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体の上から下まで管が通った話

とそんな冒頭から話し始めたら
友人に「え、なに性的なやつ?」と聞かれた。
茶化す訳でも無くとても真剣に。
どんな話も真剣に聞こうとしてくれる姿勢は
とても素晴らしいと思うし尊敬するが
1周まわって友人への配慮が欠けてしまっている…

土曜日の昼間のドトールで
そんなアブノーマルな話をぶち込んでくる人間だと
思われているのだろうか…。

いやそもそもどういう性行為なら上から下まで管が…
と考えたが辞めることにしよう。

もちろんそんな話ではないのだ。
ココ最近、胃が痛くて夜中に飛び起きたり、
下痢が突然やってきて間一髪なんてことが多発している。
おそらくストレスなんだろうと言われつつ
この際だ、全部調べてみることにした。

そんなわけで体の上から下まで管が通った。
胃カメラと大腸検査である。

忘れぬうちにその体験談を書いておこうと思う。

胃カメラは1度経験があった。
大して苦しかった記憶は無い。
問題は大腸検査である…。

どちらも
管状になった機械の先端にカメラが付いていて
それを胃や大腸まで突っ込んで中身を見る。

つまり、胃も小腸も大腸も、
カラッポでなければならないのだ。

これが大腸検査の戦いである。

1.味が薄いものしか食べられない。


便秘がちな私は、3日前から食事制限が入った。
消化のいいものしか食べてはいけない。
正確には「消化に良くないものの一例」が渡され
それらを食べないようにと言われるのだが
「一例」では脳筋の私には分からないのだ…。
「これを食え」と言われたほうがよほど楽である。

「これを食え」リストがないか病院からの資料を漁ると
あるではないか。
検査前日の「これしか食うなよ」リストが!
もう三日前からこれでいい…。
リストには
・何も入っていない白がゆ
・何も塗っていない食パン
・豆腐
…いやいや無理だ、いくら何でもしんどすぎる。
私は白がゆが大嫌いだし、豆腐を素で食えと…?
味が!!味がほしい!!
そこに一筋の希望の光が指すのだ。

・カステラ 
・蒸しパン

Congratulations!!
素晴らしい!!
甘い!美味い!

あなたが検査数日前の食事で不安になったら
ぜひカステラと蒸しパンを食べてほしい。

こうしてカステラと蒸しパンだけを
スーパーで大量に買い込むやや不審な客になった私だが
無事3食カステラ蒸しパン生活にありつけた。


2.しょっぱいものが食べたい


分かっていたが12食もカステラや蒸しパンでは
甘いものに飽き飽きする。
検査前日には、もうしばらく見たくないです状態。
私の血糖値もいい加減にしてくれと匙を投げていたはずだ。
しかし食べられるものはあとは白がゆや豆腐なのだ…

しょっぱいものが食べたい…
しょっぱいものが…
しかしここに一筋の光は差し込まなかった。
冷静に考えれば、調味料はオーケーだったので
湯豆腐でも作ればよかったのだが
脳筋の脳みそが甘いふわふわに埋めつくされ 
全く気が付かなかった。
隣ではパートナーが申し訳そうにしながら
お手製野菜たっぷりタンメンを食べている。
漂うごま油の香りに、
危うく彼の頭にも甘いふわふわパンたちを
ぶち込んでやるところであった。  
実際には「美味しそうで許せないから風下で食え」
という私の理不尽な要求を受け
風下でこっそりタンメンを食べていた彼であった。
すまない。本当にすまない。
しかし食事制限のある人間の気性の荒さは  
冬眠前のクマと同じだと思って諦めてほしい。

3.腹が空く


消化にいいものを食べているのに加え
スポーツ飲料もたくさん飲めと言われていたため
結果的にとても腹が空く。
そりゃそうだ、消化が早いんだもの。
おやつにもご飯前にも蒸しパンを食う生活だ。
太っただろう…
いやこれも冬眠前のクマなのだ…
仕方がないのだ…

4.検査前夜には錠剤の下剤


もうコーラックにしか見えないピンクの下剤だ。
2錠と書かれた書類に赤ペンで×が付いていて
3錠に書き換えられていた。
ぐぬぬ。日頃便秘なのは本当に良くない。

あなたはコーラックを飲んだことがあるだろうか。
私は人生で何度もある。
そして飲む度に
「飲むんじゃなかった」と後悔する。
構造が酒と同じだが
私は二日酔いをそれほどしないので
酒の方が幾分マシな気がする。

