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2023.5.6 4th Album"Bond"レコ発ツアー@恵比寿アートカフェ•フレンズについて

久しぶりのnote記事投稿になります!

何かとても心に残った出来事があったり、演奏会を振り返りなどをじっくりとしたいときなどは、私のオフィシャルHPのブログまたはnoteに記事を投稿しているのですが、本当は書きたいと思うことはもっとたくさんあるのにこうして時間をとって振り返るタイミングが全然なくて追いついていません😭

もっといろいろな活動や、日々の音楽家としての暮らしについて知りたい方はぜひ YouTubeTwitterをご覧ください。


さて、振り返りのチャンスをゲットしましたので、先日5月6日に開催いたしました、
4th Album"Bond"のCD発売記念ツアーの恵比寿公演について、セットリストの解説とともに書いていきたいと思います。


今回お届けした恵比寿でのアートカフェ・フレンズさんでのコンサート。
MCでも話したのですが、実は3年越しのリベンジの会場でした。

大学を卒業してフリーランスとして仕事を始めてから、しばらくの間はクラシック音楽を専ら仕事として、自分の興味関心も、オーケストラや器楽のアカデミックな楽曲に限定されていたのですが、社会での様々な経験を経て、3年ほど前からソロでジャンルレスな活動を始めました。そこで初めて自分の名前をタイトルに含め東京で企画したリサイタルシリーズ"Music Cafe Hana vol.1"の企画として2020年の5月に予定していたのが、この場所でのライブ。
多くのお客様にご予約をいただいており、楽しみに準備していたのですが、残念ながらコロナ禍で無期延期という形となってしまい、それからはライブ配信を利用して発信活動をしながら、オンラインでコンサート企画を続けたり、状況が良くなってからは活動をしながら出会ってきた仲間たちと企画を打って、徐々に生演奏での活動を取り戻してきました。

今回のCD発売記念ツアー恵比寿公演では、そんな自分のソロ活動の中で私の名義で作ってきた3枚のCDに収録されているオリジナル曲、また昨年念願叶ってアコースティックなたくさんの楽器とのコラボ収録が実現したアルバム"Bond"の収録曲は全曲ふんだんにセットリストに組み込ませていただきました。まずはじめに、これだけの大規模なレコーディング企画に熱心に参加してくださった参加アーティストの皆様、昨年のクラウドファンディングから今年の公演まで長い期間たくさんのご支援・応援をいただいたファンの皆様、そして当日会場にお集まりいただいた共演者含め述べ60名以上の暖かいお客様と時を共有できたことを本当にありがたく思います。


当日のセットリストはこちら。後にまたご案内しますが、ツイキャスライブでコンサートのアーカイブ録画をご視聴いただけます。ぜひ解説とともにお楽しみいただけたら幸いです。https://twitcasting.tv/87mlma/shopcart/234255

Set List

Longa Shahnaz
Fireworks
Distribuição De Flores
ローズマリー
Waldbaden
Libertango

Imputation
ISA
Bagatelle
pray
EARTH

Ec:月光の華




Longa Shahnaz 

トルコのオスマン古典音楽のなかで、日本で聴かれる唯一と言っても過言ではないこの作品。Longaというのは中東のアラビア語圏の国々の音楽で、舞曲としての役割を果たしたのちアラブの国の様々なジャンルの音楽に取り入れられたようです。Longaで一般的に取り入れられた”Nahawand scale”という音階の構成音には、なんとお箏の平調子の調弦がぴったりと当てはまります。国境で隔てられた私たちは、現代のようなネットワークがなくとも何処かで同じ美学を持っていたと感じざるを得ません。

Fireworks

"目覚め"をイメージして作曲した楽曲。お聴きいただく方の目覚め、私自身の目覚め、音楽の目覚めを象徴するかのような花火のような音形、”火”をモチーフとした世界の楽曲・楽器のフレーズがダンスミュージックの中に見え隠れします。2nd Single"Fireworks"に収録。

Distribuição De Flores

「花の分布」と訳されるこの曲は、スペイン系の音楽愛好家の父とJ.S.バッハを好んだ叔母から手ほどきを受け、ブラジルの民族的モダニズム音楽を模索したヴィラ=ロボスならではの雑種性、そして様々な音楽の様式の枠組みから逸脱した魂に訴えかけるようなプリミティブな魅力を感じさせます。フルートとギター、2つの楽器が様々な奏法でまるで絵画を描いているようです。

ローズマリー

今回唯一のヴォーカルありの楽曲。Bondでは前作のat willと違いほとんどの楽曲をアコースティックにこだわって収録しています。ライブでも、楽器本来の響きを味わっていただくため、収録に使用した楽器をふんだんに使用し、また作編曲に関わってくださった皆さんの音楽をご紹介させていただきたかった。素敵な歌をお楽しみいただきました。

