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【競馬コラム】改めて、競馬と真摯に向き合う浜中俊の2022年夏

もう遠い過去の話になってしまいますけど、10年くらい前の浜中俊って凄かったですよねえ。23歳?で全国リーディングは取るし、当然のように毎年G1も勝利。イケメンだし、川田将雅と並んでJRAの新しい看板ジョッキーになってくれるという確信があった。

しかし16年の東京新聞杯で強引なイン突きに失敗し落馬負傷すると、同年マイルCSでは悪質な進路妨害で騎乗停止処分に。そして翌年のフィリーズレビューでも再び騎乗停止となり、報道陣の問いかけに「もういいでしょう」と捨てゼリフまで吐いた言動は、哀しささえ誘うものがあった。

その後は案の定、勝ち星も激減しG1からも遠のいた。19年の日本ダービーを伏兵ロジャーバローズで制した際には「浜中これで復活か!?」と期待させたが現実は厳しいもの。以前は当たり前のように年間100勝を越えていた勝ち数も、近年は50勝前後で推移するようになってしまった。

輝かしかった頃の姿を思い出すと、現状はあまりにもつらい。どうにかもう一度あの浜中が帰ってきてくれんもんかと思って何年になるだろう。ねえ坂口正大先生。

2022年も先週の時点で20勝。例年同様のペースである。若い力もどんどん台頭し、ますます危機感は募るばかり。しかし重賞は3勝。マイラーズCを制したソウルラッシュとは安田記念にも挑戦したし、桜花賞ではナムラクレアに騎乗し僅差の3着と善戦した。これはかすかな風向きの変化なのだろうか?

そして、ナムラクレアとのコンビで函館スプリントSを制し今季重賞4勝目。このレースへの参戦は桜花賞が終わった直後に決まったとのことだが、50kgの超軽量に対応するため計画的にウェイトを絞っていったのだという。現状からの打破を目指し、改めて競馬と真摯に向き合う姿勢が結果につながったのだから、本人としてもさぞかしうれしいことだろう。とりあえず今日はウニとイクラを好きなだけ食べればいい。

それにしても強かった。ビアンフェが前半32.7秒でかっ飛ばすハイペースをさくさく3番手追走。早めに先頭に立つと、そのまま後続を突き離して2馬身半差のワンサイドでした。これあと2キロくらい重くても勝てたな。
スプリント路線は春にナランフレグが一撃お見舞いしたように、今なら誰でもチャンスがありそうな情勢。天国も地獄も見たミッキーアイルの産駒でG1が勝てれば、また違った風が吹きそうな気がする。

秋の楽しみを胸に過ごす浜中俊の2022年夏は、充実したものになりそうだ。


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