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クリップを更新するPremiereProエクステンション「Scarface」

「Scarface(スカーフェイス)」Adobe Exchange にて販売。

多くのポストプロダクションでは、どの端末からでも同時にアクセスできる共有サーバーを使っていると思います。テロップデータなどを共有サーバーに保存し、Premiereで扱うデータのリンク先も同じものにする。そうすることで、複数人のチームで作業する場合はとても効率的になります。Premiereで編集する人がいて、テロップを作る人は別のパソコンで作業をして…。テロップデータを修整すれば、Premiereのタイムラインにも反映される。とても理想的な作業の進め方です。

しかし、Premiereにインポートされたデータが、即座に修整を反映してくれるとはかぎりません。Premiereというのはサクサク快適な作業を実現するために、レンダリングファイルやキャッシュをまずは読みにいくようになっています。いちいち元のデータを参照していては、スムーズな再生ができないため、Premiereはつねにプレビュー用のデータを作成し、そちらが優先して表示されます。
だからどこかのパソコンでデータを更新したとしても、Premiereはそれに気づかず、自らの再生に注力するようです。(もしかするとPremiereは、一度インポートされたデータが、どこか別の端末で上書き修正されるなんて想定していないのかもしれません。)
データが反映されることを期待する私たちは、Premiereがそれに気づいて、表示を更新してくれるのを待つしかありません。タイムラインを必要以上にスクラブしてみたり、Finderを開いてみたり、いろいろな刺激を与えてみても上手くいかないことが多いです。最終的にPremiereを再起動させたりもします。
時間に追い込まれた作業をしている場合は命取りになるでしょう。せっかくテロップをやり直したのに、なかなかそれが編集に反映されないと、かなりもどかしい。ディレクターに対しても、なんて説明すればよいか困ってしまう。。。

まぁノンリニア編集ってそういうものだよね、と諦めているのではないでしょうか?

クリップを更新するためのエクステンション作りました。タイムラインのクリップを選択し、ボタンを押すだけです。Adobe Exchangeにて販売。

Adobe Exchangeからダウンロードしたら、Premiereを再起動させます。メニューバー:ウィンドウ → エクステンション → Scarface を選ぶとパネルが表示されます。通常のPremiereの各パネルと同じように、他のパネルとくっつけてレイアウトできます。

Scarfaceの機能

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「Force update」にチェックを入れた場合、選択したクリップを一時的にオフラインにしてから再リンクをします。これにチェックを入れなくても、クリップの更新は実行されますが、「Force update」はより強力です。メディアオフラインの赤い画面が一瞬表示されるので少しびっくりするかなと思い、オプション的な扱いにしました。
「Info」
にチェックを入れると、更新したクリップの情報が表示されます。
1行目はファイル名。Premiere上ではクリップの名前を変えることができますが、ここに表示されるのは元データのファイル名です。
2行目はファイルの更新日時。ファイル自体のタイムスタンプです。更新されたかどうかが日時でも確認できます。データを更新した端末の日時が反映されますので、作業する端末同士はできるだけ日時を正確に合わせたほうがわかりやすいです。
3行目はファイルのパスです。Premiereの側から、このフォルダにあるこのデータを修正してね、みたいなやりとりができると思います。

タイムラインで複数選択したクリップの更新、情報の表示も可能です。
レンダリングされている場合も、ファイルが更新されていれば、レンダリングは外れます。

すこし便利な使い道

例えばなのですが、なにかの拍子でパソコンからケーブルが抜けてしまった場合、接続していたデータはメディアオフラインになります。すぐにケーブルをつなぎ直したとしても、アプリケーションの再起動や手動で再リンクをしない限り、メディアオフラインのままの場合がよくあります。
このような場合、メディアオフラインのクリップを選択して「Reload」ボタンを押せば、すぐにメディアの再リンクができます。Premiereにインポートされたデータはオフラインの状態でもファイルパスの情報を保持しているので、このようなことが可能です。

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以上のように、「Scarface」はPremiere作業におけるデータ更新のイライラを解消してくれるでしょう。かなりポストプロダクション向けのエクステンションですが、みなさまの作業するところに導入を検討してもらいましょう。このnoteがその一助になればと思います。

Premiere Pro 2019〜2021 (Mac,Win) で動作確認済み。
ポストプロダクションの編集システムはとても複雑で多岐にわたります。あらゆる環境でテストを行っているわけではないことをご了承ください。

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ちなみに「Scarface(スカーフェイス)」は、私お気に入りのギャング映画「暗黒街の顔役」の原題。

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Premiere Pro エクステンション「Scarface」Adobe Exchange にて販売。


Best regards,
884tak

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