Waldbaden

マリンバとルネサンスフルートという2つの木の楽器で演奏する楽曲を書き下ろしました。"森林浴"と題したこの曲は、肩の力を抜いて、まるでドイツの雄大な木々の中で木漏れ日を浴びているような情景をイメージしました。ルネサンスフルートの楽器の特性を生かした音の並びを使用しており、音楽自体はもっと他の国を彷彿とさせるようなものにもなりました。

Libertango

libertad(自由)とtango(タンゴ)を合わせて作ったかばん語であるリベルタンゴ。ピアソラの代表曲でもあり、ピアソラのスタイルである革新的なタンゴに対して閉鎖的であったアルゼンチンから、新たな創作活動を求めて、イタリアへ移った1973年に作曲された楽曲です。ライブバージョンでは、ピアノ・フルート・マリンバのトリオでお届けいたしました。

Imputation

2部の始まりはフルートソロで、こちらもレコ発が初演のオリジナル曲です。
フルートという楽器の息や体をつかったパフォーマンスをする、という行為に際して、楽器だけでは表現しきれない世界を補うため、手が使えなければ脚を使い、声が足りなければ喉を使うアプローチなどはしばしば用いられるのですが、この曲には私が平生演奏に際して自分のからだを補うために使っている技法をたくさん盛り込みました。

ISA

チャモロ語(グアム・北マリアナ諸島の現地人の母語)で「虹」を意味する「ISA」。当時グアムで活躍するフルート奏者に捧げられたこの曲は、美しく優しい旋律が様々な世界に虹をかけてくれるような、豊かな広がりを感じさせます。誰もが口ずさむことができるような旋律がイメージされ、様々な楽器編成のためにアレンジされている楽曲でもありますが、今回は、フルートとマリンバの響きをお楽しみください。

Bagatelle

"ちょっとしたもの"という言葉。ふと思いつきで作りました。大好きなフランス近代の揺蕩うようで複雑な世界に思うままに音を乗せてみた即興的な小さな曲です。3rd Album"at will"に収録。

pray

祈りを捧げたり、うたったり、自由にお話をしたり聴いたりする曲として、2022年の4月に作曲しました。
人と人のすれ違いやふれあいの中で生まれてしまう傷も、多くの人間や動物の命が一気に失われるようなことがらも、この地球に生きていればどうしても引き起こしてしまう。そんなとき、私たちには祈ることしかできない。どんなに小さな力でも、隣人のために愛と祈りを捧げたら、きっと世界は綺麗に澄んでいく。そんな気持ちでつくりました。

EARTH

「1人のフルート奏者が世界中を旅する中で、自らの音色で、今、危機にあるEarthを救おうとする」そんなストーリーをイメージされて作曲された、フルート奏者のレパートリーとしてとても貴重な1曲。オーケストラのような壮大なピアノと、時にはピアノの奏でる波に乗って、そして時には独奏で語りかけるように様々な性格で現れるフルートの主題は、旋律としての魅力だけではなく、深い強さや優しさ、儚さを感じさせてくれるように思います。

Ec:月光の華(Ensemble ver.)

この曲でイメージしている「華」は白のスイレン、花言葉は「純粋」だそうです。月明かりに照らされたその華は黄色く染まる。黄色のスイレンの花言葉は「優しさ」。月明かりのように優しさに包まれた純粋な一輪の華をイメージしています。導入のゆったりとした空気感や、サビに向かうにつれて色味のある和音へ変化していく曲調の進行の様子を、太陽や月の光によって色の変わっていくスイレンを思い浮かべながら、楽しんでいただけたら幸いです。



曲目解説も、最後までご覧いただきありがとうございます。
素晴らしい機会をいただいたことに感謝して、また来月の京都公演に向けての準備も進めております。

今年は身に余る機会に恵まれ、秋には北海道での古楽アンサンブルでのゲスト演奏や、地元秋田でのリサイタル、そして冬には以前noteで記事にもさせていただいた公演で用いた素敵なホールで古今のフレンチと拙展の大きな企画も開かせていただけることとなりました。

私自身も音楽は好きなのですが、どちらかというと音楽に生きる周りの方々に後押しされ、生かされて、自身は音楽以外の雑感や日々生きていて見つけた景色を音にして届けるというような仕事をしているなぁと思うこともとても多いです。それでもステージの時間は本当に幸せで噛み締める暇もなくあっという間に終わってしまった夢のような1日でした。

また素敵な1日を作ることができるよう、日々自分らしく生きていきます。
ぜひコンサート会場でお会いしましょうね。


..ですが、配信もぜひみてくださいね笑



それではまた

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