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EdTechで得られるもので、マーケター育成問題も何とかなるのでは?と思った。

EdTech エドテック テクノロジーで教育が変わり、人類は「進化」する

猫も杓子も〇〇Techな感じもありますが、ちょっと興味があってEdTechに関して調べています。

そもそも、テクノロジーは、対象世界の様々な“不”を減らしたりなくしたりするもの。そういう意味では、教育の世界にはまだまだたくさんの“不”があるような気がしている。

手始めに、EdTech エドテック テクノロジーで教育が変わり、人類は「進化」するという本を手に取ってみた。
読み終わっての感想としては、(かなりバイアスかかってますが・・・)

教育業界の“不”と、マーケティングを取り巻く状況は、程度の差はあれども似ているな。。

というもの。

備忘録的に以下に記す。

EdTechの特徴

本書には、EdTechの特徴として、以下の3点があげられている。

①データ化
②可視化
③効率化

これら3つは、EdTechに限らず、あらゆる〇〇Techにも言えることだろう。EdTech文脈における3つの特徴をもう少しブレイクダウンすると以下のようになる。

①データ化 
EdTech(プロダクト)の活用により、生徒の理解度やつまづきポイントをデータとして蓄積しておくことができる。
そして、データ化されるのは必ずしも生徒の学習状況だけではなく、先生の教え方や活動内容もデータ化されることになる点が特徴。
つまり、EdTech化の恩恵を受けるのは、生徒や先生に限らず、ステークホルダー全体に及ぶものなのかもしれない。
これはいわゆるDXの理想の型ともいえるが、他の〇〇Techにおいては理想としながらもなかなかかけ離れている現実なのではないだろうか。

②可視化 
そして、データ化された情報は、当然可視化につながる。EdTechツールの普及は、先生が生徒一人一人をよく見るためのツールとなる。上記同様、当然生徒の状況だけではなく先生の状況もデータ化に伴い可視化されていくだろう。
MOOC(=Massive Open Online Course)と呼ばれる、オンライン講座においては、先生の評価やも定量的に可視化されることになるだろう。

③効率化
テクノロジーの恩恵は、時間や距離といった物理的なハードルをも越える。教室や授業時間がなくても、(理想的には)いつでもどこでも学習が可能になる。
これを体現しているのが、MOOCであり、最近話題のミネルヴァ大学といえるだろう。

Edtech=オンライン化というわけではない。絶対に。

オンラインか、オフラインかという話は、マーケティング界隈だけではなく、教育界隈でも言われているようだ。このテーマはいつまでたってもいろんな意見が生まれては消え生れては消え・・・を繰り返しているが、結論はきっと変わらなくて、オンラインの良いところとオフラインの良いところを組み合わせて、双方の苦手分野を補いながら、両方(面)を使いこなすことが必要。ということになる。

教育におけるオンライン化とは、つまりアプリを使ったアダプティブラーニングが代表的だが、EdTechサービス提供者も学校側も、なにもアプリだけで教育に革新が起こるなんて絶対に思っていない。

ビジネスでも学校教育でも同じだが、何かを学ぼうとする際には本人の主体的なモチベーションや行動、もしくは一定の強制力が必要不可欠だが、単にアプリがインストールされたタブレットを渡されたところで主体的に取り組む生徒はどれくらいいるだろうか?
実際に、

オンライン講義の受講生の修了率が5~6パーセント前後

という研究結果もある。
※『 HarvardX and MITx: Four Years of Open Online Courses Fall 2012-Summer 2016』より

また、Udacity 『Udacity' s Lessons Learned』によると、オンラインの方がオフラインの授業に比べて、学習効果が低いという研究結果もある。

つまり、教育は一定の強制力がある教室、パノプチコン状態が必要であるということは疑う余地がない。

ここで出てくる概念が、『反転授業』である。

反転授業って何?

