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カスタマーサクセス青本 10の原則の①

カスタマーサクセス界隈の方ならだれでも読んだことがあるであろう、『カスタマーサクセス サブスクリプション時代に求められる 「顧客の成功」10の原則』には、そのタイトル通り、10の原則が書かれている。

久しぶりにこの本を読み返して、原則①から思うことがあったのでここに書いておこうと思う。

原則①正しい顧客に販売しよう

原則が10個も書かれているのに、一つ目からこれですよ。異論反論の余地なし!誰もが納得の大原則ですね。
本章には、この原則が必要であるとい、ありきたりな理由だけではなく、「正しい顧客を見分ける方法」という、具体的な方法論まで書かれている。

もしも、あなたがカスタマーサクセスを立ち上げようとしている最中だったり、これからカスタマーサクセス部を立ち上げようと思っているのならば、原則①だけまずは熟読し、走りだせばいいと思う。
(個人的には、この原則①と原則⑩の2つがとっても大事だと思っている)

正しい顧客に販売することで、何が起こるのか?

本に書いてあること+個人の意見として、いくつか書いておきます。

①PMF(プロダクトマーケットフィット)の達成
もはや当たり前の概念ですが、あなたの会社の製品やサービスは、どこの企業のどんな人にでも役に立つというわけではない。
PMFの名の通り、プロダクトとマーケットがフィットした状態になることが、あなたにとっても顧客にとってもベストで、PMFが成立していない場合は、あなたand/or顧客が必ず不幸になる。

②戦略的リソース投入の優先順位付け
もしも、正しい顧客に販売しない場合、どのようなことが起こるか想像してみよう。セールス部門(及びセールスメンバー)は、自分の短期目標達成に近づき、大喜びしていることだろう。しかし、CS部門やデリバリー部門はいまいち喜んでいない。
なぜなら、CSMはその時点でチャーンを予想し、デリバリー部隊は高い負荷を強いられることがわかっているから。
一方で、正しい顧客に販売できた場合はどうだろう?
もちろん、何の努力もなくビジネスが成り立つなんて言うことはない。しかし、無駄で過剰な努力は不要となり、その工数分、デリバリー部隊のMgrやCSMはより戦略的な時間の使い方をできるだろう。
マーケ&セールスが顧客を獲得するコスト(CAC)もさることながら、間違った顧客に人材をつぎ込んだ結果失われる機会コストの重要性を説いている。

③セールス部門とCS部門がよりよい距離感になる
本書の主張として多く出てくる意見として、セールスとCSはより近距離になるべきだという哲学のようなものが見え隠れしている。
実際にCS部が他の部署(プロダクト・セールス・マーケティング・デリバリー・カスタマーサポート etc)と連携することはもちろん大事だが、一番近づかなくてはならない部署というのは、そのCSが担う個社ごとの戦略やミッションによるんだと思う。
たとえば、ネガティブチャーンこそがCSの最大ミッションなのであれば、当然セールスと近づくべきだし、顧客満足の向上がCSの最大ミッションなのであれば、CSとカスタマーサポートが近づくべきだし…。
で、本書では「セールスとCSは衛星的であるべきだ」と説いている。これは、ターゲットとしては正しい顧客であったはずなのに、社内の足並みが揃わなかったばかりに間違った顧客になってしまうという最悪の結末を避けるための手段である。

④営業トップが担うKPIにチャーンレートを盛り込む
これだ!って思いましたね。従来は時に対立構造になりがちなセールスとCS。
セールスはとにかく自社製品を売ることで評価され(KPI=売り上げ)、
CSは自社製品を使い続けてもらうことで評価される(KPI=継続率)。
一見、ここにトレードオフはなさそうにみえるが、実際の現場ではこのKPIの違いで毎日のように社内戦争が起こっている。
つまり、CSは”継続しやすい顧客”を欲しているのに対し、セールスにその意識はなく、とにかく響いた顧客に打ってしまう。
このような状況を打破するためには、
・新規セールス部隊とCS部隊のレポートラインを共通(例えば営業部長)にする。
・営業部長は、より多くの売り上げをもたらすためにCSにアップセル/クロスセルの予算を持たせる
・CSはアップセル/クロスセルの予算を持つ代わりに、営業部長に対して継続率のKPIを担ってもらう
ということだ。
こうすることによって、営業部長はより多くの売り上げ予算を達成することができると同時に、各顧客のLTVの向上という中長期の目標にも貢献できるようになる。一石二鳥じゃないか。
ただし、新規部隊のセールスメンバーには継続率のKPIは担わせないほうがいいと思う。仮に、「バジェットは大きいが継続しなさそうなA社」と「初年度予算は少ないが継続しそうなB社」どっちを優先すべきか?というメンバーからの問いに対して、営業部長が「Bだ!」と答えるための判断指標としてワークすればよい。

『チャーンの90%は販売時に起こる』

これは、本書にかかれている一節だ。CSMとして様々な案件を見ていると、確かに肌感として、受注の一報を聞いた瞬間にチャーンが頭をよぎる案件は確かにある。(そしてその勘は大体あたる)
こんなことを書いていると、「いやいや、そういう顧客でもリテンションさせるのがCSの役目だろ!」と起こられてしまいそうだが、それは断固として間違った考え方だ。
顧客がチャーンするかどうかは、CSの努力”だけ”ではなく、セールスもデリバリーもプロダクトもすべての部署とミッションが関係する。
チャーンの責任をCSだけに押し付けるのは馬鹿げている。(とはいえKPIは追う!)
そしてCSは、この最初からチャーンの匂いがする顧客に対しても、誠心誠意オンボーディングサポートをし、時にはコンサルもし、アップセルの案内もする。
これらの施策の大半は空振りに終わり、12か月後にはチャーンする。
こんなわかりきった未来のために膨大なコストをかけるのではなく、より有意義なコストのかけ方をすべきだ。
繰り返しになるが、そのためには、『原則①:正しい顧客に販売する』ということから始めなくてはならないのは明白だろう。

以降、気が向いたら原則②以降も思ったことを書いてみよう。
※あまりに乱文のため、順次編集します…

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