見出し画像

【競馬コラム】ユーバーレーベンの奮闘を心から讃えたい

もはやアジア圏内の海外遠征では結果を出して当たり前な雰囲気すらある日本馬たち。しかし2022年のドバイミーティングはとてつもない大盛況となった。ノミネートがあった8レース中5レースで勝利。勝ちを譲ったレースでも見せ場は十分に作り、日本の夜ふかし競馬ファンたちを喜ばせてくれた。

先陣を切ったのはバスラットレオンと坂井瑠星。早くから海を渡って武者修行を重ねてきた鞍上にとっては待望の海外重賞初勝利となった。矢作芳人厩舎の勢いは止まらず、ステイフーリッシュはドバイゴールドCを制覇。ゴドルフィンの勝負服との叩き合いを差し返したのは、まさに父ステイゴールドの「完コピ」。我々オールドファンを大いに喜ばせてくれた。
さらにUAEダービーではクラウンプライドが早め先頭から押し切る完勝。リーチザクラウンの数少ない産駒から世界を制する大物が誕生したと同時に、スペシャルウィークの直系がつながる可能性がかすかに芽生えた瞬間でもあった。次の目標はケンタッキーダービーだろうか、デビューから手綱を取ってきた幸さんが乗ることはもうなさそうだ..w
そしてドバイターフでは、大逃げスタイルを確立したパンサラッサが昨年の覇者ロードノースと同着の優勝。あのランフランコ・デットーリを相手に一歩も譲らなかった。ドバイシーマクラシックのシャフリヤールは、日本ダービー馬として初めての海外G1制覇を達成。あれ、言われてみればそうだったかレベルの盲点だったが、確かに古馬になって低迷しがちな傾向にあるだけに納得。ダービーウィナーが世界に認められたのはうれしい話だ。
ドバイワールドCのチュウワウィザードは後方から追い込んで僅差の3着。昨年の2着に続く善戦で、もはやボコボコにやられるだけだった過去は遠いものになろうとしている。ドバイゴールデンシャヒーンでもレッドルゼルが2着、チェーンオブラブが4着と見せ場を作り、もう地元UAE勢やアメリカの強豪相手にも互角以上に走れることを証明してみせた。

そんな中、改めて讃えたいのがゴールドシップ産駒ユーバーレーベンの奮闘である。BCターフの勝ち馬ユビアーや、歴戦の強豪パイルドライバーなどの海外馬だけでも強力だというのに、同じ日本から参戦したのがガチすぎる。同い年のダービー馬シャフリヤールにネオムターフを勝った勢いで臨むオーソリティ、海外競馬にも慣れている古豪グローリーヴェイズに欧州血統の底力を秘めるステラヴェローチェと質量ともに超強敵。いくら牝馬が強い時代とはいえ、「普通のオークス馬」ユーバーレーベンにとってはしんどい相手関係である。ドバイ参戦が報じられた際には「おお!行ったらええやん海外でこそ覚醒するのがステイゴールドの血よ」とポジティブに捉えてはいたものの、内心まあ厳しいやろうなと..

しかし彼女は本当によく頑張った。

馬群に包まれることなく馬群の外を進みながら後方待機。この馬のリズムを守りながら4角を回ると、なかなかの手応えで直線へ。内ラチ沿いではオーソリティとシャフリヤールがバチバチと火花を散らす中、大外からじわじわと、それでも着実に前との差を詰めてくる。さらに外からはユビアーもすごい脚で迫ってくるが、負けじと脚を伸ばす。最後は内から外まで7頭ほどが団子状態でゴール。勝ったのは好位インから抜け出したシャフリヤールだったが、ユーバーレーベンも最後まで懸命に追い込んで5着に入った。

まず慣れない地での滞在でコンディションを崩してもおかしくない中、しっかり実力を発揮できる状態で走れた心身の強さ。ナイターの競馬も初めてで、それでも我を忘れずいつも通りの競馬ができたこと。そして国内外の強豪に揉まれても怯むことなく力を振り絞れたこと。それらすべてが素晴らしく誇らしい。

本当に、いい娘さんを持ったなゴールドシップよ!

これだけの走りを見せてくれれば、もちろんまた海外のビッグタイトルへのチャレンジに期待したい一方で、エリザベス女王杯を筆頭に国内のG1にも再挑戦してほしい気持ちもあって揺れる。特にエリ女が阪神2200mで行われるのも今年が最後。父ゴールドシップが最も得意とした舞台でタイトルを取ってほしいというのが一番の想いかも。もちろん海外と両獲りしてくれてもいいんですけどw

いや本当に心を震わせてくれました。上では最後の直線の攻防をこちょこちょ書いてますけど、実際はユーバーレーベンしか見てなかったですからね。勝ったのがシャフリヤールだと知ったのは少し経ってからでした。あれだけ気迫のこもった末脚、ガン見するしかないでしょう。

そしてちょろっとだけになってしまうけど、ゴールドCに出走したヴェローチェオロも見せ場を十分に作ってくれました。少数精鋭ゴールドシップ産駒が2頭もドバイに挑戦できたこと、それだけでも快挙だと思ってます。

種牡馬ゴールドシップの応援もたまらんですな!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?