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【競馬コラム】ダンシングキイは終わらない

90年代後半を代表する名繁殖牝馬ダンシングキイ。オークス馬ダンスパートナー、菊花賞馬ダンスインザダークを続けて世に送り出したことでその地位を不動のものとし、その後も歳の離れた妹ダンスインザムードが桜花賞を制覇。3頭のきょうだいがクラシックホースとなる快挙を成し遂げた実績は、日本競馬の歴史の中でも輝いている。
個人的にもちょうど彼らが活躍していた時期に競馬を見始めたこともあり、「ダンスパートナーとダンスインザダークは姉弟」という入門編の知識を学ぶ絶好の教材となってくれた恩がある。

しかし時代を経ることで次第に一族の影響力も薄れつつあり、10年ほど前にダンスファンタジアやフェデラリストが重賞を勝って以降はなかなか活躍馬が現れず。キングフラダンスやトーセンダンスのような「期待されたけどネタ馬でした」枠にすらノミネートされることなく、競馬ファンの関心すら寄せられぬままフェードアウトしてしまいそうな危機に直面していた。

そこで現れたのがヒップホップソウルである。

月曜中山の新馬戦を快勝。スタートは出遅れたものの、無理することなく押し上げ4角では3番手に。余裕たっぷりの手応えのまま先頭に躍り出ると、4馬身差の完勝だった。
もともとダンシングキイといえばニジンスキーの血を引く重厚さが底力のルーツとなっており、それが大舞台での強さを支えていたが、近年の競馬では軽さが足りなくなっていたのが不振の原因だったと思われる。その点、桜花賞を勝ったダンスインザムードと、ファルブラヴを挟んだダンスファンタジアを経由することで、程よい素軽さが出たのだろう。そういえばファルブラヴも母父として生きる血統ではないか。

うん、いい馬が出てきてくれた。しかも牝馬なのでさらに代を経て活躍馬を出してくれる可能性も膨らんでくる。最近はキョウエイマーチの牝系が爆発的な活躍を見せたり、一時は衰退したかに思われたローザネイの「バラ一族」も息を吹き返すなど、古くから日本競馬を支えてくれた血が盛り返し傾向にある。

ダンシングキイもまだまだ終わらない。

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