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福井のソウルフード

私の生まれは福井。

福井のソウルフードと言えば「ソースカツ丼」である。

帰省の都度、敦賀駅前のヨーロッパ軒で食べていたが、帰省できなくなってから2年である。
地元のヨーロッパ軒のソースカツ丼が食いたくなる今日この頃。

都内でも福井のソースカツ丼を提供している店も有るが納得できない。
これを福井のソースカツ丼だと信じて、食べている人たちへ。

大変申し訳ない。違うんだ!これではないのだ!

高校卒業まで、カツ丼と言えばソースカツ丼が当たり前だと思っていた。
上京してみると、ソースカツ丼がない…
何処に行っても卵とじのカツ丼である。

若い頃は、まあしょうがないと諦めていたが、ここ最近になってソースカツ丼が気になってしょうがない。

年を取ったせいだろうか?
懐かしさもある。

幼い頃から外食と言うとヨーロッパ軒のソースカツ丼が定番だった。その頃は旗が付いたお子さまランチである。

大人になってもやはり飽きることもなく、ソースカツ丼である。

すでに飼い慣らされてしまっている…

私の体にはヨーロッパ軒のソースの血が流れている。
だからヨーロッパ軒以外のソースカツ丼では、拒絶反応が生じてしまうのである。

そこで東京の何処かにヨーロッパ軒のソースカツ丼に近い店がないものかと調べてみた。

以前から気になっていた期待できる店が一軒あり、是非とも食べてみたいと思っていた。

地下鉄東西線早稲田駅に有る「奏す庵」である。

ネットの記事を見ると実は福井のソースカツ丼の発祥の店のようである。

元々この早稲田にあった洋食店で考案されたソースカツ丼であるが、大正12年の関東大震災を機に創業者の出身地福井に帰りソースカツ丼の店を開いたのが最初のようである。

だとすると、足を向けて寝ることなど出来ない。
聖地ではないか!
私のDNAは、ここが起源かも知れない…(ウソつけ!)

とりあえず行ってみよう!
と、言うことで来てみた。

店の前に立つ。
大きなのれんの隙間からコジャレたカウンター席が見える。
看板を観る。

いいじゃなあ~い!
カツのキツネ色具合といい、厚みといい、ムラのないタレのかかり具合といい、
飯の上に5枚のカツが乗っている。
キャベツの千切りはない。
余計な飾りはいらない。
このシンプルさだけで旨いとわかる。

記憶がよみがえる完璧な美しさである。
既に完食した姿が脳裏に浮かぶ。

早速入店。

「いらっしゃい!」

敦賀のヨーロッパ軒にはないあか抜けた雰囲気のカツ丼屋だ!
少し身構える…
大衆食堂のつもりでいたら綺麗すぎてびっくり!

昔、取引先の社長に女性のいる店に連れて行っていただいたことがあるが、キャバクラのつもりで行ったら高級クラブでびっくり。
まあ、そんな感じである。
高級クラブは言い過ぎであるが、ちょっと小洒落た寿司店のような雰囲気。

客はまだ、誰もいない。
カウンター席が8席くらいだろうか・・・
一番奥のカウンターに座り、メニューを見る。

ソースカツ丼もいくつか種類があり、酒の肴も何点かある。地元福井の食材を使っているようだ。
何となく嬉しい。

喉も乾き、カツ丼に行く前に少しつまみたい。
まずは、ノンアルコールビールにおつまみ。
きゅうりの漬物とたくあん煮を注文。
アッサリとして美味い。
お通しの梅干しは、塩分強めだが懐かしさを感じる。
実家の梅干しも昔から塩辛い。
少しおかしな表現であるが塩の味がする。
これぞ梅干しである。

さて、次は期待のソースカツ丼である。
表の看板にもあったように薄いカツと厚いカツがあるようである。
薄い方は4㎜、厚い方は8㎜だそうだ。
両方の合わせ技が「ワセカツ!丼」らしい!


一つで両方味わえるのはお得である。
まあ、最初なので両方を味わいたい。

「すみません! ワセカツ丼下さい!」

しばらくすると、ヨーロッパ軒のソースカツ丼を思わせる蓋付きの丼が運ばれてきた。
蓋を開けると少し小ぶりであるが、こんがり揚がったカツの色具合が食欲をそそる。
それに追いソース付きである。
これはヨーロッパ軒にはない。
ソース好きの私にはたまらない。

早速、食す!
最初に厚めのカツから食す。
薄めの衣に、少し甘めのソース。そしてわずかな酸味、それに豚の脂の旨味が加わる。
んん〜懐かしい味だ!
美味い。ご飯も美味い。
言うまでもないが、カツが旨い不味い以前に、飯がうまいのは当然である。
少し脱線するが、どんな丼ものでも米が一番大事。米をないがしろにしている飯屋が多いことにとても残念に思う。

とは言え、決して特別な食事ではない。
しかし、これが私にとっての特別であり、でもこれが普通のカツ丼なのである。
多分、福井県人にとっても。
普通に空気を吸うようにソースカツ丼を食う。意識はしないがなくては困る。


次に薄いカツを食す。
厚いカツより豚の脂が少なめであるが、アッサリと味わえる。
またソースの旨味をより感じられる。
そこに追いソースをご飯にかけると、ご飯の甘みと交わりよりカツの旨味が引き立つ。

どちらもクセになる美味さである。
地元から離れてこそソースカツ丼の旨さを改めて感じたところである。
福井県人以外の人は、どのように感じるのだろうか?
まずは、福井県に来てもらってソースカツ丼を味わってもらいたい。

空気を吸うように・・・

ヨーロッパ軒は福井県内に多数あるが、敦賀に来た際は下記の店舗がおすすめである。

敦賀ヨーロッパ軒本店↓





敦賀ヨーロッパ軒駅前店↓

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