茶会運営

 先日の記事にも少し記載したが,筆者は部活動での茶道を通して茶会運営に関わることが多かった.以下,今までの茶会運営において行ってきたことを書いていく.

道具決め

 茶道は点前など行うために多種類の道具が存在する.どの道具にもそれぞれ存在する意味があるため何一つとして欠かせない.茶会には,大抵テーマのようなものがあり,更に開催する時期・季節がある.これらに合わせた道具を使うことで茶会に来るお客様を楽しませる.
 茶会で最低限必要な道具は,以下のものである.茶碗,棗(抹茶を入れる器),茶杓(茶を掬う匙),釜,水指(釜に水を足したり,道具を清めるための水をいれておく器),蓋置,掛物,香合(香を入れる器),花,花入,煙草盆,火入(煙草の火を付ける炭を入れる器)である.点前の種類によって,道具の種数は少し変化するが概ねこの種数が存在する.それぞれの存在を際立たせつつ,調和させる必要性がある.茶会全体の雰囲気にも関わるので,コンセプト・デザインセンス(?)が問われるところだ.
 筆者が所属している部活では,できるだけ多くの道具を見せて,いつも来てくださるお客様にも新しさを感じてもらおうという理念があるため,なるべく前年度は違う道具を出すようにしている.(所有している種類に限りがある釜や、季節物の道具は別だが。)更には,なるべく同じ席には同じ焼き物(例えば萩や唐津)の道具は出さないなど,様々な規定を設けている.そんな部活の独自ルールを鑑みつつ,道具を合わせるのは非常に大変であった.

準備

 細かな準備も筆者の係の仕事であった.茶室の道具・毛氈配置から水屋(厨房)の配置まで,綺麗な導線を確保できる方法を模索していた.茶筅・茶巾・柄杓・懐紙といった道具は消耗品であるし,茶会の度に新品を用いるのがもてなす側の役目だから,都度道具屋で注文する.抹茶も色々と種類があるので,値段と相談しながら注文する.抹茶なんてどれも同じ味だろうと思われるかもしれないが,同じ製造元でも香り・風味が異なるので,悩みどころだ.
 茶会に行く前には,本番で用いる道具を目の細かい晒しとお湯を使って丁寧に清める.部活では本番前に本番用の道具を数度使って練習を行っている.練習用の道具と本番用の道具では形が異なるものが多く,少しでも慣らしておく必要性があるからだ.(特に,なにかしらのモチーフがある蓋置きや,蓋と胴の形が変わりやすい水指)当然練習に用いると皮脂がついてしまう.茶器,特に漆器は皮脂の酸化に弱く,また湿気にも弱い.そのため,使用する度に清めは必須であり,本番前にはより丁寧に清める必要がある.皮脂を落とすために行うので,当然道具は晒し越しに触るように,万一触ってしまったら清め直しだ.清めた後も念入りに水気を拭き取る必要性がある.道具はどれもデリケートな品物が多い.

前日準備

 大抵お茶会は学外の茶室を借りて行うため,前日・当日含めて道具の輸送を行う必要がある.先ほどから言っているが道具は繊細な扱いが求められるし基本的に割れ物が多いから,段ボールに入れて,車に積めてハイ終わり.という訳にはいかない.如何にスペースを開けずに詰めるかが重要になってくる.段ボールに複数種の道具を入れるにしても,車に道具を入れた段ボールを入れるにしても,配置を考えるのは難しい.言うなれば3次元テトリスである.
 係は学年に二人だったから,もう一人同じ係の同期がいたがどうもテトリスは苦手なようで,こういった積み込みは専ら私の担当であった.ぴっちり入るようにしか入れないから,撤収時には搬入時を思い出して,同様に詰め込む必要がある.写真で記録はしておくとはいえ,時間も少ない.記憶との勝負だ.
 事前に考えていた導線を確保した道具の置き方含め,当日の朝に行う準備を少なくし,整頓された状態にする.大抵細かい漏れがあるので,リストを作っておくと良いと思っている.

茶会当日

 茶会当日,他の係はお運びや荷物を管理する仕事などをローテーションして行う一方,私の係は基本的に裏方(水屋)に徹し,裏からの指揮(タイミング調整)とお茶を点てている.表に出るのは,自身が点前を行うときのみだ.裏からの指揮は,同じ人物(係)だけで回す方がコツをつかめるし,指揮系統が混乱しなくてすむからだ.そして水屋にずっと居るから,必然的にお運びで出すお茶を点てる役割が生まれる.部活に所属していたころは,恐らく私がお茶を点てるのは一番上手かったと思う.
 基本的に茶会当日の仕事は,片付けを除くと,それぐらいのものであるが,当然お客様によってお茶を飲むスピードなどは異なるから,席ごとに状況は変わる.臨機応変に指揮を考える必要性がある.

総括

 以上が,茶会運営で筆者が行ってきたことだ.正直明らかに仕事量が他の係に比べて多い気がしている….中間管理職的な立ち位置になることが多いため,大きなところから細かなところまで気を配る必要性がある.今思い返してみてもかなり大変だった.また裏方側の人間であるから,表に出る人間の動きを良くしたい!と思って提案をしても,どうしても実演による説得が必要になることもあった.もどかしいこと,この上なかった.
 ただ,人を説得するために必要なことや,企画のデザイン等,こういった経験は将来の自分の役に立つものだと思う.また,上手くいったときの喜びは大きい.今後もこの経験を活かしていきたい.

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