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もし、一日福祉相談員の依頼をしたら

福祉相談員が仕事の私は最近引き受けたクライアントのことでとても悩んでいた。
自分と同年代の余命宣告を受けた男性利用者のことである。

働き続けてきた会社を辞めて今後は人の役に立ちたいと考えて、介護保険サービスの資格をとり送迎運転手の仕事に携わり、遣り甲斐を感じる毎日であった。そこへ異変を感じて受診したところ末期の病気が潜んでいたことが分かったのだ。
自覚症状はなく大きな病気をしたことがない彼はショックを受けた。独身であるが、長年励まし合い気持ちを分かち合える女性のパートナーがいる。
私はその相談役となり何回か訪問して支援の福祉サービスの調整を行った。その男性は、病院の治療方針の説明や最近の様子や排泄の失敗をしてしまった出来事等きちんと報告をしてくださる。今後に備えたいからどのような支援を受けられるのかと質問をされる。知り合って短い期間なのであるが、誠実な人柄が伝わる。今までもそのように生きてこられたことが想像できた。
パートナーとはどのような話をしているかわからないが、きっとその彼女も心細いことであろう。

相談業が専門であるもののその男性とは同年代であり支援サービスの調整は淡々とするのであるが、少しの期間だけど一緒に悩みながら時間を共有して過ごすのだから相談員としての会話以外にどのように声を掛けたらよいのか悩んでいた。

そうだ最近独立したという三浦春馬さんの事務所では、社会奉仕の一環として無償ボランティアの一日職業体験の仕事の応募があることを思い出した。
何といっても人気者スターなのだから応募が多くて当たる確率は低い。
でも、最近知ったゲッターズ飯田の占いで、私は、「金の羅針盤座」ということらしい。2021年は、「行動力」を育むことで運気が上がる。まずはやってみよう精神が大切とのことであったわね。

ゲッターズ飯田さん有り難う。占いが当たりました!ラッキーガールの私にその日が訪れたのです。

三浦春馬さんは私の知っているそのままで、さわやかないつもの笑顔で弊社の扉を開けた。
キャーと言いたいのを我慢して、「宜しくお願いします。」と職員全員で頭を下げた。

三浦「みなさんのお仕事はどんな仕事ですか。」
私「高齢者の介護サービスの相談業なのですが、中には病気により若い人もいるのです。」
三浦「大変なお仕事ですね。」
私「いいえ、春馬さんのお仕事は、様々なことができなければならないし評価が厳しいから俳優の方が大変ではないでしょうか。」
三浦「僕も一人の社会の一員として仕事をしています。エンタメは血の通った産業と自負しているのです。どんな仕事でも日本の明るい未来のために働きたいですね。以前、江戸時代から明治にかけての武士でありその後に実業家となった経済界の重鎮として活躍した五代友厚さんの生涯の映画を創ったのですが、五代友厚さんを演じて生き方に感銘を受けました。特に全身全霊で魂を込めさせて頂きました。皆さんもぜひ観て頂きたいです。仕事というよりも生きることは、『地位か名誉か金か、いや、大切なのは目的だ』との五代さんの名言をご存じですか。僕も本当にそのようでありたいと思ってるのですよ。」

私「アセスメントといい、適切な支援を行うためにその人の身体状況や病状や生活歴を聞き出すのですが簡単には教えてもらえないです。」
三浦「そうかもしれないですね。質問形式はきっと事情聴取みたいになってしまいますよね。」
私「そうなんです。自然な会話で知りたいのですが知り合って間もないのに聞きにくいのです。」
三浦「なるほどね。やはり大変なお仕事じゃないですか。仕事は大変だけど自分自身を成長させてくれますよね。だから精一杯人の立場を想像して対応するとお互いに誤解があっても怖がらないでもよいのではないかな。その人の本心の気持ちはだれもが分からないですが、普通に接してくれてその中でも真摯に相談に乗ってくれてることは伝わるに違いないですよ。」
私「本当に一人で悩んでました。春馬さんのお話を聞いて少し心が軽くなりました。」

三浦「僕は本をよく読むのだけれど、ブレディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』英国の公立中学校に通う一人息子の葛藤と生きるややこしさと奥深さを伝えてくれる作品があります。そこには『他人の靴を履いてみること』という言葉が出てくるのだけれど素敵な言葉でしょ。そしていろいろな悩みを家族で乗り越えていく母の役割は偉大だなと思いました。」

私「私も最近notoというクリエーターが文章等を投稿することができるプラットホームの立ち寄らせていただいたクリエーターさんから教わって読みました。同じ本を読んでいたなんて!感激してしまう。」
三浦「それは、ソーシャルネットワークサービスなのですね。notoはとても遠くの人と知り会えて楽しそうですね。僕も芸能人ではなかったら参加したいなあ。」

私「違うクリエーターさんからは2015年の国連サミットで採択された先進国を含む世界前提で協働で取り組むべき目標がまとめられているSDGsという持続可能な開発目標という取り組みがあるのを教わりました。『誰一人取り残さない』という理念の下、経済や社会、環境などの分野における17のゴールと具体策などで構成されています。日本政府もSDGs指針を改定しています。」
三浦「知らなかったなあ。本当に興味深いですね。みんなこれから小さな一歩から日本人の細やかな気遣いや感情豊かな心を大切にして、みんなで住みやすい国にしていきたいですね。ぜひ、僕の書いた日本製も読んでください。本当に全国の文化やその特産物やメイドインジャパンは素敵な物ばかりですし素敵な人との出会いでしたからね。そんな精神を大切にしていきましょう。」

私と職員一同「本当に一日相談員に来ていただいたことでこれからも福祉のお仕事で頑張れそうです。有り難うございました。」

はてなと、夢から覚めた。こんな小さな事業所へ来てくれたなんて信じられない。
いいえ、夢ではなくて春馬さんがいたからこそ湧き出た「限りない妄想」なのでした。

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