ハヤシユウ的作詞術
YouTubeやツイキャスで「どうやって詞を書いていますか」という質問をいただくので、ここで勝手に答えてみます。動画コンテンツでも出したい。
まずはじめに、わたしは作詞は得意ではありませんし、ちゃんと勉強をしたこともありません。作曲・編曲に比べて、”作詞を勉強した”という人の割合はかなり少ないんじゃないかと思います。作詞に関しては、勉強すると言うよりは、日々どんな文章に触れているか、どんなコンテンツを見ているか、ということにかなり依存しそうな気がします。
それでも、自分なりに考えながら作っているところもあると思ったので、今回はその「考えながら(=感性に依存せず)」作れる部分にフォーカスを当てて作詞の流れを書いてみたいと思います。
1. 物語型と図鑑型
僕が作詞をするにあたって、影響を受けているブログがあります。hacosatoさんの「5日と20日は歌詞と遊ぼう。」です。タイトルで月2回の定期更新を謳うだけではなく、”いつか”と”はつか”でリズムあそびしているところがすでに天才でございます。
そして、個人的に最も印象に残っているのがこちらの記事。歌詞の「物語型」と「図鑑型」について解説があります。
もともとは子育ての現場で役立てるために生まれた言葉のようですが、たしかに歌詞の書き方にもぴったり当てはまるなと思い、そこからいつも頭のどこかで気にかけています。
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これを踏まえると、わたしの書く詞は99%「図鑑型」です。先程作詞は苦手だと書きましたが、作詞が苦手な人が「物語型」を書くとすごくチープになってしまうのです。絶対に恋愛の物語とか書きたくないもん。恥ずかしいもん。
2. 時間を引き伸ばす
たとえば映画の場合。2〜3年の出来事を2時間に縮めたり、ないし1週間の出来事を2時間に縮めたり、とにかく「長い時間軸」を縮めて作るコンテンツじゃないですか。
曲の場合、物語型も同じことができます。"好きな人ができて、いろいろ振り向いてもらえるように努力して、告ってみようと思ったけど、勇気が出ない、わたしなんかにゃだめなんや、あ、でももっと運命の人見つけるもんね〜"って1年かけて思ったとします。これを5分の歌に出来ますよね。
では図鑑型ではどうか?こちらは物語の逆で、一瞬の感情を5分に引き伸ばします。「あ、今の気持ち残したいな」を、すぐ歌にできる方法。
自身の曲「雨降りのあさ」も、割と長い歌詞を書き連ねていますが、これ雨の日のあさの「世界の本質に迫るような、大切なことに気づいた」っていう一瞬の感情を膨らましただけなのです。この大切なことが何かっていうのは、リスナーさんのご想像におまかせします。
3. あいまいな表現を使う(答えを出さない)
あいまいで抽象的な表現の言葉を使う、ということを意識しています。
例えばですけど、「好きな人ができた」って伝えたいとするじゃないですか。ストレートに書けば「好きな人ができた」「大切な人ができた」「守りたい人ができた」、少し比喩を用いて書くなら「天使のような人が現れた」「君しか見えなくなった」のように書くこともできそうです。
これをあいまいで抽象的な表現で書くと、かなり人によって異なると思うのですが、「いつもより酸味の増したコーヒー」(解釈:感覚が敏感になって、特に甘酸っぱい部分に反応しちゃう)とか、「洗濯物がやけに早く乾く」(解釈:好きな人のことばかり考えちゃって、時間が経つのがなんか早く感じる)とか。今回は解釈を書きましたが、あいまいな表現を活かす場合は、解釈を書いてしまうと、意味がないのです。
解釈を書かないことにより、「なんで洗濯物が早く乾くんだ?」とリスナーに考える余地をもたせます。人によっては「カラッカラに晴れているんだ」と思う人もいれば、「いつもより丁寧に風の通り道を作ったんじゃないか」と思う人もいれば、「何か別の考え事をしていて洗濯物のこと忘れてたんじゃないか」と思う人もいるわけです。
このあたりは大好きなスピッツの歌詞にめちゃくちゃ影響されていると思います。「バスの揺れ方で人生の意味がわかった日曜日」とかほんとによく出来てるなぁと感心します。
4. 相反する(矛盾を含む)ことを歌詞に入れる
これは簡単なテクニックですが、相反することを歌詞の一節に入れてみましょう。なんか深い感じになります。あ、でもちょっと待ってください!深さの出し方っていうのがあります。「明るいのに暗い」とか意味わからないしダサいのでやめてください。そういうことじゃないです。もう少し詩的にしてください。
「深海の奥で見つけたまぶしい光」みたいに書いたら、「え、暗いはずなのに明るさがあるの?」と相反することを表現できています。こうすることで、よりその明るさに特別な感じが出ますよね。
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疲れたので唐突にこの辺で終わりにします。
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