もう目ふたつ付いてるね、くらいでいい。

褒められるのが下手だよね、と言われる。
どきり、と図星をつかれた。
自分では上手く受け流せてたと思っていたのに。

そう、わたしは褒められるのが苦手だ。
もはや嫌いといってもいい。
何がってまず、どこまで本気で受け止めていいのか。この点についてだけでも語るも面倒くさいくらいうだうだ考える。

どのくらい気持ちで相手は言っているのだろうか?
完全なるお世辞なら
軽く謙遜しつつ、ありがとうございますー
でよかろう。
これは簡単。

30%本気の70%お世辞。
この辺からもう悩む。
ていうか、%が頭の上に表示されてるわけじゃないので割合も読み取らなければいけない。疲れる。

例えば、「可愛いー!」。
返事のパターンとしては
「いえいえ、そんな事ないですよー!」
か、
「うふふ、ありがとうございますー!」
もしくは
「ありがとうございますー、そんな事ないですよー!」
の合わせ技を使う場合もある。
よほど仲が良ければ
「全人類がお前の視力になるよう今すぐ織姫に願ってくるわ」
くらい言えるけど、
そこまでの友人は可愛いなんて言ってくれないので未だに使ったことはない。

「いえいえ、そんな事ないですよー!」
といった謙遜の場合、卑屈な印象を受ける人が少なからずいる、らしい。
自分の言葉を受け入れられなかった、と感じるのだとか。うるさい。

「うふふ、ありがとうございますー!」
は言うまでもなく、反感を買う場合がある。というか、見ただけで"あ、外した"とわかる。
相手の顔に浮かぶ「は?」だ。
いや、お前が言ったんだろ、という気持ちをぐっと堪えて
「なんちゃってー☆」
と誤魔化すしかない。
あの時の惨めさといったらもう。

角が立たないのは
「ありがとうございますー、そんな事ないですよー!」だろう。一番無難である。が、…面白くない。
面白さは要らないとわかってても、何となく言いたい台詞ではない。

「知ってる」
と答えて笑って流してくれれば、本当に助かる。
でもこれはかなりリスキー。
初対面ではそんなギャンブル出来ない。

つまり関係性が大きく影響すると思う。
まぁこんな事言うと元も子もない気がするけど。
1番褒められ下手を発揮するのは、
まぁまぁ仲が良い相手。
元がネガティブ寄りな上に、なまじ仲が良い為に
お世辞の割合高めの場合、コイツ本気で受け取ってる、と思われるのが怖い。
そして可愛くない反応をしてしまう。
いかに自分が可愛くないかのエピソードを話して"お世辞なのに…"と引かれるという最悪の結果を生み出す。
つまり肯定しても否定しても真に受けてるということになってしまうのだ。

ここまで書いて気が付いたが、
わたしは勘違い野郎と思われるのを恐れている。
かと言ってノリが悪いと思われるのも嫌だ。
このジレンマ。

またもう1つ褒められるのが苦手な理由に、褒められたら褒め返さなければならない、という返報性の法則がある。
言葉を覚えたオウムのように相手の言葉を復唱する羽目になる。
○○チャンノホウガカワイイー!と心を無にしてオウムになりきらなければならない。
あの空虚な時間。相手もきっと無駄なやりとりだと感じているだろうけど、やらずにはいられない。形式美。
大変面倒くさい上に、相手が美人だった場合この褒め言葉はむしろその○○ちゃんも可愛い待ちじゃね?という邪推も生まれてしまう。心が闇落ちしていくのも辛いし、言わない訳にはいかないし、大体そうだし。
また味のあるご尊顔の場合、嘘をつくことになる。これも正直をモットーに生きているわたしにとって、自分の心に相当な負担がかかる。

総括するとめんどいのである。
正解を探るのも、あの中身のないやりとりも全部。
いつも考えをまとめると、めんどいに辿り着く。
すべての道はめんどいに通じる。

ただ貶されるのは大嫌いだし
無視されるのは切ないので
褒めず、貶さず、無視せずでお願いしたい。

…わたしが1番面倒くさい。

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