彼女たちはいかにして乃木坂46になりしか

真夏の全国ツアー2023神宮公演に行けなかったんです。
1次から3次まで全外れ、一般も全く繋がらずダメでした。
ありがたいことに配信があったので、YouTubeラジオを一緒にやっているはかせとDAY3、4を観たんですが、ちょっと今回の神宮公演、えぐかったですね。
完璧なセトリ、覚醒というほかないメンバーの成長、あまりに良過ぎたんです。
じゃあまず、最初にみんなが気付いてるであろうことから書いていきます。
今回大興奮で書いているので全て敬称略です。すいません。

僕が見たDAY3.4どちらでも言えることとして、松尾美佑がやばい。
松尾美佑がとにかくかっこいい。
最新アンダー曲「踏んでしまった」を披露した時のダンスと、何より表情がいい。
バキバキのダンスを笑顔で踊るのがめちゃくちゃかっこよかった。かっこよかったですよね。ね。
バキバキダンス+笑顔でいうと、かつて久保史緒里が「日常」センターに立った時、大サビ前に不敵にニヤリと笑ったのが震えるくらいかっこよくて印象的でしたが、松尾美佑の笑顔はそれとは全く違う雰囲気で、圧倒的実力からくる自信に満ち溢れていて、間違いなくアンダーセンターとして全員を引っ張っていけると確信できるものでした。
カメラワークも照明もめちゃくちゃかっこよかったし、とにかく最高でした。
錆びたコンパスも圧倒的無敵感で、震えました。

「actuary」の中西アルノもめちゃくちゃかっこよかったですね。
披露すればするほど成長を続ける曲やなと改めて感じました。
DAY4は大サビ前の久保史緒里と山下美月の表情も抜群に良かったし、もはやこれを聴かねば満足できない身体になってしまった中西アルノの咆哮もさらに成長を感じました。
特に今年は演出家が変わったこともあり、明らかに異常な量の特効もなく、それが逆にメンバーの気迫を感じさせてくれたのも良かったですね。
本当に今までの演出家は大嫌いでした。
そんなことはさておき、actuaryは今の乃木坂には欠かせないキラーチューンであると思わされました。本当にかっこいい。

もう一つ、こっちは特にDAY4で言えることなんですが、遠藤さくらがとんでもない。
DAY3を観た後、はかせと話していたんです。
「山下美月とか遠藤さくらが良いのは分かっているから、どれだけ凄くても驚かない」
実際、DAY3の遠藤さくらは凄かった。
珍しく前髪を分けていて、その髪型の印象もあってどことなく大園桃子を彷彿とさせていましたし、大園桃子が持っていた特別感を身に付けて、さらに上のステージに立ったように見えました。
でも、それは遠藤さくらなら想定の範囲内なんです。
ただ千秋楽の遠藤さくらはやばかった。とんでもなかった。
本当にレアなポニーテール姿にも驚きましたが、パフォーマンスが凄まじかった。
「夜明けまで強がらなくてもいい」のサビで、今までは天を仰いでいたところ、真正面に向けて強い眼差しを向けていたのも素晴らしかったし、「ごめんねFinger crossed」があまりにも良い。
鬼気迫る雰囲気があり、ラストの表情は言葉を失いました。
遠藤さくらが凄いのも良いのも分かっていたのに、その想定を遥かに上回るパフォーマンス。
試合中に成長を続ける流川を見たような気持ちです。遠藤さくら、底が知れない。

それからキャプテン梅澤美波。
後で書くから短くしておきますけど、めちゃくちゃかっこよかった。泣きました。ボロ泣きしました。

他にも言い出したらキリがないので一旦ここで止めておきます。
ここからは、あまり話題になっていないのではないかという、今回のセットリストに込められていそうな意味について、勢いのままに書き殴っていきます。こじつけとか、色々な意見はあるかも知れませんが、ちょっと関係ないです。聞きません。
僕はこう感動した。

今回、四日間のセットリストは、全てが梅澤美波の乃木坂史に残る名言に向かっていくものでした。
端折って書こうにも無限に長くなってしまいそうなので、特に核になる部分について絞って書きます。

今回セトリは日替わりのユニット曲、期別曲コーナーがあり、最終日は絶望の一秒前→4番目の光→三番目の風と、各期の象徴的な曲でした。
三番目の風の後は「設定温度」
かつて三期生が初めて夏の全国ツアーに参加した2017年に、メンバー全員で披露した全体曲です。
当時一番下だった三期が一番上になって三〜五期生でやるのが素晴らしい。
まあこれはみんな思いましたよね。

