西から昇ってきた太陽の話

本作は某グループの配信を見て当時書いたものです。

==========

 本日は2023年10月18日。水曜日。一粒万倍日。
 自軍の後に関西からデビューした、7人組の彼らのYouTubeチャンネル。その動画をちゃんと見たのは、実はこの生配信が初めてだった。人に勧められてチラと見て、とりあえず仲間だからと登録のみしてあった。
 22時にライブ配信にアクセスした。自軍とは毛色が違うが軽妙なトークを、私は面白く聞いていた。

 しかし、今日は楽しいばかりでいられない。その原因は、ここしばらく、私や皆さんの心に影を落としていたと思う。今日は、愛着あるグループ名を手放し、新しい名前を冠する日であった。

 私は思う。何がいけなかったのか、どこか違えばこうはならずに済んだのかと。私一人が語るには、状況はねじれ、膨らみすぎた。悔しい、悲しい、寂しい、憤ろしい、様々な負の感情が溢れても、私たちは現実を生きなければならない。日々を懸命に乗り越えなければ、私たちは愛する彼らに会えないから。
 それでも、正直に言えば、こんな日は来て欲しくはなかった。自軍には当然ながら、同じ旗印のもとに集ったみんなにも、そんな目に遭って欲しくなどなかった。

 やや暗い気持ちでYouTubeのライブ配信を眺め続けていれば、彼らはあくまでも明るく平穏に見えた。こんな日は来てほしくないと言いながらも、相反して早く新たな名が発表されてほしいとも思ってしまった。

 いよいよの発表。そして名に込めた想いを皆々が語った。文句のつけようなどない、そんな気など起こるはずもない、本当に良い名前だ。

 新たな名前を戴いた彼らは、その勢いを失わず、歌を歌った。最初に手を掲げたポーズ、気持ちの良いサウンド、歌詞、歌う声や表情や仕草の一つ一つ。胸を打たれた。

 不本意であったかもしれない、数奇な運命に翻弄されたと言えるかもしれない。そんな人間たちが、こんなにも活き活きとして新たなスタートを切ることは、救いでなければ何なのか。どうして希望を持たずにいられようか。

 どうしようもなく手から零れ落ちる水を惜しむのではなく、流れに乗り、波を受けてどこまでも行こうとするような。そんな生き方を目の当たりにすることは本来稀だと思う。
 しかし、志を同じくした者たちが集まったこの夢の舞台では、そんな奇跡を頻繁に目にする。みなさんも、夢の輝きに魅了された生き証人ではないだろうか。

 私たちは、夢を夢として形作っていたものの一部を、永遠に失ってしまったのかもしれない。
 その傍らで、こうも思うのではないだろうか。「これまでと何も変わらない」。

 もちろん、変わるものは夥しいほどあるだろう。唇を噛み涙を飲みながら、諦めたくないものを諦めなければならない局面だった。実際に、生配信で繰り返し「何も変わらないから」と口にする彼らを、ただ信じ込んで安心していいとは私は思えない。

 だが、真実がどうあれ、とびきりの笑顔で「何も変わらないから大丈夫」とパフォーマンスをした彼らに対して、私たちができること。それは、応援し、感謝し、愛を叫ぶより他にはない。そう思わせるだけの力のある言葉や歌唱を見せてもらった。

 この曲を彼らが歌唱したシーンでは、私は2021年の年末のイベントが大好きだ。YouTubeで、40分以上の動画の、この曲のところだけを何度も再生した。
 「一緒に行こう、みんなで行こう」。誰も置いていかない、ともに行こうという優しく強いメッセージだった。あの時のスピリットは色褪せず、むしろより鮮やかに感じる。

 名前が変わる。
 今回の経緯を考えれば、決して手放しで歓迎できるわけではない事実だ。しかし、それを悲嘆に暮れてやり過ごすのではなく、気持ちを注いで前を着く努力を、彼らはしていた。それによって、見るものを魅了していった。

 きっと、今回の事実をまだ消化しきれていなかったり、ずっと許せない気持ちであったりする人はいると思う。私もまた、納得できる日は来ないと思っている。
 それでも、彼らの見せてくれた夢、希望に魅せられた者としては、改めて前を向こうと思うに十分な時間であった。私は、私が心に決めたグループのそれとは異なる、しかし同じように美しく強い光が眩しくて泣いた。

 先陣を切り開き、前を向いて進む彼らに、心からの感謝と成功への祈りを捧げる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?