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【読書記録】壇俊光『Winny 天才プログラマー金子勇との7年半』

壇俊光『Winny 天才プログラマー金子勇との7年半』
NextPublishing (2020/4/24)

映画を見たかったのに見ることができなかったWinnyの本がunlimitedで読めると知り、今読んでいる銀河英雄伝説を中断して慌てて読んだ。本書がunlimitedで読めるとたまたまRTで流れてきてよかった……!

事件当時の壇先生のブログを小説形式にしたとのこと。そのため全体的にくだけた文体で、だからこそ小難しさなく金子さんの人となりがよくよく伝わってきた。

Winny事件が何なのか分からなくても、まず最初に巻末の用語説明を読んで(まったくITを知らなくても分かりやすい)その後は頭から読み進めつつ注釈をタップしておけば(著作権法も知らなくても)苦なく読み進められる。ははあ、なるほど、そういう事件・公判の流れだったのね、と。映画化して話題になってたけどぼんやりとしか知らないな~という人(私)にぜひおすすめしたい。

Winny開発者である金子さんが幇助犯とされることの何がおかしいのか、最も分かりやすかった本書中の例えは「その理屈だったら、日本にインターネット引いてきた俺が幇助じゃん」。なるほど。自動車が引き起こす事故は自転車・歩行者に比べて重大なので自動車の発明者は事故の幇助犯みたいな(多分。)。

京都地検・京都府警・京都地裁が三位一体の悪の巣窟みたいな書かれ方をされている印象を受けたが、それはさておき、当時の弁護団がどれほどの情熱をかけて戦っていたかが伝わってきた。そして事件当初、壇俊光先生は弁護士4年目……。今や大変有名人な(というかまさしくWinny事件で有名になった)大先生である壇俊光先生の4年目、ということで、まるで先生の弁護士としての青春を見せてもらったような熱い読後感があった。

Winny事件で日本の技術が置いていかれた、というのはよく聞きながらいまひとつピンときてなかったのだが、金子さん逮捕当初はyoutubeもitunesもなく、しかし判決が確定しないままFacebookやらTwitterやらが登場する時代へと変わっていたというのを本書で知って、ようやく理解した。どこかで似たような話を聞いたなあと考えていたけれど、ミ●ックだ。

以上、あまりにも面白くて、今晩の余暇を使いきってしまった。読了後ポップアップで出てきた☆に迷わず右端をタップ。次は映画を見たい。

『人は最初それは誤っていると言い、次にそれは無理だと言い、そしてそれは誰でもできたという。しかし、何かを成し遂げるのは実際に何かをした者だけである。』
胸を打った一言だった。自分は何者にもならない凡物と達観したふりをして生きてきたけれど、頑張ってみようと思える。


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