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【ガンバ大阪】生存競争は続く/J1第5節:仙台戦○1-0

東京五輪のサッカーの試合を初めて見たんですよ。スペイン戦。得点こそなかなか入らなかったですけど、スペクタクルな試合でした。スペインはさすがでしたし、敗れた日本のレベルの高さにも驚かされました。
特に印象的だったのが、「運ぶ、剥がす」能力の高さ。相手が高い位置からプレスをかけてきても、逃げずに自ら突破しようとする。堂安や久保だけでなく、多くの選手が高い水準でボールを保持する力を持っている点に感心。だから味方の選手も信頼してサポートに回れるし、いい距離感いいポジションを取れるから攻撃の手数も増える..「いいサッカー」の基本はここにあるのかなと感じさせられました。

□ 2021年8月3日:J1第5節
ベガルタ仙台0-1ガンバ大阪

一方でガンバ大阪はどうか。前プレをいなす技術と自信を持った選手は数えるほどで、チームの置かれた状況を考えても安全な選択肢を取らざるをえない現状。前線にボールが入っても、いつ失うかわからない状況では貴重な運動量を割いてサポートに行くのも慎重になるし、人数をかけた上で取られてカウンターという最悪のシナリオだけはどうしても避けなければならない。

その結果が攻守分断のぶつ切りサッカーである。

しかし前述の通り状況が状況である。降格圏は脱したとはいえ余談は許されない立場。おまけにこのクソ暑い時期にただ1チームだけ過酷な連戦をこなす悲惨さ。練習で連携を成熟させる時間もノウハウもなく、ただ目の前の試合で相手より1点多く取って終わることを粛々と目指す日々..

おもしろいはずがない。

それでも勝たなければならない。セットプレーからもぎ取った1点を、バタバタしながら守り切る..それがガンバ大阪の生存競争だ。



枠内シュートを辛うじて掻き出す場面もあれば、めちゃくちゃ際どいオフサイド判定で失点も取り消された。1点リードの後半はより耐える時間も長くなり、相手の逸機に助けられた部分もある。
それだけに、少ないチャンスから得たCKをパトリックが決めてくれたのは価値があるし、今季ここまでの得点力不足の一因となっていたセットプレーの機能不全に改善の兆しが見られたのは大きい。

若き日本代表が見せた勇敢なチャレンジも、現実的な目標に向かってひたむきに戦う姿も、どちらもサッカーなのである。おもしろさに欠ける内容は魅力的という言葉からは程遠いが、それでも勝利の報せは心を軽く弾ませてくれる。それで十分。

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