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【競馬】鮮やかミユキマジックに導かれ、ルークズネストが2歳王者を撃破/ファルコンS振り返り

幸英明というジョッキーを20年近く応援していて思うのは、つくづく「素直」な乗り役だなということ。どちらかといえばネガティブな意味合いで受け取ってもらっていいと思う。

とにかく、安全運転である。だいたい、その馬がこれまで積み重ねてきた通りのレースをしようとする。思い切った脚質変更や意表を突くスパートなど、イチかバチかの作戦に出るところは滅多に見ない。G1を狙えるような素質馬をなかなか任されないのは、その無難なスタイルが災いしているようにも思う。
年に一回あるかないかの重賞勝利を振り返っても、「馬の力を信じて乗りました」と甲高い声で爽やかに応えるのがデフォ。馬場や展開、相手関係などに思慮を巡らせた痕跡がうかがえる騎乗が見られるのは極めてめずらしい。

それだけに、ルークズネストを勝利に導いたファルコンSは、彼のキャリアの中でも異質の騎乗だったと言える。

何しろ、これまでゲート難もあって末脚勝負に徹していたコンビで逃げ切り勝ちを収めてしまったのだから驚きだ。しかも直線半ばからはグレナディアガーズに併せにかかる意欲的なファイト。追い出しの途中で手綱をつかみ損ねるミスもありながら、最後はおなじみのムチ連打で、一旦は前に出られた2歳王者を差し返してみせた。

1着 ルークズネスト(幸英明騎手)
「極端な枠(1番枠)でしたから、どんなレースをするか色々考えていたのですが、馬が楽に出てくれたのでハナに行きました。最後はグレナディアガーズに一旦前に出られましたが、差し返してくれました。力のある馬です。今日は逃げましたが、色んな位置からレースができる馬です。前回より折り合いがつきましたし、この感じならマイルの距離でも自信を持って臨めそうです」

■ 【ファルコンS】(中京)先手を取り切ったルークズネストがゴール前人気馬を差し返して重賞初制覇  (ラジオNIKKEI)

おお、ちゃんと考えてるw 苦手だったゲートを克服したルークズネストの頑張りも大きいし、それをフイにしなかった鞍上の判断もgood。3歳で芝のG1を狙えるパートナーと出会う機会も貴重だし、一戦ごとに地力強化を果たしてきたコンビでぜひともNHKマイルCも好勝負を期待したい。

毎週バリバリ元気に乗っている幸さんだが、客観的に見て騎手としてのキャリアは晩年に差し掛かっている。もちろんこれまでと同様たくさんレースに乗って関係者から愛されるジョッキーであり続けてほしいと同時に、今回のような味わい深い記憶に残るレースを少しでも多く見せてくれるとファンとしてこれ以上のありがたみはない。

次の「ミユキマジック」にも期待しています。

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