っているギタリストの音は他の楽器の音に埋まってしまって「シャリシャリ」という感じの音にしか聞こえないということがありました。
そのため、個人的にはFRFRスピーカーは使うとしても、自分のモニター用と割り切って使うのが良いのではないかと思っています。
(実際にFRFRスピーカーの中にはモニター(ころがし・返し)と同じような形状をしたものもあります。)
ジャズ系の楽曲など小さい音量で演奏するスタイルの場合や、ライブハウスのPAスピーカーがしっかりしている場合には、FRFRスピーカーを自分のモニター用として使い、もう1系統でミキサーを通してPAスピーカーから外音を出してもらうという方法も良いと思います。
◆アンプシミュレーター用の入力のあるギターアンプに接続する方法
メリット
・プリアンプ、パワーアンプ、スピーカーによる音の変化を防ぐことができる
・PAスピーカーやFRFRスピーカーに比べると音の散らばりが少なくギターアンプらしい音が出せることが多い
デメリット
・アンプシミュレーター用の端子があるアンプを持ち歩く必要がある(スタジオ等のアンプにはアンプシミュレーター用の端子がないことが多い)
・「アンプシミュレーター用の入力端子のあるギターアンプ」には、アンプシミュレーターが内蔵されていることが多いため「わざわざアンプシミュレーターを別に用意する必要がないのでは?」と感じることもある
個人的にFRFRスピーカーを使うよりも無難で事故になるリスクが少ないと思って方法が「アンプシミュレーター用の入力のあるギターアンプ」を使う方法です。
最近の販売されているギターアンプの中にはアンプシミュレーターなどを接続するための専用の入力端子が付いているものがあります。
たとえばBOSSのKATANAというギターアンプには「プリアンプ、アンプ・シミュレーター、マルチ・エフェクターとの接続に最適なPOWER AMP IN端子」が付いています。
またVOXのVX50GTVなどのギターアンプにはアンプモデルの中に「LINE」という選択肢があって、アンプシミュレーターやキーボードなどの音に余計な色付けをしないで出力できるようになっています。
このように「アンプシミュレーター用の入力のあるギターアンプ」を使うことで、アンプシミュレーターで作った音に近い音色を再現することができます。
この場合、ギターアンプをキャビネットとして使うためアンプシミュレーターでキャビネットシミュレーター(IRローダー)の部分はオフにしておいたほうが自然な音が出る・・・はずなのですが、キャビネットシミュレーターをオンにしたほうが迫力があってヌケが良い音になることもあるので、どちらも試してみることをお薦めします。
「PAスピーカーやFRFRスピーカーと何が違うのか?」と思った方もいると思いますが、「アンプシミュレーター用の入力のあるギターアンプ」はあくまでもギターアンプなので、キャビの中に入っているスピーカーもギターアンプ用のスピーカーが使われていることが多いです。
そのため、PAスピーカーやFRFRスピーカーに比べると音が前に飛びやすく、余計な高音域も出にくいという印象があり扱いやすいです。
またPAスピーカーやFRFRスピーカーは高額だったり、大きくて重いものが多いですが、「アンプシミュレーター用の入力のあるギターアンプ」は出力50W程度のものであれば3万円弱(BOSSのKATANA-50 MkIIやVOXのVX50GTVなど)で買うことができ、しかも軽くて持ち運びも楽だったりします。
ライブの場合にはアンプシミュレーターのサブアウトを「アンプシミュレーター用の入力のあるギターアンプ」に繋いで自分のモニター用(兼)迫力や音圧を稼ぐ用として使い、アンプシミュレーターのメインアウトをPAに直で送ってPAスピーカーから外音として出してもらう(マイキングはしない)、という方法がバランスが良いと思っています。
この「アンプシミュレーター用の入力のあるギターアンプ」を使う方法のデメリットとしては、アンプシミュレーター用の端子があるアンプを持ち歩く必要があることです。
アンプを持ち運ぶのが面倒になってきて、「スタジオやライブハウスにあるアンプにリターン挿ししたほうが楽だな・・・」と思う人もいると思います。
また、そもそも「アンプシミュレーター用の入力のあるギターアンプ」には既にアンプシミュレーターが内蔵されていることが多いです。
先ほどのKATANAやVX50GTVにも数種類のアンプモデリングが搭載されているので、別途フロアタイプのアンプシミュレーター(Helix、GT-1000、AMPEROなど)を用意しなくても、ギターを直接KATANAやVX50GTVに繋げば様々なアンプがモデリングされたシミュレーターの音が簡単に出せるんですよね。
そうすると「アンプと小さめのフットスイッチがあれば十分でしょ」と考えるようになってきて、結局フロアタイプのアンプシミュレーターはいらない、という結論になる人もいると思います。
◆アンプシミュレーターをオフにしてエフェクター機能だけを使う方法
メリット
・「アンプシミュレーターをどうやって鳴らすか」という悩みから解放される
デメリット
・「アンプシミュレーターをどうやって鳴らすか」という問題の根本的な解決にはなっていない
・アンプシミュレーター持っているのに使わないのはもったいない
「アンプシミュレーターをスタジオやライブハウスで鳴らす方法」というタイトルには反する解決法ですが、色々試していると「こんなに面倒ならば現場に置いてある実機のアンプを使ったほうが楽なのでは?」という結論にたどり着くギタリストも多いと思います。
自宅ではアンプシミュレーターを使っているけど、スタジオやライブではボードを組んでるタイプのギタリストも多いですよね。
多くのスタジオやライブハウスにはJC-120や、マーシャルのJCM2000、フェンダーのTWIN REVERBなど、アンプシミュレーターでモデリングされているようなメジャーなアンプが2台程度は置いてあることが多いと思います。
そうするとスタジオやライブでアンプシミュレーターをどうやって使うかで試行錯誤するよりも、現場にあるアンプで音作りしてしまったほうが早いし悩みも少ない、というケースも多いと思います。
Helix、GT-1000、AMPEROなどのマルチエフェクターには、アンプシミュレーターとエフェクターが一緒に搭載されていますので、マルチエフェクターのアンプシミュレーターをオフにして、エフェクター部分(歪みペダル、空間系、モジュレーションなど)だけを使ったほうが音の抜けが良くなったりすることも良くあります。
「アンプシミュレーターをスタジオやライブハウスで鳴らす方法」というタイトルには反してしまいますが、スタジオやライブでアンプシミュレーターで良い音が作れないという場合には、逆転の発想でアンプシミュレーターを使わないという選択肢も残しておくと問題解決の幅も広がると思います。
◆まとめ
以上「アンプシミュレーターをスタジオやライブハウスで鳴らす方法」を網羅的に見てきましたが、いずれの方法にもメリット・デメリットがあるため「どの方法がベストだ」とは言い切れないというのが現状だと思います。
そのため様々な方法を試してみた上で、ライブの形式、会場の広さ、モニター環境などを考慮しながら、それぞれの方法を現場で使い分けられるようにしておくのが良いと思っています。