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30歳を迎えた…というよりも、戦後40年生まれの人として

30歳になり、まず、向かいたい場所へ。70年前、この地に、プルトニウム239を使用する原子爆弾が投下され、この楠(被爆クスノキ)は、爆風を浴びて、黒い雨を受けて、裸同然になった。

訪ねた朝は、ほぼ風がなかった(一日を通しても、ほとんど風を感じることはなかった)のに、この場所に着いた途端、葉音を立てはじめた。まるで話しかけてくれているように、鳴り止むことはなかった。となりの保育園から、わんぱくな声が聞こえ、今は、子どもたちの成長を静かに見守っている。

多くの被害が出た。長崎市内に住む人、疎開していた人、仕事で来ていた人、そして、捕虜となり拘置所に入っていた中国や韓国、イギリスやオランダなど連合軍兵士もいたと言われている。

昼に寄ったお店のマスターとの会話の中で「今は平和だ。」「戦争に負けてよかったかもしれない。」という言葉に、僕は返す言葉がなかった。正しいとか間違いとかいう感情ではない。ナガサキを長く見届けてきた人から発せられたその言葉自体に、重みを感じた。

確かに平和だなとも思った。保たれることが保たれて、いろいろな人に支えられて、この30年を生きてこれたんだから。

生命と運命を紡いで、今ここに僕が存在している。時代が時代だったら、地域の課題に…社会の課題に…なんて言ってただけで、命を狙われたんだ。だから、この命の使い方を改めて考えたい。幸せをくれた人へ、忘れずにいてくれた人へ、感謝の気持ちを忘れずに…。そう思うと、とても勇気が湧いてくる気がする。

ありがとう。
ありがとう。

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