見出し画像

【競馬コラム】母とは違う色でジェラルディーナ戴冠

G1を勝った名牝の仔って、どちらかといえば期待外れに終わりがちじゃないですか。代々で大成功を収めているのなんて、それこそエアグルーヴかシーザリオか。それくらいのイメージ。
12年の牝馬三冠をはじめ7つのG1を制した稀代の名牝ジェンティルドンナが、新しくその領域へと仲間入りを果たした。初仔ジェラルディーナがエリザベス女王杯を制覇。輝かしい現役時代の勲章に加え、繁殖牝馬としても最高の第一歩を踏み出すこととなった。

これはたぶんグレード制導入後ってことかな? いずれにせよまだ10例しか成し遂げられていない快挙。もっとも昨年から今年にかけてだけで3例も増えているように、今後はもっとスタンダードな話になっていくかもしれないけれど。

正直、ジェンティルドンナの現役時代って個人的にそんな評価していない派なんですよね。結局ほとんどが負荷の軽い瞬発力勝負で勝っただけで、消耗戦になると二度の宝塚記念完敗が示す通り脆さが出る。得意なはずの東京でもジャスタウェイやエピファネイアにちぎられてるのが印象悪い。中山競馬場なんてラストランの有馬記念まで一度も走ることがなかったし、あのレースもスローペースの機動力勝負になったからこその勝利だったと思ってる。

それとは対照的に、娘ジェラルディーナは雨の阪神で序盤からサクサク流れる平均ペースを大外から長く脚を使って勝つもんだからおもしろい。これぞまさしく父モーリスを経て脈々と流れるロベルトの血。気性面の問題もあって出世が遅れ、ローカルも転戦するなど名家の出身ながらも「叩き上げ」感があるのもこの馬自身の魅力である。

恐らくだが、今後もこういう持久力勝負でこそ輝くタイプ。例えば京都に舞台が戻るエリザベス女王杯の連覇は今のままだとまあまあ難しいんじゃないかと思ってる。その代わり、母にとって鬼門だった宝塚記念とか有馬記念とかで出番があるんじゃないかな。もちろん適性をガラッと変えるほどの成長があるかもしれんけど。

阪神で代替開催されたエリザベス女王杯は3年続けてピンク帽の差し馬が勝利。春の天皇賞や菊花賞を見ていても思ったが、序盤からいい塩梅に負荷がかかって、ごまかしの利かない勝負が見られてすごくよかった。何なら来年以降も(ry

2着以降も二桁馬番の馬がズラリ。際どい2着争いは何とウインマリリンとライラックの同着に。ウインマリリンもジェラルディーナと同族のスクリーンヒーロー産駒。昨年はコンディションの問題もあって大敗を喫したが、これが本来の実力。早めの進出から粘り込んだ内容も評価できる。
そして不発が続いていたライラックが激走。秋華賞の敗戦後、陣営はミルコの騎乗に不満を顕にしていたのだが、それでも降板させないツンデレっぷりが実を結んだと言えるのでは。13年の桜花賞以来、兄弟で二度目のワンツー決着となった。

ハシスポ応援枠で最先着を果たしたのは4着のアカイイト。この馬も阪神2200mならこれくらい走れて当然。幸さんも言うてたけど、昨年みたいに思い切ってマクりきってもおもしろかったかも。そのへんは気楽な立場だった昨年の方が腹を括りやすかったかな..来年も適鞍には恵まれなさそうだけど、現役は続けるんでしょうか。

スタニングローズは14着と大敗。やはり秋華賞→エリザベス女王杯の連チャンは簡単じゃない。馬場にも泣いたとは思うが、良馬場でもまあまあ厳しかったんじゃないかと。消耗戦ならたぶん甘くなってた。坂井瑠星もどうしようもなかったと思う。
これでも香港は行くんでしょうか。秋だけで3戦したし休養でもいいと思うんですが。

ウインマイティーはいいポジションで進めて「おっ!」と思ったんだけど直線に入ると早々に失速。ウインキートスも見せ場なく終わってしまった。つい父の印象で馬場は不問のように捉えてしまっているが、果たしてゴールドシップ産駒の重馬場成績ってどんなもんなんでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?