話が逸れたが
コーラックの過ごさはその効き目と痛みだ。
5日間の強固な宿便も、コーラックにかかれば
ちゃんと出るのだからすごい。

しかし、ただでその成果を得られるほど
世の中は甘くない。
来るのだ、激痛が。
腹の動きを強制的に動かしているからか
グルグルと腸から音を立てながら
激しい腹痛を起こす。
この時に「もう二度と飲むものか」と思うのだ。
のたうち回り、丸まって痛みが落ち着くのを待ち
トイレへダッシュ。

これが便が無くなるまで繰り返される。

そんなコーラックと同じ色、同じ形の下剤が
目の前にあるのだ。
嫌すぎる。 
本当に嫌すぎる。
これにはずっと駄々をこねていたが
コーラック経験のないパートナーには共感されずに終わった。
食べたらすぐ出る人間はこれだから…と
また冬眠前のクマに文句を言われた彼には
同情する。

こんなに熱くコーラックがいかに効果的で
しかし苦痛を伴うかを話してきたが
実際は予想より遥かに楽であった。
と言っても夜中に腹痛で飛び起き
お手洗いにダッシュを決めることになるが…。
しかし腹痛はその1回のみで
今までの経験上の
ずっと痛いまま、のたうち回ることは無かった。

これはひとえに、脳筋作戦の成果である。
消化にいいものしか食べていないので、
そもそも対した宿便がなかったのだ。

これがいつも通りの便秘だったらと思うと震える…


5.検査当日の下剤で寒い


検査日は絶食で、約2リットルの下剤を飲む。
これが辛いから大腸検査は嫌われがちだ。
しかしコーラックを乗り越えた私に敵はない。

冷やして飲むと飲みやすいと聞いて
下剤を溶かす水を冷蔵庫に入れておいた。
当日の朝、下剤を作って飲み始める。
2時間かけて、200mlずつ飲んで飲み干せというので
約12分ごとに200mlずつ飲んでいった。

もうお分かりだと思うが
季節は冬、冷水を2リットル近く2時間かけて飲む。
凍え死ぬくらい寒くなる。
しかし下剤を飲んでいる身、
風呂につかる訳には行かない。
嫌だ、絶対に嫌だ。
がたがたと震えながら飲みきった。

あなたがもし大腸検査をするなら
夏をおすすめする。
冬にやらなければならないなら
始める前に十分に防寒をしてほしい。
また、お手洗いもできるだけあたたかくした方がよい。

6.おしりが痛い


下剤を飲んで30分ほどから
私は約2時間ほどお手洗いとリビングを行き来した。
お手洗いに籠る手もあったが、
ユニットバスな我が家は寒すぎるのだ…。
できる限りお手洗いにいたくない。
そんなわけで、暖房ガンガン湿度高めのリビングと
お手洗いを行き来した訳だが
これは結果的にとても悪手であった。

お手洗いを出る時には
当然だがトイレットペーパーで肛門を拭く。
これを二時間半近く複数繰り返すと 
もうおしりが痛くて痛くて拭きたくない。

ケチらずに高いトイレットペーパーを買っておけばよかったと
あんなに後悔した日はない。

高いトイレットペーパーを買い
できるだけ暖かい格好をして
トイレに籠る

これが最適だったように思う。
どうぞあなたの役に立ちますように…。


ちなみに大腸が綺麗になると、もう肛門からも
水しか出なくなる。
こうなれば検査OKだ。

7.超楽しい検査室


あなたは
全身麻酔なしで手術室に入ったことはあるだろうか?
私はない。
意識バッチリのまま、
たくさんの看護師さんと医者に囲まれ
機械に囲まれ
それを観察できる検査室は私にとって最高だった。
キョロキョロしすぎて、
「顔動かさないでくださーい笑」と注意されたくらいだ。
ここはぜひまた体験したい。

怖いと思うなら、安定剤を吸引させてもらって
寝て起きたら検査が全て終わっていた!ということにも
できるらしいので安心なされよ。

検査結果はまたどこかで。
 
あなたの役に立ちますように!
少しでも笑えたらそれも良し💪

ちなみに検査後は空腹の絶頂、冬眠明けのクマなので
焼肉を食べたいと看護師さんに申し出て止められた。

しかし翌日はサムライマックを食べたことは秘密である。
冬眠明けのクマ、恐ろしいぞ。


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