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【競馬コラム】スローペースこそ騎手の見せ場

先週の日本ダービーとは打って変わって、スローペースの瞬発力勝負となった安田記念。どちらかといえば消耗戦の印象が強いレースだが、近年は勝ち馬が32秒台の上がりをマークすることも多く、イメージのアップデートが必要であることを思い知らされた。何を軸に検討すればいいかわからんレースなのでもう長らくまともに馬券も買ってないとこういうことになるw

こうなると勝敗のカギを握るのが騎手の腕。道中のポジショニング、動くタイミング、直線の進路取り..全ての判断がよりシビアになる。最終的に単勝1番人気に支持されたイルーシヴパンサーはうまく捌けず不完全燃焼に終わってしまった。先週アスクビクターモアで渾身のファイトを見せた田辺裕信だが、今度は悔いの残る結果に。マイラーズCを制したソウルラッシュも直線で前が壁になって終了。脚質的にこういう流れが不向きなのは仕方ないが..

対象的に腹を括って大外を回って末脚勝負に出たのがソングライン。一般的にスローペースの大外ぶん回しはタブーとされるが、ちょうど内の馬場も荒れてきたところで絶好の進路取りに。この肝の据わりっぷりが池添謙一の池添謙一たる所以。ヴィクトリアマイルでは脚を余す負け方をしていたのもあって、余計に気持ちも入っていたのだろう。グランアレグリアでアーモンドアイを破った20年の安田記念以来ちょうど2年ぶり、通算27勝目のG1タイトルは敗戦を糧につかみ取った。

「敗戦を糧に」といえば、安田記念はヴィクトリアマイルで負けた牝馬が前進する傾向にあるのが不思議。古いところではジョリーダンスが07年にヴィクトリアマイルで5着のあと安田記念で3着。これが元祖だと思う。あとはウオッカがヴィクトリアマイルでエイジアンウインズに屈したあと怒りの圧勝。近年ではアエロリットがヴィクトリアマイルで4着5着と2年続けて馬券に絡めなかったのに対し安田記念で連続2着。
逆にヴィクトリアマイルを勝った余勢を駆って参戦した馬は、11年のアパパネ(1着→6着)みたいなパターンになりがち。アーモンドアイやグランアレグリアも、ヴィクトリアマイル圧勝後の安田記念で惜敗を喫している。コンディション維持の問題とか原因は色々と考えられるが、偶然では片付けられない「歴史」が積み重ねられている。そういう意味でも納得の逆襲でしたソングライン。

シュネルマイスターはパドックの気配こそ平凡に映ったが、ルメールいわく「状態は戻っていた」とのこと。馬群の中から抜けてくる形になったが、どうにか2着を確保。ドバイ大敗の尾を引いていなくてよかった。
大幅な馬体減で臨んだサリオスが3着。このところなかなか順調に使えずにいるが、状態次第ではまだまだやれるということ。また反動が心配だがw
セリフォスが4着と善戦。もはや3歳馬の安田記念挑戦も何ら無理ゲーではなくなりつつある。来年以降のチャレンジも続きそう。
キムテツ厩舎と武豊のレアコンビに期待がかかったファインルージュは見せ場を作るも5着まで。「馬場の悪いところを通らされた」と振り返ったように、やはり位置取りの勝負が大きく影響を及ぼした。

ゴールドシップの彼女ロータスランドはパドックで好気配を示していたが、レースでは行きっぷりが悪く追い比べで早々に脱落。G1を狙うならスプリント路線の方が相手関係的にラクだろうか。
幸さんのエアロロノアはゴール前で外から吹っ飛んできた。まだ5歳と若いし充実期に入った今ならどこかで重賞も。また乗せてくださいw
坂井瑠星のホウオウアマゾンはやりたいことはできたかな。マイルCSもそうだったけど、この馬が逃げるとなぜかスローになる。ナメられてんのかなw

あとカフェファラオの挑戦は残念ながら結果につながらなかったが、適鞍を求めて違うカテゴリを使った陣営の判断は尊重したい。

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