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須佐・萩旅行

 今年のGWは中日が3日もあるということで,連休としては休日を過ごしにくいものであったと思う.筆者は最後の週末以外は,親元から離れた福岡で授業と課題に追われていた.しかし,後4日は少しでも家族と過ごそうと思い,3・4日で家族と須佐と萩を回るというプチ旅行をしたのだ.今回は,その件についてまとめていこうと思う.

旅行の経緯

 そもそも旅行の話が出たのは,去年のGWのことだ.大学生になり,学年が進むにつれ中々実家に帰るのも一苦労と言った状況.ただ家族とやりたいことは増えていく.だから,せめてでも行けそうなときに一緒にどこかに出かけようと約束していたのだ.幸いにして,今年のGWは卒業研究も終わり大学院生になったばかりで余裕があるはず,そう踏んで旅行の日程だけは立てていた.
 そこから須佐や萩に行く話が出たのは1月のことだ.卒業研究に使用するプログラム作成と論文作成も佳境に入り,土日問わず毎日のように学校に来る日々が続いていた.陰鬱とした気分が続き,外で過ごしたい,何かアウトドア系のアクティビティをしたいと思うようになった.LINEで話す中,筆者の親は付き合いかいざ知らず,近ごろ釣りや温泉巡りなどアウトドア系のアクティビティに赴くことがあるとは聞いていた.装備は整っている.だから言ったのだ,「私は釣りというものをしたことがない,釣りに連れて行け」と.そこからはスルスル話が進んでいき,ある程度勝手が分かる近場で,観光するにもロケーションが良いということで須佐に行こうと言う話になった.
 ただ,釣りをするだけでは面白くない.そう言ってGoogleマップを眺めていると1時間もかからない場所に萩があることに気づいた.最初のnoteにも書いたが,筆者は茶道を嗜んでいる.焼き物と言えば「一楽,二萩,三唐津」と呼ばれるほどだ.実際に萩焼きの道具は茶会でも良く使用する.行けるなら是非,ということで二つ目の行き先は萩となった.

須佐

 須佐と地名を聞いたとき,何を思い浮かべるだろうか.恥ずかしながら地理など無知な私は,須佐に行こうと言われたとき,どこだよそれ,須佐之男命(スサノオノミコト)…?ぐらいしか思わなかった.(実際,地名は須佐之男命の伝承から来ているらしいし,行ってみると須佐之男命モチーフのキャラがいた.)ただ調べてみると,自然豊かで湾には漁港もあり,釣りには絶好の場所だと感じた.
 9時前,最初の釣りスポットに来た.人生初めての釣りであるから,釣り竿の扱いにも慣れない.釣り針の投げ方から教えてもらいつつも勝手が中々分からず,2回目の投擲から戻ってきた釣り針(糸)はハチャメチャに絡まってしまった.そんなハプニングもありつつ,徐々に投擲にはなれてきた.次は,糸の巻き方だ.これが,本当に分からない.釣り有識者たる親には,魚の食いつきがツンツンって伝わるんだと言われるが,竿の揺れが波による反応なのか,たまに引っかかる藻によるものなのか何も分からない.この藻が厄介で,今後苦しめられることとなる.まだまだ慣れない中,午前の釣りは終了した.
 一度釣りを終了して昼ご飯を道の駅で軽く済ませた後,午後(昼)の釣りを開始した.午後は釣り場を少し変え,岩場の海岸で釣りをした.初心者には難易度の高い釣り場である.釣り針を投げられる範囲は全て岩礁になっているのだ.魚は見えるところにいるが,食いつきが分かりづらい,直ぐに岩場に隠れる.ちょっと場所を変えようかと糸を巻き戻そうとすると針が岩に引っかかってしまい戻せない.若干気持ちが萎えつつも,波の音に耳を傾ければ精神を落ち着かせることができる.そうやって時間は過ぎ,昼の釣りを終えた.


 夜釣りもしようと計画していたが,腹が減っては戦はできぬ.一度キャビンで夜ご飯を食べることにした.泊まるのは須佐湾エコロジーキャンプ場にあるキャビン,須佐湾と須佐ホルンフェルスをゆったりとバルコニーから見渡せる場所だ.そんな素晴らしいロケーションで,持ってきた炉端焼き器でBBQを開始した.6時過ぎ太陽が水平線に沈みゆく中,家族と炉端焼き器を囲みながら食べるご飯は格別のものであった.

    21時,夜釣りに出かけた.釣りのポイントは午前に行った埠頭がある砂浜.午前と比べ風が出て,波も強い,ウインドブレーカーとセーターを中に仕込んできたが寒い.しかし,午前や昼の釣りにはなかった魚の食いつきがある.ついでに,波によって漂ってきた藻も引っかかる.藻はいらないのだ,魚が欲しい.昼には中々分からなかった食いつきが分かるようになり,引き上げてみるも,引き上げた先には無惨にも食われた青虫の姿がある.魚はやはりいるのだ.しかし寒さに耐えながら無心で竿を降り続け3時間,ついぞ私の手に魚が握られることはなかった….

 萩と言えば,「萩焼」.茶道で様々な焼きものを扱うことが多い筆者であるが,やはり萩焼はあの白さと土の柔らかさがなんとも言えないものであると思う.ただ萩焼といっても,やはり窯元によって釉薬のかけ方や焼き方が違うから,その窯毎の味が出る.前日の疲れを感じさせない勢いで,まだ見ぬ焼き物を求め,萩へと向かった.
 ところで,私は旅行の際にはあまり現地情報を事前にあまり調べないタイプだ.旅先では何が起こるか分からない.分からないなりの楽しみがある.何故こんな話をしたかというと,萩に行ってみたところ,ある祭りが開催されていたからだ.その名も「萩焼まつり」.なんとも筆者好みの名前だ.どうやらGWに合わせて毎年開催しているらしい.祭りの期間中は,萩市内全体を会場として各地で萩焼や特産物を売り出している.萩焼を見に来た筆者にとっては,これ以上無い機会だった.
萩博物館に車を停め,城下町だった時代,白壁の建物が立ち並ぶ風景の中,古美術匠の店を覗きながら歩く.木戸孝允の生家や高杉晋作の像もあった.私は萩と聞いた時に萩焼きしか思いつかなかったが,近世日本の偉人の痕跡が多く残されているのが萩だ.天候にも恵まれ,晴れ晴れとした空気の中歩く白壁の街は日常とはかけ離れた時間を過ごさせてくれた.


    しばらく歩き,萩焼のお店が集まる市民会館に来た.現代チック、デザイン性に富んだものから,昔ながらの茶器,登り窯で焼かれたThe萩焼きの焼き物がズラリと並んでいた.あの空間にいるのは至福の時だった.市民会館では,裏千家茶道の茶会が開かれていた.同門だが,他の支部の茶会見ることは早々ない.これ幸いにと参加することにした.茶会の道具は,楽茶碗や漆器なども多彩であったが,やはり萩.萩焼の様々なお道具が出されていた.思いもかけず,素晴らしい茶会に参加することができ僥倖と言わざるおえなかった.そうやって,ホクホクした気持ちのまま,萩旅行が終わった.

全体の感想

   今回の旅行は,初めて行く場所,初めてやることばかりで非常に満足した.釣果は0だったが,釣り中の動かずただボーッと波の音と景色を眺めるのは楽しかった.機会があれば,またやりたいものだ.萩も,当初の目的である萩焼きを堪能しつつ,茶会にも参加でき満足したものだ.こちらも叶うならば,もう一度行きたいと思う.

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