そこから山下美月が1人花道で踊るところから始まるダンストラック。
これはもう完全にそういうことです。

「actuary」のドラマMVで、山下美月は中西アルノを受け入れられない役を演じていました。
これはかつての乃木坂に憧れて入った三期生だからこそ、乃木坂らしさに囚われがちなのではないかということを表していると思っています。
勝手ながら、大園桃子卒業後の三期生に特にそれを感じていて、白石麻衣のようにガールズルールであおる山下美月や、生田絵梨花のように歌おうとする久保史緒里のように、先輩のようになろうとし過ぎている気がしていました。
それ自体は決して悪いことばかりではないんですが、久保史緒里は生田絵梨花のような歌い方より、まっすぐ歌っていた印象の初期の歌声が好きでした。個人的好みの話です。
三期生が過去に囚われているというか、乃木坂とはこうあるべきという固定観念があって、それを目指しているように見えるというか。
また、actuaryのWセンター版では、すれ違う山下美月の手を、もはや乃木坂の象徴とも言える齋藤飛鳥がぐっと掴んで引き寄せており、これがこのMVだけの振付なんです。
これが「乃木坂らしさ」に囚われている三期生=山下美月を齋藤飛鳥が引っ張って、違う方向に進まないようにしているのではないかと思っています。
実際、その後に全員が同じ方向に向かって走り出すので、actuaryは「変わっていくことを受け入れて、乃木坂らしさという固定観念から脱却する」ための一曲と個人的に思っています。
そもそも、設定温度後のダンストラックが山下美月1人から始まるのが相当違和感でした。
その後、「僕は僕を好きになる」や「人は夢を二度見る」など、山下美月センター曲をするならともかく、次に披露するのは遠藤さくらセンターの「ごめんねFinger crossed」なので、本来遠藤さくらから始まるべきではないかと。
ただ、上記のactuaryの流れと、「ごめんねFinger crossed」の歌詞を踏まえると、あそこは山下美月しかないと気付きました。
ごめフィンは別れの曲で、恋人との別れを歌っているのですが、これがかつての乃木坂との別れを意味しているように思えました。
「ここにはないもの」を経て、「飛鳥の子」としてこれからの乃木坂を引っ張っていく遠藤さくらが、「変化を受け入れられない」山下美月を迎え入れて、かつての乃木坂に別れを告げる。
そして「actuary」で囚われていた固定観念から脱却しようとして、続いでの「逃げ水」で、追いかけていたあの夢、つまり夢見て憧れていた乃木坂らしさが幻、蜃気楼のようなものだったと気付くという流れです。
でも、触れられない、届かない乃木坂らしさですが、乃木坂を信じるまっすぐな心が生きる力になる。
続く期別曲、五期生の「バンドエイド剥がすような別れ方」四期生の「I see...」が新時代を感じさせ、三期生の「僕が手を叩く方へ」で力強く後輩たちを引っ張っていく姿を見せる。

アンコールでは初期の定番曲で、「ダンケシェーン」をやっていましたが、この時の久保史緒里の歌が本当に良かった。
上手いのはずっと上手いんです、それは分かっているんです。
ただあの日の久保史緒里の歌声は、ありのままの久保史緒里という感じがしました。
この声をずっと待っていた。
これも忘れてはいけない「僕だけの光」、今回の神宮のために書かれた曲にしか思えないほどハマっていました。
太陽を眺めて羨ましく思う。僕だけの光を手に入れたい。
乃木坂の歌詞において、太陽は乃木坂そのものを表していることが多くあります。
憧れていた乃木坂のようになりたいと考える三期生がこの曲を大切に思って、三期生ライブでも披露したというのも納得。
なんせ乃木坂に憧れ、今は何も貢献できていないが、自分たちの光を見つける歌ですから。
三期生にピッタリです。
曲のラスト、光を手に入れて、続く「人は夢を二度見る」では「今ならちゃんと夢を見られる」と歌います。
そして最終日だけ披露された「乃木坂の詩」と、梅澤美波によるMCの
「わたしたちが乃木坂46です」
これですよ!

囚われていた幻のような乃木坂らしさから脱却し、新たな姿、可能性を見せ、「先輩たちのようになりたい」ではなく、自分たちが、自分たちこそが「乃木坂46」という宣言。
大きなプレッシャーもあったはずです。
涙を流しながら、キャプテンとして宣言した梅澤美波。
本当にかっこよかった。

あの頃の乃木坂を作り上げた一期生、二期生がいなくなって最初のツアー。
彼女たちは乃木坂46になりました。

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