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【買取】リサイクルショップや買取店が盗難品を買ったらどうなるの?回収できるのか?文化財レベルは?


はじめに

買取店と盗難品は気っても切れない関係です。
私は美術品専門のため過去に盗難品のトラブルになった事はありませんが、ブランド品、貴金属、工具系などは稀にあるそうです。

ちなみに美術品が盗難されにくいのは、1点モノが多く足が付きやすい、持ち運びが困難(壊れやすい、サイズが大きいなど)などの理由からです。
ただ、仏像などは話を聞くため買取させていただく際は神経を使います。

買取店(古物商)は盗難のリスク等から管轄は警察となります。

結論、盗難品を回収できるかはタイミングと誰が所有しているか次第

盗難品が回収されるかはケースバイケースのため、下記のパターンを想定して解説させていただきます。

1買取店の立場からすると盗難品を買ってしまったらどうなるの?
2盗難された立場からすると、盗難品がリサイクルショップで販売されていたらどうすればよいか?


詳しくは警察や弁護士などに相談いただければと思いますが、リサイクル業界にいる立場から解説させていただきます。

3最後に美術商なので文化財が海外に流出した~みたいなニュースについても解説してみます。

1買取店の立場からすると盗難品を買ってしまったらどうなるの?


1大前提⇒盗品であることを知らずに、又は注意を尽くしても盗品とわからなかったという前提ですが・・

・古物商が一般の個人の方から盗品を買った場合
被害者から請求された場合、盗難から2年間の間、無料で盗品を返還する必要があります。
ただ、2年間が経過した後は、被害者から請求されたとしても返還する義務はありません。

・無償にて返還した場合、購入代金はどこに請求すべきか?
売主に対し代金返還請求OK。ただ、回収は困難。

・無償返還する場合の方法は?
被害者の言っている被害主張が本当かどうかもわからず、盗品であることの断定は難しい。
被害者側又は古物商側で警察を呼び、警察による捜査に協力する中で盗品であることを確定させ、返還。
仮に盗品でなかったとしたら、再変換や代金回収は業者側の責任で行う必要がある。

基本的に古物商は2年間も在庫を持っておくことはないため、早急に動かなければ回収は難しいでしょう。

2盗難された立場からすると、盗難品がリサイクルショップで販売されていたらどうすればよいか?

2はその反対ですね。リサイクルショップで盗難品が見つかったら警察に相談しましょう。猶予は1年くらいありますが、早めに動いた方が良いでしょう。
ただ、見つける事ができなかったら・・

3文化財が海外に流出した場合は?

3国をまたぐとどのような扱いですか?
日本の文化財が持ち出された〜などについて話できればなと思っております。

・文化財が盗まれ、それが国外に流出した場合
文化財不法輸出入等禁止条約という条約を日本が締結しているため、
同条約にて保護される文化財に該当し、承認している国であれば、返還要請等の措置がされることになります。(条約締結国は132か国でEUやアメリカも入っています。)

・被害者による返還請求をしたものの、盗品が海外に流出した場合
この場合、被害者が誰に請求をするかという点はありますが、事実上盗品が返ってくる可能性は乏しいでしょう。
→そもそも、海外に送られる盗品は、分解されてパーツ等で売買されることが多い(時計やロードバイク等が顕著)
→価値が高い美術品も、特定がしやすい商材のため、表の市場に出てくる可能性が低い
→返還を要求する対象となる盗品の特定がまず難しいという事情

返還請求ができないとして、盗品相当額の損害賠償ができるのかという点についても、
→窃盗犯人の特定と請求は事実上難しい
→古物商や販売業者を介したものであったとしても、業者の故意過失(=盗品であることを知らなかった場合、注意を尽くしても分からなかった場合ではないこと)を証明することはとても難しいといえます。

盗品売却が国外まで発展してしまった場合は、それが文化財レベルの重要なものであれば条約による解決等も考えられますが、個人の財産レベルでは追いかけることは難しいという現実があるでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?
古物商の立場からすると盗難品と分かってしまうとほぼ無条件で返却する義務があります。盗難が分かってから1~2週間で買取した店が特定できれば回収できますが、1カ月以上経過していると既に売却済みの可能性が高いです。
そうなると回収するのが非常に困難です。その先に誰が所有しているかは調べれば出来ますが強制力はないケースになるでしょう。

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