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新しい「地球温暖化対策自治体マニュアル」を読む

田中信一郎さんから、『長野県「ゼロカーボン戦略」のような「目標・進捗の管理と政策・施策の整合」は、 当該自治体における地球温暖化対策の経験・実績が一定なければ不可能。なぜならば「目標・進捗の管理」の厳密さを求めるほど、そこに行政資源が投入されるため、 結果として資源が不足する「政策・施策」は乏しい効果・成果となるから。常に大きな課題となる「行政のタテ割り」も、経験・実績を積むことでしか解消できない。 よって「小さくても正しい方向での成功体験」を最優先すべき』というお話を伺いました。

求めるべきは、目標ではなく具体的な行動です。

①推計より施策を優先させる

人員、資源、予算は限られています。

CO2の排出量は書かなくていい。
何トン減ったとかわからなくていいです。
皆さんが諦めれば、他の皆さんも諦めます。

そういうことを求めるのはやめましょう。
そういうことをやっているからCO2は減らないんです。

大事なことは、
正しい方向の施策を積み上げていくことです。
ひとつふたつみっつと正しい成功体験をつくっていくことです。

その先に正しいCO2排出量の推計が出てきます。

②大規模排出源が発生する企業がある場合


自治体から出る排出の8割が工場から出ているとかよくあります。

川崎市は7割、8割産業部門から出ています。そしてその企業は大企業です。
大企業に関しては政令市であったとしても、そこに介入していく手段はほぼないです。

都道府県であれば、ある程度できます。
都道府県でも簡単ではありません。

ましてや一般の市町村にそんなことはできません。
ですからそれは国の役割だと割り切って下さい。

大企業や発電所は国が責任を持って取り組みます。
当該市町村が取組む必要はありません。
中小企業、住民、まちづくりといった部分に資源、施策を集中して下さい。もちろん、議会、自治体から国に要請要望活動をすることは非常に重要です。

③正しい方向の施策とは?

1.地域に裨益する再エネ事業の推進
「地域に裨益する再エネ事業」=「地域主導型再エネ事業」

2.持続可能なまちづくりのための公共施設等の脱炭素
(中長期的なまちづくりとして、公共施設の脱炭素化を捉える。)

3.住民・中小規模の事業者の取組促進
(自治体だけで取り組むのでなく、住民、NPO、企業など多様なステークホルダーとの連携が重要となる。)


長野県「ゼロカーボン戦略」のような「目標・進捗の管理と政策・施策の整合」は、 当該自治体における地球温暖化対策の経験・実績が一定なければ不可能です。なぜならば「目標・進捗の管理」の厳密さを求めるほど、そこに行政資源が投入されるため、 結果として資源が不足する「政策・施策」は乏しい効果・成果となるからです。常に大きな課題となる「行政のタテ割り」も、経験・実績を積むことでしか解消できません。 よって「小さくても正しい方向での成功体験」を最優先すべきです。


「再エネの急増=天然ガス火力への依存」と言う「専門家」がいるようですが、それは「建物の断熱化」「送電網の近代化」「公正・透明な電力市場の整備」をセットに進めない場合です。日本がロシアの天然ガスに依存しているのは、政府・業界がそれらの政策に抵抗してきたからです。

政府の責任なのです。



#MindTheGap


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