反転授業というのは、従来の学習方法とは逆のプロセスで行われる授業のこと。
従来の授業は、学校で先生が教科書をもとに生徒に対してインプットを行い、復習やテストを通じてアウトプットを進める授業方法のこと。
一方で反転授業というのは、事前に生徒が学習内容をインプットしておき、後日授業でその内容をディスカッションしたり発表することでアウトプット効率を高めるというものらしい。

ここで重要なのが、アプリを使った事前インプットとなってくる。あらかじめ用意されたアプリで予習をしてこないと、その後のアウトプットのために授業で何も得られない(生徒にしてみれば、恥ずかしい)状態をつくりだすことに意義がある。

そして、もう一つ重要なのは、このインプット・アウトプットには優劣はなく、双方をセットで実行することで、学習効率を向上させる効果があるということだろう。

EdTechが目指すのは完全習得学習(マスタリー・ラーニング)

完全習得学習とは、従来の学校側が決めたカリキュラムに則って全工程を終わらせるということではなく、生徒本人の習得レベルが完全に上がった状態を目指す学習方法のこと。

生徒たちの知識はところどころが欠けたままとなり、その上に新しい知識を 積み重ねていくので、土台が不安定で崩れやすいものとなります。サルマン・カーンさんはこのことを「穴だらけのチーズ」と表現しました

出展:山田浩司. EdTech エドテック テクノロジーで教育が変わり、人類は「進化」する

この状態を目指すために、EdTechの得意分野であるアダプティブラーニングが活躍する。

これらのEdTechの状況から、マーケター育成問題を俯瞰する

マーケター問題とは、僕が個人的に感じているだけなので、別に世の中的には何の問題もないのかもしれないが、一応、こんなことを考えています。

昨今の“自称マーケター”問題について思うこと

僕はマーケティングにおいては、ある種のファネル思考信者なのですが、Edtechが取り巻く学習環境もファネルで整理できるような気がした。

学習ファネル

興味関心段階:反転学習による主体的なインプットで、これから学ぶ内容に関しての興味を抱く。一方的に“教えられる”のではなく、自分のペースで得手不得手に気づく。
◆理解段階:アダプティブラーニングにより、自分の苦手な部分を理解する。理解度に基づいた学習カリキュラムで、通常のカリキュラムに比べて、態度変容の歩留まり(転換率)を向上させる。
◆習得段階:マスタリー・ラーニングの実践で、理解するだけではなく、意味やコンテクストも含めて習得する。習得という成功体験や、関連分野への応用を通じて、他分野への興味関心が芽生える。

といった感じだろうか。Edtech各社や、教育関係者はこのようなファネル構造を意識して、態度変容の転換率を高めるためのコミュニケーションや施策(授業)を行うことで、Techと対面双方の授業を実践できるのではないだろうか。

これは、単に生徒向けの態度変容ではなく、新人マーケターの学習工程にも応用できると思っている。

つまり、最初の情報収集はあくまでセルフサービスで、検索やリファラルによる能動的な情報収集が必要であるが、理解を深め習得するためにはOJTを通じて自分が習得できていないスキルを身に付けたり、実践を通じて習得していくのと同じなのである。

教師の役割の変化とマーケターの役割の変化

EdTechにより教師の仕事の一部をテクノロジーが代替することで、教師のリソースをよりクリエイティブな教育に充てられるようになる。
これは、マーケターにとってのMarTech(MAとかCRMとか)にも当てはまり、決して“楽させる”ものではない。担当者のリソースを効率化させることで、より生産性の高い業務に充てさせることができる。

効率化によって空いたリソース(時間)をどう使うか?それはテクノロジーではなく、人が考えるクリエイティビティにゆだねられる。

結局、先生もマーケターも、限られた時間のなかでできることを取捨選択しながらやらざるを得ない。
教師は雑務に追われ、マーケターは手元の施策に追われる。

データを取って差分を分析し、対策を練って成績向上につなげること

がテクノロジーで可能になるのである。

結局、マーケター育成も先生育成も、生徒の育成も困難の根っこは同じで、従来型の練り上げられた基本原則とテクノロジーをバランスを取りながら組み込むことが重要なのだが、それ以前に本人の課題意識と能動的なアプローチが必要なんですね。

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