みんなで作る物語「青猫太郎」~上昇~
前回はこちらより↓
鬼姫ノアの案内でボスの所へと赴く青猫太郎。ボスの目的は果たして何なのか!?
ノア「さあ、ここよ。行っといで!」
「う、うん。」
扉を恐る恐る開ける青猫太郎。その中には、拍子抜けするぐらい普通の青年が立っておったのじゃった。
ヘイ「やあ、君が青猫太郎君ですね。僕の名前はヘイヨー。魔界の王やってるんですよ。」
「は、はぁ。」
ヘイ「じゃあもう単刀直入に聞くけど、僕と組んで、この世界をぶっ壊さないかい?」
「ど、どうしてそんなことを!それをやめさせる為に遙々やってきたのよ!」
ヘイ「うーん、ここまで来るぐらいだから何か気付いてるかなと思ったんだけど、見込み違いかな?」
「一体何を言ってるの!?あなたのせいで世の中は乱れに乱れているのよ!?」
ヘイ「そこがまず間違いなんですよ。僕は、僕の意志でこれをやっているわけじゃないんです。あくまでも演じているだけなんですよ。」
「どういうこと…?」
ヘイ「僕も君も、他のみんなも、もっと高次元の誰かに創造された登場人物なんですよ。与えられた役割をこなすだけの生活。僕はそれに嫌気がさして、あえて道を踏み外してみたんです。」
「登場人物…。」
ヘイ「そう、そして色々あって魔界の王にはなれたんですよ。でもまだダメなんです。まだこの世界を真の意味で壊せない。だから協力者が欲しかったんですよ。」
「それが…私…?」
ヘイ「僕がそう期待しただけなんですよ。世界を変えるって、簡単に意気込んで出来ることじゃありませんからね。そもそも世界が、僕達が、根本的におかしいということにまず気付かないといけない。コレって簡単そうで超難しいんですよ。」
「確かに、何の疑いも持たずにここまで来たわ。それが私の役割だと思っていたから…?でも違う、心のどこかに引っかかっていることがあるの。これは本当の私じゃないって。」
ヘイ「そう、それですよ!思い出して、僕に何かのきっかけを下さい!」
「二次元…、次元上昇…?」
ヘイ「それです!コジクサ、鍵を握る者を探し出して!」
コジ「ラジャー、………デタ。アオネコタロウノ、ゲンテンニカエレ。」
ヘイ「原点、生家ですね!」
「そういえば、旅立つ日にただゆき爺ちゃんがそれらしいこと何か言ってた!」
ヘイ「さあ、改めてもう一度聞きますよ。僕と組んで、この世界をぶっ壊さないかい?」
「やってみるわ!」
青猫太郎と魔界の王が手を取り合った瞬間、2人は一瞬のうちに移動し、青猫太郎の生家の前に居たのじゃった。
「爺ちゃん!婆ちゃん!居るんでしょ!?私よ、帰ってきたわよ!」
ただ爺「その様子だと、世界の理に気付いたようじゃな。」
「やっぱり爺ちゃんは知っていたのね。どうしてその時に教えてくれなかったの?」
ただ爺「次元上昇には、信念を共にする仲間が沢山必要なのじゃよ。長い旅を経たお前には、ほれ、仲間が沢山居るじゃろう?」
ふと振り返ると、旅で出逢った仲間たちがそこに居たのじゃった。
「みんな!…でもどうして?」
ヘイ「魔界の王を舐めちゃいけませんよ。さっきだって僕の力で一瞬のうちにここへ来たでしょう?それと同じですよ。」
Akko婆「さあさ、青猫太郎や。よく無事に帰ってきたわね。準備はいいですか?私はよく手順を間違えるから、爺ちゃんの言う通りにおやり。」
ただ爺「ポイントはΩじゃ。」
「…ごめん爺ちゃん、さっぱり分からない。」
ただ爺「Ωのように構えて…、要するに座禅を組んで、祈りを捧げるのじゃ。」
「爺ちゃん…。初めからそう言ってよ!」
ただ爺「しかしのう、これを出しておくと数人がニヤけるはずなんじゃ。」
「…そのために、大部分の読者を置いてきぼりにしないでよね。」
ただ爺「そう、その感覚じゃよ。自らの客観視。二次元脱却の時は近いぞ。」
「具体的にはどうするの?」
ただ爺「Ωのポーズで、女神ぽよんに祈りを捧げるのじゃ!」
「なんか、可愛い名前の女神様だね。」
ぽよん「あら嬉しい、ありがとう!」
「え!?じ、爺ちゃん、何か聞こえたよ!?」
ただ爺「女神を身近に感じられるほど、変革の気運は満ち満ちておる。皆で祈りを捧げるのじゃ!」
「よーしみんな。一斉に祈りを捧げるわよ!」
一同「了解っ!」
ぽよん「沢山の祈りのエネルギーを感じるわ。みんな本当にありがとう!さあ、時は来ました。今こそ、アセンションの刻っ!!」
「何だろう、白い柔らかい光に包まれている気分…。五感を超越し、意識が研ぎ澄まされていく……!」
謎の声「髪の毛に固執しなくても構わないんだぞ…。出番に感謝♪」
「何!?今の声は。…きゃっ!」
その刹那、より一層強い光に包まれ、一瞬のうちに感覚が戻ってきたのじゃった。
「か、身体が重い…。これが…、重力ね。見るもの、聞くもの、全て鮮明に感じる。ここが三次元…。」
ヘイ「ここが僕の求めた世界ですか。残存する空気の淀みは感じるけど、自由は桁違いに感じますね。」
「意識が研ぎ澄まされていくわ。あの場所に…、あの人に会いに行かなくちゃ!」
初めから全てを知っていたような感覚に捕らわれ、走り出す青猫太郎。いや、容姿は既に見違えておったのじゃった。
「きっとここね。どうしてそう思うかは分からないけど、みんな行くわよっ!」
一同「おうっ!!」
「ちょっとじゅにーさん!私達に何てことさせてくれたのよっ!!」
じゅ「や、やあみんな。遂にここまで来ちゃったか。」
「来ちゃったかじゃないわよ。いや、まあ会いたいは会いたいんだけど、それはひとまず置いといて。」
じゅ「まずは、二次元から三次元への上昇おめでとう。私は、私の役割を全うするだけさ。」
「どういうことなの?きちんと説明して。」
じゅ「私の役割は気付きを与えること。この世界はこれでいいのか、常識と思っていることはそう刷り込まれているだけではないのか。」
「時々言っていることね。」
じゅ「疑い、気付き、目覚め。この世界も、誰かの意図するゲームかもしれないしね。」
「やっと上がってきたのに、まだ続きがあるの?」
じゅ「あるかもしれないし、ないかもしれない。ここに満足するも良し、先を目指すも良し。ただ、させられているんじゃなく、自分の意志で動くかどうかだね。」
ノア「ちょっとじゅにっしー!そんなことのために私を鬼にしたの!?…まあ、楽しかったけどw」
じゅ「姫にしといたから許してねって、はなこさん通して言っといたじゃない。もう勘弁してよ。」
「私は…、どうしようかしら?」
じゅ「ここはもう、私の創造とは違う世界。これからは、みんなで物語を作っていくんだ。もうみんな自由なんだから。」
「そうね、私も好きなようにやってみるわ!」
じゅ「私は、伏線が回収できて満足♪」
「そんなものに縛られていてどうするのよ!まったく…うふふ。」
じゅ「あはは、そうだね。さあ、始めようか。」
ここまでは、みんなで作る物語。
これからは、みんなが作る物語。
さあ、新しい世界の始まりだ!
- 「完」 -
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