電車について

毎日通勤で利用する地下鉄は、いつもすし詰め状態だ。

押したり、押されたり。
日々、感情を押し殺す。

いつものように地下鉄に乗り込むと、同じタイミングで鞄に「ヘルプマーク」を付けた方も乗り込んできた。

優先席に座っている人達は、明らかに見て見ぬ振りをした。 マークを付けた方はつり革を両手でぎゅっと掴む。息が荒い。

ようやくとある駅に着いた時に、優先席に座っていた人が降りた。

しかし、我先にと別の人が座ろうとする。

勇気を振り絞って声をかけた。

「マークを付けてらしているようなので、席を譲っていただけませんか?」

「私は妊婦です!!」
大声で断られた。そして睨まれた。

優先席に座っていた他の乗客は、私を見て薄ら笑いを浮かべ、直ぐにスマートフォンを触りだした。

ヘルプマークを付けた方は、次の次くらいの駅で、反対側の優先席に何とか座ることができたようだった。



誰も悪くない。


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