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【競馬コラム】スタートダッシュの重要性

以前、藤岡佑介がnetkeibaのコラムか何かでこんなことを語っていたのを覚えている。

「G1の騎乗依頼を受けるには春が狙い目。秋には短期免許の外国人がたくさんくるから枠がない。春のG1で声がかかるようにするには、年明けから勝ち数を稼いでリーディング上位にいる必要がある。だから1月の中京・小倉のローカルに積極的に乗りに行って、まずは数字を積み重ねている。」

一言一句このままのテキストが載ってたわけではないけど、内容としてはこんな感じだった。なるほど自らの立ち位置を冷静に分析した上で、「ガムシャラに頑張る」とかじゃなく理詰めでアクションを起こしている。馬乗りとしての評価は一部で芳しくない彼ではあるが、マネジメント能力は高いようだ。何となくムチを置いてからは親父さんの跡を継いで調教師になれば成功が見えそう。
これ、ケイアイノーテックでNHKマイルCを勝つ前か後かはハッキリ覚えてないけど、たぶん勝つ前だった記憶が。調べてみると18年は年始から中京・小倉で勝ち星を挙げているし、2月にはクリンチャーで京都記念を勝つなど重賞でも存在感をアピール。その結果として、本来ケイアイノーテックに乗る予定だった武豊が騎乗停止になった代役として白羽の矢が立ったのだから大・成・功! である。

坂井瑠星が例年にないスタートダッシュを決めた。関西の名だたるメンバーに続く形で4位にランクイン。単純計算で年間100勝を越えるペースで、これが関係者の目に留まらないはずがない。しかも「藤岡流」で小倉に出稼ぎに行ったのは1日だけで、他はリーディング上位騎手が集う中京で挙げたもの。そういう意味でも価値は高い。
先週の日曜は3勝の固め打ち。大野商事所有のキタサンブラック産駒キタサンシュガーで新馬戦を制するなど話題性もあったが、何より圧倒的1番人気に支持されていたカフジオクタゴン・ショウナンアーチーで取りこぼさずに勝ち切れたのが大きい。以前から何度も書いているように、騎手にとって大切なのは伏兵で穴を空けること以上に「勝って当然の馬を勝たせること」。こうして信頼を積み重ねていくことが、序列の向上へとつながっていく。
矢作芳人厩舎以外の依頼も増え、結果で応えられるケースも増えてきた。あとはより目立つところを勝つだけだ。それだけに、マリアエレーナの愛知杯でルビーカサブランカのイン差しに屈したのが痛恨の極みである。あのレースは武豊が巧すぎた。
腰を据えての海外遠征を何度も敢行するなど、競馬に対する取り組みに関しては誰もが一目置く存在。ネクストブレイク枠として取り上げられるケースも増えている。昨年は中央のG1で宝塚記念2着、チャンピオンズC3着と馬券圏内に入ることもできた。

やってきたこの波を逃してほしくない。今年こそ、の想いは強い。

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