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鎌倉で季節の薬膳の考え方をもとにしたお弁当屋「ハナサクウチニキテ」を営んでいました。お店は今はクローズし、今は薬膳、中医学の講座やワークショップを開催しています。

「ハナサクウチニキテ」は、カフェをやってみたいという私の憧れから、既存のカフェの定休日を間借りする形で、ちいさくちいさく始まりました。どんなごはんがお客様によろこんでもらえるだろう。せっかく食べていただくなら、お客様に元気に健康になってもらいたい。自分にしっくりくる食の在り方で、お店でもできるごはんはどんなものだろうと、いろいろと探しているときに出会ったのが、「薬膳」とそのベースにある「中医学」です。


薬膳には、「全ての食材には効果効能がある」という考え方があります。そのときの季節、あるいは自分の体調・体質に合わせて、食材を選んで食べることで、自分の心身のバランスを真ん中に戻し整えるというものです。

世の中には健康に関する情報があふれています。「〇〇が□□の何倍からだにいい!」「〇〇はからだに良くないから、食べない方がいい!」といった、極端な情報が発信されているのをよく目にします。

たくさんの情報があふれていて、何が本当なのか分からないと感じることも多い今、薬膳や薬膳のもとである中医学の考え方は、自分をよりよく知るための手段として、私たちに寄り添ってくれるものだと思います。

私は、薬膳の「全ての食材に効果効能がある」という考え方が、とても好きです。それは全ての食材それぞれに、役割があるということです。食べてはいけない食材がないというのは、仲間はずれがいない、みんなそれぞれに活躍の場があるということ。それぞれの存在が世界を作り上げ、不要なものはないという、薬膳のおおらかな優しい世界を感じるからです。(厳密にいえば、その人の体質や状況によって控えたほうがいい食材はあります。しかし、ある人にとっては控えたほうがいい食材も、ほかの誰かにとっては必要な食材です)


日本人は健康志向が高いといわれます。テレビやネット、雑誌では食材の栄養価についても詳しく述べられて、みんな当たり前のようにそれらを知り、生活にとりいれています。例えば、血が足りないからほうれん草やレバーを食べようとか、冷えるから生姜を取ろうとか、トマトのリコピンは美容にいいからたくさん取りたいとか。

私は、薬膳の知恵がそれぐらい自然なこととして、みなさんの日々の生活にゆきわたる世界を想像しています。自分の中の小さなバランスの崩れは、薬膳の知恵で、自分自身で整えられるようになったらいいなと思います。

心身一如、心と体は繋がっています。みんなそれぞれが心身のバランスを整えて自分の真ん中にいられるようになれば、より平和で穏やかな世界が広がっていきます。それはみなさん一人一人から周りの人へとゆるやかに広がっていくのです。薬膳の知恵を通して、そんな穏やかな世界をみんなで一緒に創造できたらいいなと思います。


- ハナサクウチニキテ 主宰 美穂 -
鎌倉・長谷を拠点に季節の薬膳の考え方を取り入れたお弁当販売、イベント出店を経て、今は薬膳や中医学の知恵を伝える会として「薬膳ごはん会」を開催しています。

■資格
漢方養生指導士
国際薬膳師


2023.7.更新